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大根の栽培を成功させるポイントとは【プランターで手軽にできる】

連載企画:プランターで育てる野菜の栽培方法

大根の栽培を成功させるポイントとは【プランターで手軽にできる】

世界一大きくて重い桜島大根や、世界一長い守口大根(※)など、個性的で多彩な品種を持つ大根。調理もしやすく、食卓に欠かせないため、一度は栽培にチャレンジしてみたい野菜のひとつです。ここでは、そんな大根の栽培を成功させるコツを紹介します。
※ 桜島大根2003年ギネス認定、守口大根2013年ギネス認定

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大根の基礎知識

大根

大根は、地中海沿岸・華南高地・中央アジアなどが原産地とされ、やせた土地でも育つアブラナ科の植物です。冷涼な気候を好む野菜で、生育の適温は18~20℃です。暑さには弱く、寒さには比較的強い性質がありますが、あまり寒いと凍害を受けやすくなります。

大根の根の部分はビタミンCやカリウムのほか、消化を助け胃腸の働きを整えるジアスターゼを含んでいます。また、葉の部分は調理の際に切り捨ててしまいがちですが、実は根の部分よりも栄養価が高く、カロテン、ビタミンB2、ビタミンC、食物繊維などが豊富です。

大根の栽培時期

大根は、春どり用、初夏どり用、秋どり用と、それぞれの収穫時期に合った品種を選べば、一年を通して栽培が可能です。地域や品種によって栽培時期は異なりますが、目安として春採り用の場合には2月下旬頃に種をまき、収穫は4月末から5月中旬にかけて、初夏採り用の場合には4月頃に種をまき、収穫は5月末から6月、秋採り用の場合には9月上旬頃に種をまき、収穫は11月から12月にかけてになります。この中で、最も基本的な作型は、秋採り栽培です。

大根はプランターでも栽培できる

大根

一般的な大根は、根長が30センチ以上になるため、プランター栽培には適しません。家庭菜園などで普通サイズの大根を栽培したい場合には、培養土の袋をコンテナにする栽培方法がおすすめです。
また、プランターのサイズに適した品種を選べば、プランター栽培も可能です。プランター栽培には、一般的に「ミニ大根」と呼ばれるものや短形種などが適しています。

ころっ娘
ころっ娘は、根長20センチくらいのミニ大根です。食感は歯切れが良く、サラダや漬物のほか、おろし、炒め物、煮物と幅広く利用できます。夏秋どり栽培では種まき後50~65日頃に長さ20~25センチ、太さ7~7.5センチになれば、収穫できます。

三太郎
三太郎は、場所を選ばず育ち、耐寒性が強く、収穫可能な期間も長いため、3季どりもできる作りやすい短形大根です。味がしみこみやすいため、特に煮物に適しています。ウイルス病や萎黄(いおう)病などの病害にも強いのが特徴で、初心者にも育てやすい品種です。

早太り聖護院
早太り聖護院(しょうごいん)は、京都原産の丸形の大根です。甘みがあって緻密な肉質を持ち、おでんなどの煮物や浅漬けなどに適しています。耐病性が高く、根割れの少ないのが特徴です。種まき後60〜70日頃に収穫ができます。栽培時期は場所によって異なり、冷涼地では7月下旬~8月中旬に種をまき、収穫は9月下旬~11月上旬、暖地や中間地では8月下旬~9月中旬に種をまき、収穫は10月下旬~翌年の1月頃までが目安です。

大根栽培に適した肥料

大根は、十分な耕土(50センチ以上)を確保し、排水性と保水性をもたせて深く耕すことがコツです。種まきの2週間以上前に1平方メートルあたり完熟堆肥を約2キロ、苦土石灰を100~150グラム入れ、30~35センチの深さに耕します。そして種まきの1週間前には、化成肥料を1平方メートルあたり150グラムほど入れ、再び30~35センチの深さまで耕します。種は短形種なら約20センチ間隔で4粒ずつ、普通種なら約30センチ間隔で5~6粒ずつまき、土を1センチほどかぶせてたっぷり水をやりましょう。また、大根は成長が早いため追肥が必要です。間引きを行った後に、1平方メートルあたり50~60グラムの化成肥料をまき、株元に土寄せをします。

