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東京メトロが野菜作り!? 高架下の野菜工場で育った「とうきょうサラダ」

東京メトロが野菜作り!? 高架下の野菜工場で育った「とうきょうサラダ」

2017年08月01日

多くの企業が農業への参入を試みる中、東京メトロが新規プロジェクト“とうきょうサラダ”を発足。高架下に水耕栽培の野菜工場を作る、というユニークな試みを行っています。鉄道会社として“安心・安全”を追求してきた東京メトロが育てる“安心・安全”な野菜とは、どのようなものなのでしょうか。

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東京メトロの新規プロジェクト“とうきょうサラダ”。東西線の西葛西駅から葛西駅間の高架下に野菜工場を作るというユニークさや、そこで採れた野菜の品質の高さが注目を集めています。多くの企業が農業への参入を試みる中、“とうきょうサラダ”をビジネスとして成り立たせる取り組みを東京メトロ・事業開発本部の高原麗美(たかはられみ)さんと柴崎遼太(しばさきりょうた)さんにおうかがいしました。

関連記事:高架下で育てた野菜を一流ホテル注目の品へ「東京メトロの野菜作り」販路開拓法

高架下の遊休地を有効活用 東京メトロの野菜工場が生まれるまで

──プロジェクトを立ち上げたきっかけを教えてください。
高原さん 私たち事業開発本部は鉄道以外の収益事業を手掛ける部署で、これまでは主に駅ナカの開発や不動産事業を中心に行っていました。そんな中、今から数年前に、これまでにない新規事業を立ち上げて、企業価値を高めようという機運が高まりました。当時、土を使わず水に肥料を溶かした養液で野菜を育てる水耕栽培に注目が集まっていて、これはおもしろそうだという話になりました。家電メーカーや異業種からの野菜事業への参入も増えてきていた時期でした。

同時に、社内では高架下の遊休地の活用が課題になっていて、西葛西駅から葛西駅間の高架下に野菜工場を作ってはどうかという話になりました。ここは駅から少し離れているため、飲食店などのテナントが入りづらかったのです。

柴崎さん 水耕栽培は、農薬不使用、衛生的な環境で、“安心・安全”な野菜が育てられます。東京メトロも鉄道会社として“安心・安全”を追求してきたので親和性もあると考えました。

東西線の運転士が野菜工場に!? 全員が農業未経験から始めた水耕栽培

──今年の2月に実証実験期間を終え、プロジェクト継続が決定したとのことですが、ここに至るまでどんな苦労がありましたか。
高原さん 黒字化の目途が立てば継続、立たなければ撤退。それを踏まえて、収益化するにはどうしたら良いか、リスクヘッジをどうするかなど、様々な視点で検証を開始しました。例えば、場所を広くしすぎると万一、撤退となった時のリスクも大きくなってしまいます。まずは、リスクを最小限に抑えながら、限られたスペースの中でどう栽培するかを考えました。

私たちも含めて、プロジェクトメンバーは全員農業未経験でした。中には元々東西線の運転士だった人もいます。 最初はわからないこともたくさんあったので、プラントメーカーの方にいろいろ教わって、手探り状態で始めて、やっと形になった感じです。

柴崎さん このプロジェクトは東京メトロが主に事業計画づくりや販路の開拓を行い、野菜工場の運営はグループ会社のメトロ開発が行っています。私たちが時々現場に顔を出すと、毎日作業プロセスが進化していて、その工夫に驚かされます。野菜への愛情をすごく感じます。

高原さん 最初に比べたら味も大きさもかなり変わりました。最近、光源を蛍光灯からLEDに変えました。すると、生育がかなり良くなりました。LEDの方が植物の生育に必要な波長を効率よく照射できるのです。現状に満足せず、もっと美味しい野菜を作れるように日々試行錯誤を重ねています。

安心・安全で美味しい野菜“とうきょうサラダ”ができるまで

── “とうきょうサラダ”はどのように栽培されるのですか?
柴崎さん 野菜工場で農薬を一切使わず、人工光を利用した水耕栽培で育てています。室内なので季節や天候に関係なく、一年中安定した栽培が可能です。

栽培方法は、まずはウレタンスポンジに種まきをして、養分を水に溶かした液肥の流れる棚に移します。そこから葉の成長に合わせて野菜同士の間隔を広げる“定植”の作業に入って、ちょうど良い具合に成長したら、ハサミで収穫して出荷準備に入ります。品質を損なわないように一つ一つ丁寧に手作業で行っています。

──どのような野菜を栽培しているんですか?
柴崎さん 今はフリルレタスなどのレタス類、ロメインレタスやチコリ、バジル、ベビーリーフ、ハーブ類を栽培しています。お客様の要望次第で今後も増やしていきたいと考えていますが、どう増やしていくかは環境に合わせて考えたいと思っています。

野菜工場に入るには5つの扉を通る 「安心・安全」を貫くメトロの衛生管理

──野菜工場は、厳重に衛生管理をされているとうかがいました。環境保持のためにどのような工夫をされているのですか?
柴崎さん 環境が厳重に管理されているので、野菜工場に入るためには5つの扉を通らなければなりません。作業員も工場に入る前に手洗いはもちろんのこと、手を消毒して、さらに手袋も消毒して、というように何度も消毒しています。あとは、二酸化炭素や室温・湿度を計測して、工場内に異常がないかを確認しています。
ハサミも鉄製ではなく、錆びないセラミック製のものを採用し、使うごとに消毒するなど細心の注意を払っています。

高原さん このように閉鎖型かつ、土を使わない水耕栽培なので虫もつきませんし、異物混入の心配がほとんどありません。当社の野菜工場は、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証「JGAP」も取得しています。

柴崎さん 雑菌による野菜の傷みが少ないため長期保存もできます。また、アクやえぐみが少なく、野菜が苦手な方もおいしく食べられると好評です。それに、天候に左右されない環境で栽培するので、毎日同じ品種を同じ数だけ一定の品質を保った状態で収穫できて、安定的な価格で提供できるのも“とうきょうサラダ”の利点の一つです。

食に対する世間の関心の高まりや、安心・安全な野菜へのニーズをくみ取り、それを提供するために徹底的な管理と熱意を注いで作られた“とうきょうサラダ”。2017年の2月にプロジェクト継続が決定したものの、そこに至るまでには越えなければならない大きな壁がありました。

関連記事:高架下で育てた野菜を一流ホテル注目の品へ「東京メトロの野菜作り」販路開拓法

東京地下鉄株式会社 流通・広告事業部
https://www.tokyosalad.com
※写真提供:東京メトロ

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