肥沃な土でおいしい作物に 農を助けるスーパー微生物「EM」とは – マイナビ農業

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生産者の試み

肥沃な土でおいしい作物に 農を助けるスーパー微生物「EM」とは

肥沃な土でおいしい作物に 農を助けるスーパー微生物「EM」とは

2017年09月05日

乳酸菌や酵母、光合成細菌などの有用な微生物の集合体「EM」。土着の有用菌を活性化させることで土を肥沃にしたり、水田に使用すると水がきれいになったり、EMの抗酸化作用で微量に残留する農薬が減少するなど、多くのメリットがあるとされています。EMを農業に利用する有効性についてお聞きしました。

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EM菌「Effective(有用な)Microorganisms(微生物)」という言葉をご存知でしょうか。
EMという名称の菌が存在するわけではなく、実態は「土壌を発酵させる」という考え方をもとに見つけ出された、大地や生産物にとって良い働きをしてくれる菌の集合体です。
1982年に農業資材として実用化されて以来、EMを扱っている株式会社EM生活の植村加奈子(うえむらかなこ)さんにお話をうかがいました。

沖縄県「サンシャインファーム」のズッキーニ(農薬使用、化学肥料不使用)。
重粘土質の硬い土をEMでふかふかにしています

特別なわけじゃない。EMは“おなじみ”の菌の集合体

EMとはどのようなものなのでしょうか。

多くの方が耳にしたことのある「乳酸菌」と「酵母」、そして「光合成細菌」など、有用な微生物を共生させた集合体がEMです。乳酸菌はヨーグルトなどに豊富に含まれている微生物ですし、酵母はパンなど発酵食品を手作りする人たちにもおなじみの菌です。光合成細菌については、田んぼに多く生息する微生物ですので、農家さんにはおなじみかもしれません。

EMは、これらの菌を一緒にして共生させたところが画期的で、肌に触れても、万が一口に入っても体に悪影響を及ぼすことのない安全なもの。人にも環境にも優しい微生物なんです。

EMはなぜ農業に有効的なのでしょうか。

EMを畑に入れることで土着の有用菌を活性化させ、有機物が発酵します。それをエサにして他の土中微生物が増加します。微生物が増えるとミミズなどの生き物が増え、肥沃な土になっていきます。

水田でも同様に、EMやEMの酵素が水中の汚れを分解することで水がきれいになり、生き物が共生しやすい田んぼになっていきます。畑も田んぼも、「生物多様性」という言葉が示す通り、数え切れないほどたくさんの微生物が共生しており、その相互関係をより良くする環境作りをEMが担っているのです。

EMが土壌の環境を良くしたあとは、田畑にとって良い効果が連鎖的に起こりやすくなるといわれています。土壌改良により病害虫が減るため、生産物の食味や品質が向上したり、収量が増えたり、土が豊かであるために不耕起栽培(※1)でも生産物ができやすくなるといった省力化などのメリットです。そのため、1982年の実用化以来、多くの農家さんにご利用いただいております。

またEMは農業資材ではありますが、化学肥料と違って、必要な量や濃度などは、その土地によって異なります。液体タイプを希釈して散布したり、米ぬかなどの有機物をEMで発酵させたボカシ(※2)などを使い、見た目や食味の向上といったプラス効果が出るまで使っていただくことをおすすめしています。

一般的に、自然農や有機栽培をされていた畑のほうが、長い間化学肥料を投入していた畑に比べると、EMの投入量も少なくて済むようです。

(※1)不耕起栽培:農地を耕さないで作物を栽培する方法の一つ。
(※2)ボカシ:肥料となる有機質を微生物によって発酵させた肥料。

EMを農業に活かした実例はどのようなものがありますか。

長年耕作放棄地だった場所を新たに田畑にするときに使っていただいたり、自然農や有機栽培をされている農家さんが地力を上げるために活用いただいたりと、使用される方によって様々です。

また、一般的に農薬を多く使用するとされる果樹の栽培でも、EMを併用することが可能です。土壌が健康になれば、高温や長雨などの異常気象で環境負荷がかかったときにも樹の健康を保つことができます。

日本全国それぞれ異なる条件で、様々な農家さんに役立てていただいているようです。

山口県「杉村農園」のイチゴ。米ヌカをEMで発酵させたボカシを中心に、
EMの活性液(EMを水などで希釈したもの)とEMのセラミックス(EMを粘土に混ぜこみ素焼きしたもの)を活用しています。
化学肥料や農薬の使用量も、慣行栽培のイチゴよりも大幅に減らすことができています

 

秋田県「エコニコ農園」のブルーベリー(農薬不使用)。
白く粉をふいたように見えるブルーム(果皮表面の白い粉状の蝋物質)は、鮮度が高い証拠

 

ブルーベリーの木の根元から、たくさんの若い枝(シュート)が出ています。木が元気な証拠です

ありがとうございました。

EMは、有機栽培だけに限らず、現在の農法を変えずに使うことができ、同社のホームページで使用方法も公開されています。希釈して使用するため、農薬資材としては良心的な金額であることも魅力です。農家の方以外でも、家庭菜園を趣味とする方や、市民農園で野菜作りに励んでいる方も試してみてはいかがでしょうか。

株式会社EM生活

https://www.em-seikatsu.co.jp/

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