プランターで普通サイズの大根を栽培する場合には、25リットル以上で深さ30センチくらいの大型のプランターを用意します。プランターの底に軽石を敷き、市販の培養土を入れれば、元肥は必要ありません。3回を目安に間引きをしますが、2回目の間引き後からは土1リットルあたり1グラムの化成肥料を追肥として入れ、株元に土寄せをします。

大根栽培の注意点

大根

大根は育てやすい野菜ですが、害虫も多く、意外と病気にかかりやすいという弱点があります。大根栽培で注意したい害虫や病害には、以下のようなものがあります。

大根につきやすい害虫

大根につきやすい代表的な害虫には、次のようなものがあります。それぞれに効果的な対策もいっしょにご紹介します。

汁を吸う害虫
大根の汁を吸う害虫として、アブラムシやハクサイダニが挙げられます。アブラムシの吸汁によりウイルスに感染し、病害が出るため、防除する必要があります。アブラムシの防除には、ベストガード水溶剤、ダントツ水溶剤などが使えます。ハクサイダニに対する農薬登録されている薬剤はありませんが、野菜類のハダニに対する登録薬剤としては、サンクリスタル乳剤、アカリタッチ乳剤、粘着くん液剤などがあり、散布すれば発生は少なくなります。

葉を食べる害虫
葉を食べる害虫としては、アオムシ(モンシロチョウの幼虫)、ヨトウムシ、ハイマダラノメイガ、コナガ、ダイコンハムシなどが挙げられます。葉がなくなると根部の生育が悪くなるため、防除しなければなりません。対策方法としては、数が少ないうちは虫のついている葉を処分するのが一番シンプルな方法です。しかし、大量についている場合には、薬剤の散布が有効です。代表的な薬剤には、プレバソンフロアブル5、プレオフロアブル、ディアナSCなどがあります。プランターで栽培する場合には、防虫ネットの使用も効果的です。

大根の病害

モザイク病
モザイク病は、ウイルスが原因で起きる病害で、モモアカアブラムシ、ニセダイコンアブラムシなどの吸汁により感染します。初めに葉脈が透化し、そのうち葉全体が濃緑色から黄色のモザイク状となって、やがて葉がちりめん状などになります。生育初期に感染すると株全体が萎縮し、根が肥大しなくなってしまいます。対策としては、アブラムシの飛来を防止する防虫ネットが一番効果的です。

軟腐病
軟腐病は、細菌が原因で起きる病害です。幼苗期から発生した場合、葉柄はゆでたように軟化し、やがて枯死します。生育が進んでから感染した場合には、葉は黄化して落葉し、症状が進行すると根の中心部から腐って空洞となり、悪臭を放ちます。対策としては連作を避け、予防的にカスミンボルドー、カセット水和剤、キンセット水和剤80、ヨネポン水和剤、スターナ水和剤などを散布します。生物農薬として、マスタピース水和剤も利用できます。

大根栽培を成功させるポイント

大根は根が土中に伸びるとき、その先端が硬い土や石、あるいは肥料として与えた堆肥に妨げられると「また根」となります。たまにニュースなどで、おもしろい形の大根が話題になりますが、そうした大根もまた根が多いと考えられます。プランター栽培をする場合は、また根の心配はあまりありません。

また、大きな大根を収穫するためには間引きが欠かせません。間引きは、発芽がそろってからの1回目は、虫がついた物、形が悪い物、生育が悪い物を中心に、1カ所につき3本残して間引きます。間引くときは、残す苗を傷付けないように気を付けます。次に、本葉が2~3枚ぐらいになったら2回目の間引きを行います。このときは、成長の良い苗を2本残して間引きをします。そして、本葉が5~6枚ぐらいになったら、一番成長の良い苗を1本残して3回目の間引きを行います。この手間が、大根栽培の成功のポイントになります。

※ 情報は2018年11月時点のものです。

 

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