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日本産の約半額で供給。マレーシア産“日本品質いちご”とは

日本産の約半額で供給。マレーシア産“日本品質いちご”とは

2017年11月09日

バイオベンチャー企業群のちとせグループが、マレーシアにてシンガポール向けに熟度の高い甘いいちごを栽培しています。農園からの直送などで日本産の約半額での供給を実現しており、シンガポールで新たなマーケットを切り拓いています。

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東南アジアで食べるいちごは、酸っぱくて固く、香りもしないものがほとんど。そんな東南アジアの中心地シンガポールで、昨年から甘~い完熟の“ちとせいちご”が食べられるようになりました。

いちご

マレーシアでの栽培の様子

日本品質のいちごを日本産の半額で

日本産いちごは「甘くて美味しい」と東南アジアでも一目置かれており、東南アジアへ輸出に乗り出す企業や自治体も出てきています。しかし輸出コストが嵩むため、価格は日本の5倍以上と高く、またほとんどが12~3月と季節限定の供給になっています。そのため日本産いちごは、贈呈用や一部の富裕層のみが手にする限定的なマーケットであるのが現状です。

そこで、ちとせグループは2014年から「甘くて美味しい」を叶える“質重視”のいちご栽培をマレーシアで開始し、2016年よりシンガポールへの直送を始めました。消費地に近い場所に自社農園を構え農園から直送することで、日本産いちごの半額程度での通年供給を実現しました。

キャメロンハイランドの風景

大量投入大量廃棄から品質重視の農業へ

ちとせいちごはマレーシア半島東部に位置する高原地帯、キャメロンハイランドで作られています。昼夜の寒暖差があり、いちご栽培には適した土地です。

そんな場所で“日本人のいちご職人”として知られているのは、ちとせグループの木下恭亮さん。木下さんはもともとボルネオ島で個人農家としていちごを栽培していました。ちょうど同時期にボルネオ島に駐在していたちとせグループ社員小池さんの耳に『美味しいいちごを作る日本人がいる』という噂が入り、木下さんのいちごを食べて感激したのが全ての始まりでした。

そして木下さんは、「アジア地域に環境配慮型の農業を拡げる」というちとせグループの想いに賛同して入社を決意します。

一般的にマレーシアで行われている農業は、質より量を重視し、農薬や肥料を大量に使用する大量投入大量廃棄型の農業がほとんどです。もっと環境に配慮した農業にすべきだ!と声を上げたところで、経済的なメリットが無い限り誰も耳を貸してくれません。

木下さんと小池さんは、「東南アジアの多く人に、美味しいいちごを食べてもらい、いちごの本当の美味しさを知ってもらいたい。美味しさに見合う金額を出す人が増え、経済的メリットが生まれれば、生産側も美味しい作物を作ろうというマインドになる。それが品質を重視した農業や環境に配慮した生産方法に繋がっていく。」そう信じ、ちとせいちごプロジェクトをスタートさせました。

いちご

いちご職人の木下さん(左)と小池さん(右)/2014年

「美味しい」感動を与えるために

最高品質のいちごを食べてもらうために、木下さんの拘りは徹底しています。肥料の配合、潅水のタイミング、果実の積み方、収穫箱への並べ方、パッケージングの方法まで日々細かい工夫を重ねています。

日本のいちごは現地のものと比べて果実がやわらかく、しかも色づきや糖度がピークに達するまで完熟させてから収穫するためとてもデリケートです。そのため、輸送過程で受けるダメージもリスクのひとつ。ちとせグループは、三井化学株式会社のフード&パッケージング事業本部、及びMS-R&D(三井化学シンガポールR&Dセンター)と共同で輸送形態を検討しています。

こうして「美味しい」感動を与えるために拘り抜かれたちとせいちごは、シンガポールのミシュランレストランや、名だたる賞を獲得したパティシエが手がける人気洋菓子店、シンガポールを代表するリゾートホテルなどにも展開。Isetan Singapore(シンガポール伊勢丹)での販売もはじまり、日本食にうるさいシンガポールの富裕層も「日本で食べたいちごより旨い」「いちごの概念が変わった」と大絶賛です。

ちとせグループはこの成功例をもとに環境配慮型の農業を東南アジアに広げていく予定です。次に目指すのは、インドネシア。これからの東南アジアの農業の変化が期待されます。

写真提供:ちとせグループ

参考:http://chitose-bio.com/jp/

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