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鮮度と価格で主婦を魅了する店【八百屋ファイル:おなかすいた】

鮮度と価格で主婦を魅了する店【八百屋ファイル:おなかすいた】

最終更新日:2018年10月01日

近年、独自の目線で野菜をセレクトするこだわりの八百屋さんが都内を中心に増えています。今回は関東、中部地方に展開する八百屋「Una casita おなかすいた」をご紹介します。会社設立からたった2年で12店舗を展開。異例のスピードで躍進を遂げているのにはどのような秘密があるのでしょうか。「おなかすいた」を運営する株式会社モンテン代表取締役の高品謙一(たかしなけんいち)さんに話をうかがいました。

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全店舗に冷蔵ケースがないのが鮮度の証

おなかすいた

代表の高品さんは、2015年に株式会社モンテンを立ち上げるまでは、野菜の直売所を全国展開する会社の代表を務めていたそうです。その時に培った知識やネットワークを活かして、「都心で直売所のようなスタイルの八百屋を作りたい」と考えて、2016年4月に「おなかすいた」の一号店を東京都世田谷区下北沢にオープンしました。

「都心部は食に対する要求が高く、鮮度のいい野菜のニーズが高いことを感じていました。直売所の野菜は、農家が直接送ってくださるので鮮度は抜群です。ただ、畑と直売所が近いからこそ可能なスタイルで、都心で実現するのは無理があります。

遠くにある畑から農作物を届けてもらう場合は、宅配便を利用します。そうすると、朝の開店前に野菜が到着しませんし、悪天候や交通渋滞があると入荷できないこともあるでしょう。そこで、私たちが考えたのは、市場から仕入れて産直のように鮮度の良い状態で販売することでした」。

市場から仕入れた野菜は、数時間以内に各店舗に納品されます。一般的な八百屋やスーパーと比べると驚異的な早さです。だから鮮度は抜群。山のように積まれた新鮮なコマツナが瞬く間に売れていきます。

決して大きな店舗ではありませんが、コマツナを1日に50ケース販売することもあります。「うちの店は店頭にもバックヤードにも冷蔵ケースはありません。その日に仕入れた野菜は、なるべくその日のうちに売り切りますから必要ないのです」。

旬の野菜は「味良し・香り良し・お値段良し」

おなかすいた

鮮度にこだわる「おなかすいた」ですが、もう一つのこだわりが「安さ」です。先述のコマツナは、取材日(2017年10月)の販売価格は1袋45円。大きなダイコンが1本98円、ナスが5本で88円など驚くほどの安さで販売されていますが、秘密は野菜の買い付け方にあるそうです。

「まずは豊作の野菜、果物を買い付けることです。豊作のものは市場に過多に集まっていて、市場 としても転売先に困っているので、私たちが一気に買い付けます。

さらに、市場で扱う野菜にはランクがあって、キュウリならAランクは太さが均一でまっすぐです。一方、CやDランクになると、味や安全性はAランクと全く変わりませんが、反り返っていたり傷があったりと、見た目が悪いので安く買えるんです。ランク付けに鮮度は関係ありません。

うちの野菜はそうしたC、Dランクの野菜を買い付けることで安さを実現しています。野菜は毎日のように買うものだから、消費者は数十円の差でも大きな違いを感じやすいんですよね。だからこそ『鮮度』と『安さ』はシビアに見極めて扱っています」。

一方、店舗運営で必要ないと判断したのは「品揃え」です。大手スーパーでは、青果は数百種類の取り扱いがあるものですが、「おなかすいた」では常時50〜60種類しか店頭に並んでいません。

「もしホウレンソウを買いに来たお客様がいても、ホウレンソウが198円、コマツナが58円だったら、後者を選ぶ人のほうが多いのではないでしょうか。レシピサイトもたくさんあり、新しいメニュー作りに挑戦してみようとなるかもしれません。『価格の安さ』は予定していた献立を変えてしまうくらいの力があると思っています」。

特売の野菜を見つけて思わず買ってしまうことは、誰もが経験のあることではないでしょうか。だから安さを売りにして、商品数を多くすることにはこだわっていないのです。

毎日の台所を預かるベテラン主婦のために

おなかすいた

「おなかすいた」では、“63歳の小百合(さゆり)さん”という専業主婦を、架空のお客さん像を想定して店作りに活かしています。小百合さんは、定年退職をした旦那さんと都内の3LDKマンションに二人暮し。二人の子どもたちはすでに独立し、趣味は旅行といったように細かいターゲット設定があります。

国内外のおいしい食べ物についての知識も持っていて、日々の出費はきちんと抑える堅実さもあります。そして家族の日々の食卓を支えてきたベテラン主婦です。

「毎日料理をする人は『野菜に傷があっても、切れば問題ない』『曲がっていても味に変わりはない』ということを分かっています。私たちは、このような主婦層を中心としたお客様が納得する価格と品質、鮮度を大事にしています」。

60代女性は、野菜の1日の摂取量が最も多い世代(※1)でもあり、野菜に対して関心が高いことも注目したポイントなのです。

2人の匠チームが作るユニーク陳列

おなかすいた

お店を訪れるとまず目に飛び込んでくるのが、独特の陳列方法です。書店や雑貨店のような棚に色とりどりの野菜がきれいに並べられたり、木の枝に実がなっているように果物がぶら下げられたりと楽しい演出をしています。これらの棚や什器は、株式会社モンテンの社内で「匠チーム」と呼ばれる2人の社員が、全てオリジナルで手作りしています。

商品棚だけでなく野菜が雑貨のように袋詰めされていて、店内全体がポップで可愛らしい雰囲気があふれていて思わず手に取りたくなります。「63歳の小百合さん」のような主婦層の女心をくすぐる店作りがされています。

「設立当初から試行錯誤をした結果、今のディスプレイにたどり着きました。扱う野菜はもちろん、内装やポスターも全て自分たちで手探りで挑戦し続けているので、外注することは考えられません」。

こだわり野菜だけでなく、店の隅々までオリジナリティ溢れる工夫を考えて、主婦の心をつかんではなさい「おなかすいた」。年内にはさらに2店舗のオープンをさせます。勢いがとまらない「おなかすいた」の快進撃が楽しみです。

おなかすいた

※1 国民健康・栄養調査結果の概要(平成27年、厚生労働省)

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