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“抜け目”ない土壌消毒で連作障害を克服!サツマイモの名産地を救った『ハイバリアー』とは

“抜け目”ない土壌消毒で連作障害を克服!サツマイモの名産地を救った『ハイバリアー』とは

同じ作物を続けて栽培する「連作」は、その作物を好む菌が土中に残ってしまうため、病気になりやすい「連作障害」のリスクをはらんでいます。しかし、圃場を休ませる=収入減に直結するため、“可能な限り休ませず連作したい”というのは農家共通の思いではないでしょうか。農業資材メーカーの岩谷マテリアルは、土壌消毒剤の効きを高めて「連作障害」を解消する、画期的なフィルムを開発し、大きな成果をあげています。ここでは、徳島県鳴門市の『なると金時』の事例をもとに、得られる効果や開発背景に迫ります。

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連作障害による病害発生率8割の圃場をよみがえらせたい

鮮やかな紅色の『里むすめ』。水はけ、通気性に優れた海砂が美しさの秘密です

全国に知られるサツマイモ『なると金時』の一大産地である鳴門市。なかでも里浦地域で作られる『里むすめ』は、きめ細やかな肉質のため食感が非常にやわらかく「一度食べたらやみつきになるおいしさ」と評判のトップブランドです。通常の2~3倍の価格で、京阪神を中心に全国に出荷されています。

そのおいしさの理由の一つは、海にほど近い砂地で作っていること。畑を掘ったら海水が出るほどミネラル分が豊富な土壌環境が、味の良さにつながっているのだそうです。しかし実は、その環境ゆえのお悩みも…。

処理したそばから揮散して効果が薄れる

JA里浦参事の中條(ちゅうじょう)さん。全国に向けて『里むすめ』のPR活動も行っています

「『里むすめ』は、乾燥しやすい砂地で作るため、連作すると立枯病にかかりやすく、また収穫後の芋に黒い斑点が出てしまうなどの弱点がありました」と話すのは、『里むすめ』の営農指導を行うJA里浦の中條啓司さん。約330haの圃場のうち、毎年約1割が病気により収穫できないということが続いていたそうです。病害が特に深刻な圃場では、なんと8割が収穫できなかったことも。

「最も効き目の高い消毒剤『クロルピクリン』を処理するのが、サツマイモ品種の一般的な土壌消毒法なのですが、通常のマルチはポリエチレン製で分子間の隙間が大きいため、張った瞬間から消毒剤が抜けてしまいます。そのため連作で菌が多くなった圃場では、十分な効果が得られていないのが現状です」と、徳島県立農林水産総合技術支援センターの広田恵介さんは話します。

徳島県立農林水産総合技術支援センターの広田さん

しかし、「限られた面積の圃場を連作で有効活用したい」というのが農家の思い。そこで、JA里浦では燻蒸(くんじょう)消毒などさまざまな対策を試してきましたが、どれも効果はいま一つでした。

解決策を模索した中條さんは、新たに透過性の低いフィルムを使って消毒剤の揮散を防ぐことを思いつき、同様の悩みを抱えていたJA大津松茂と共に数軒のメーカーに相談。しかし、どの企業からも「技術的に不可能」との回答が。そんな中開発に踏み切ったのが、農業資材メーカーとして環境や作物に合わせてさまざまな機能を備えるフィルムを開発する岩谷マテリアルです。

同社は徳島県立農林水産総合技術支援センター、農研機構農業環境変動研究センターによる研究協力を得て開発を進めました。そして2013年に完成したのが、ガスバリアー性能が非常に高い機能性多層フィルム『ハイバリアー』です。

多層構造により約1000倍(※1)のガスバリアー性能を発揮

徳島県立農林水産総合技術支援センターが平成22年度に行った比較実験のデータ。ポリフィルムでは『クロルピクリン』が
すぐに揮散していってしまうのに対し、『ハイバリアー』ではフィルムをほとんど透過していないことが分かります

『ハイバリアー』はバリア層をポリエチレン層でサンドする多層構造になっており、ポリエチレンの約1000倍(※1)のガスバリアー性能を発揮できます。気体を通しにくいため、『クロルピクリン』を土壌内に長く留め、殺菌効果を持続することができるのです。

「実際に試したところ、立枯病で全体の8割がだめになっていた圃場が復活し、ほぼ全量収穫することができました。劇的とも言える効果に、本当に驚きましたね」と中條さんは当時を振り返ります。
(※1)同社従来品(PE)との比較による実測値と理論値に基づいた値。

収量を比較した写真。10aあたりの収量は約1.8倍と増加、病害発生率は80%からなんと1%ほどにまで減少しました

伸びが良く破れにくい『ハイバリアー』は、多層構造でありながら0.02ミリという薄さとあり、機械による展張も可能。「『ハイバリアー』を導入する前に使用を検討していたバリア性の高いフィルムは厚すぎて機械では使えず、手作業で展張することになり、とてもじゃないけど広い圃場には導入できませんでした」と、作業効率の良さにも太鼓判を押します。

0.02ミリの薄さの『ハイバリアー』なら機械展張でのマルチ畝内処理も可能です

中條さんたちの熱心な普及活動により、『ハイバリアー』の使用者は徐々に増え、現在は里浦全体の約半数の圃場で使われています。毎年約1割が立枯病などで収穫不可能だった導入前に比べ、収量は増加し、毎年安定して確保できるようになりました。

「『ハイバリアー』は価格だけで見ると、ポリエチレンフィルムの約2~3倍と高価ですが、収穫量の増加に加えてA品も増えるため、買取単価が上昇し、結果的に収入が上がったという話も聞こえてきています」(中條さん)。

地域全体で特産品を支えていくために

『ハイバリアー』はサツマイモに限らず、さまざまな作物に効果があります

また、『クロルピクリン』は、鼻につくような臭いが特徴的で、土壌消毒の時期になるとガス化した『クロルピクリン』の臭いに対する近隣住民による苦情が問題になることもありました。

環境省の環境研究総合推進費を活用して取り組まれた研究に携わった、徳島県立農林水産総合技術支援センター 資源環境研究課主任の田中昭人さんは、「圃場周辺の大気中の『クロルピクリン』の濃度などを計測したところ、『ハイバリアー』導入後、約1/3まで低下していることが分かりました(※2)。大気中に揮散しにくいので、周りの環境に配慮した農業を可能にするフィルムとも言えるのではないでしょうか」と話します。

実際に『ハイバリアー』を導入した後は、JA里浦に寄せられていた臭いに関する相談件数も大きく減ったそうです。

(※2)「日本型農業環境条件における土壌くん蒸剤のリスク削減と管理技術の開発」(平成27年度終了課題5-1303) 参照

徳島県立農林水産総合技術支援センターの田中さん

「土壌消毒法として有効な『クロルピクリン』は使用しつつ、周りに配慮した農業は心掛けていきたいです。やはり農家だけじゃなくて地域の皆さんと一緒に『里むすめ』を全国に広めていきたいので」と、中條さんは力強く話します。畑と住宅地が混在する日本で、近隣住民と仲良く農業をやっていくためにも『ハイバリアー』は必要なアイテムと言えるのかも知れません。

全国各地のさまざまな農作物で『ハイバリアー』の効果は実証されています。連作による病気の発生や『クロルピクリン』の防除効果の向上に期待する方は、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。


【お問合せ】
岩谷マテリアル株式会社
(東京本社)
〒104-0033 東京都中央区新川1-4-1 住友不動産六甲ビル4階
TEL:03-3555-3501 FAX:03-3555-3900
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