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生産者の試み

耕作放棄地を一人で耕し就農 自然栽培を貫く女性農家のスタイル

耕作放棄地を一人で耕し就農 自然栽培を貫く女性農家のスタイル

2017年12月06日

医療クリニック経営者、マクロビオティック研究家など多くの顔を持ちながら、3年前に農業の世界に飛び込んだ農業家、仲吉京子(なかよしきょうこ)さん。右も左もわからないまま始めた農業でしたが、これまでの経験や人脈を活かし、独自の営農スタイルを構築している仲吉さんに、どのように農業を経営されているかお話をうかがいました。

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仲吉京子さん略歴
・神奈川県横浜市在住
・神奈川県相模原市の3.3反の田畑にて、米や野菜を栽培
・医療機関で25年以上働いた経験がある
・自然栽培、無農薬・無肥料の農業に取り組む

加熱用トマトの女王を目指して

女性農家

「『はたけとなかよし』という屋号をつけて、自然栽培、無肥料・無農薬にこだわり、現在は57品目の野菜を栽培しています。特に力を入れているのがトマトです。

『はたけとなかよし』で栽培されているトマトは、サンマルツァーノというイタリアの品種です。細長く、小さな茄子のような形で、生で食べると酸味が強いのですが、加熱すると甘みが出ます。加熱調理用のトマトとして、イタリアではメジャーな品種です。ソースにしてパスタやピザに使うと、他のトマトとの味の違いに驚きます。

私は、先輩農家から種を頂いて、無農薬・無肥料で育てています。最近では、サンマルツァーノを栽培している農家さんも増えてきましたが、無農薬で栽培している方は多くないので、2017年は作付面積も増やしました。新しいチャレンジですね」。

雑草だらけの畑を、鍬一本で耕すことからスタート

女性農家

「元々、医療機関で25年以上勤務していて、食と健康の関連性には深い関心がありました。食と健康について突き詰めていくと、結局自ら『農業』に携わることが自然だと感じたのが、就農を志したきっかけです。

はじめはNPOで耕作放棄地の再生利用支援を行っていたのですが、神奈川県相模原市の青年新規就農者として認定され、友人の畑を間借りしながら少しずつ耕地を増やしていきました。20年以上も使われていなかったジャングルのような場所を、鍬(くわ)一本で切り拓くことからスタート。見かねた仲間がトラクターを貸してくれたり、耕すのを手伝ってくれました。そして少しずつ形になって、現在は3.3反ほどの田畑となりました。

研修を経て新規就農は研修を経た2017年で、農業を始めた期間は短いです。しかし、農業に就く前から遺伝子組み換え食品や添加物の問題について考えるコミュニティに参加していたので、農家の仲間が多くいました。

その中には、農業の師匠である岡本よりたか(おかもとよりたか)さんが協力してくださったり、また重機を貸してくれる仲間もいます。そういった縁に恵まれて、現在の形にできました」と仲吉さん。

 
【関連記事はこちら!】
>医療とは違うアプローチで健康をめざす ~元医療関係者が自然栽培農家になるまで~

農作業が終わったあとは営業活動へ

女性農家

「周りの方々の協力を得ながら、ようやく作物作りを始めました。次に直面したのは、『作物の販売』の難しさです。最初は耕地を作ったり、植え付けをしたりといった作業で頭がいっぱいで、販売についてはまったく考えていませんでした。

そろそろ作物を収穫しようという時になって、『どこに売ろう?』と気づいた状態。周囲からは『順番が逆だ』と呆れられましたが、あわてて営業活動を始めました。

私の中での販売時に譲れないポイントは、『自分から値を下げない』ということです。大切に育てた作物なので、食の大切さに敏感で、対面販売で売るときと同等の価格で扱ってくれる方に託したいと思いました。

営業活動は、農作業が終わった後に行います。軽トラックの中に用意しておいたスーツに着替えて、近隣のレストランを中心に営業回り。元々ワイン好きで、食材を大切に扱いながら料理を丁寧に作るお店を知っていたことも幸いでした。イタリアンやフレンチなどトマトソースを必要とするお店に、無農薬で作ったサンマルツァーノを持ち込むと、興味を持ったのです。

収穫から梱包、配達まで一人で行うので、大量に受注することはできませんが、『私の野菜だから買ってくれる』という人を、これからも増やしていきたいです」。

本気で農業に取り組む人を増やしていきたい

女性農家

地元神奈川県津久井郡の農業家と共に企画した「つくいやさいのセット」

「これから取り組んでいきたいのは、就農人口の底上げです。私のように、『健康』というキーワードから『農業』に興味を持つ方も今後は増えてくると思いますし、単純に『カッコいいから農業をやる』という方もいていいと思います。

自分の感覚を頼りに自然と対話をする農業は、始めてみると本当に奥が深くて興味が尽きません。私は就農したばかりで余裕がないので、援農のオファーも多くいただきます。収穫作業はとても楽しくて、ひとり占めしたいくらいです。本気で取り組めば、農業はそれくらい楽しいということを、多くの人に知っていただきたいです。

同じ志をもった仲間と、不定期で『農Future』というイベントを開催しています。参加してくれた中学生の女の子から、『農業高校に進学した』という報告をもらいました。将来は、『農Futureのメンバーになりたい』と言ってくれて、本当にうれしかったです。

『広く浅く』ではなく、本気で農業に取り組み一緒に楽しんでくれる方が増えていくこと。そして将来的に農業人口が広がっていけば、とてもうれしいです」。

つくいやさい(無農薬野菜の宅配)

農Future

写真提供:はたけとなかよし

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