嬬恋の若者たちBRASSICAの「キャベツをデザインする」活動

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嬬恋の若者たちBRASSICAの「キャベツをデザインする」活動(2/1)

嬬恋の若者たちBRASSICAの「キャベツをデザインする」活動
最終更新日:2020年02月05日

群馬県嬬恋村の名産品と言えば「嬬恋高原キャベツ」。その売り上げは全国の総出荷量の半分を占める、文字通り「日本一のキャベツ産地」です。最盛期には一帯が緑で染まる丘陵地の一角に、ハート型のキャベツ畑が出現します。キャベツ農家の若者たちが結成した「BRASSICA(ブラッシカ)」の「キャベツをデザインする」PR活動は、それまでなかったコミュニケーションを生んでいます。食べる、楽しむ、つながる。若者たちの活動が嬬恋に新しい連鎖を広げます。

アブラナ属(BRASSICA)の多年草「キャベツ」を生産する若者

嬬恋キャベツの生産者、干川大地(ほしかわ だいち)さんは、祖父の代から続く農家の三代目。「はじめは様々な作物を作っていたようですが、昭和の初期に村全体でキャベツ生産に力を入れることになって、キャベツ農家になったと聞いています」と話す29歳は、東京農業大学短期大学部で学んだ後、村に戻って家業に就きました。
幼いころから見慣れた生産風景とは言え、自らキャベツづくりに携わるとその景色は一変。高原キャベツの生産時期の3月から10月。最盛期には一日の大半を畑で過ごす日々を送ります。キャベツ農家ならではの時間の流れは、異なる業種で働く同年代はもちろん、農家同士の接点を作りにくい状況でした。「気が付くと、家族としか話さない日もある」ことを憂いた干川さんが、「キャベツでつながるグループを作って、様々な人と交流する機会を作っていこう」と声をかけた農家仲間2人と「BRASSICA(ブラッシカ)」を結成したのは2015年のこと。キャベツ農家らしい活動をしていくことを表現するため、キャベツも含まれるアブラナ属の名称を冠しました。

嬬恋の新しい風物詩「嬬恋ハートキャベツ畑プロジェクト」

「BRASSICA」は「キャベツをデザインする」というコンセプトのもと、生産、流通、販売のあらゆる場面で、生産者と消費者が、キャベツでつながるために、結成当初、3つの目的を掲げました。

・嬬恋キャベツのPRとブランド力強化
・農業と観光の提携による地域活性化
・日本一の嬬恋キャベツを通じた交流促進

「あくまでキャベツを中心にした活動にこだわった」と言います。
具体的な行動プランを思案するなか、干川さんは群馬県内の若手農家の会合で、野菜ソムリエグループの人と知り合い、生産現場での研修を行いたいという要望を聞きました。「キャベツ畑で何か印象に残ることはできないか」と相談し、田んぼアートに着想を得た「ハート型のキャベツ畑」を作ることを計画。村がその名称「つまごい」にちなんで、「妻に恋する」愛妻家の聖地というPR活動を展開する中で、広大な嬬恋の丘陵地帯に「ハート型のキャベツ畑」を出現させることで「村と自分たちの活動、それぞれのPRになれば」と考えました。こうして、今では嬬恋の風物詩となった「嬬恋ハートキャベツ畑プロジェクト」が産声をあげました。
ハート型にキャベツの苗を植えることで、畑に無駄なスペースが生まれてしまうこと。ハートの型が肉眼で見えるような傾斜のある土地。理想に近い条件をクリアした3,000平方メートルの場所に、BRASSICAメンバーと野菜ソムリエグループの総勢15名で、4,000株のキャベツの苗を植えました。「出荷前の姿を知ってもらうこと、生産現場を見ていただくことで、よりキャベツに関心を持っていただけたら」という願いは少しずつ、けれど着実に伝播していきました。
秋の声が聞こえ始めるころ行った収穫イベントは、ソムリエグループのほか、facebookで告知したことで、一般の参加者も集まりました。1玉100円。菜切り包丁を使って、自身で必要なだけキャベツを収穫する体験は好評を博しました。

品種の違いを楽しむ「食べ比べフェア」

「きっかけがなければ作る」。それが、干川さんたちメンバーが「嬬恋ハートキャベツ畑プロジェクト」から学んだことでした。初めてのハート畑プロジェクトの後、メンバーは2人増え、5人に。若者たちの活動は、年を重ねるごとに、先輩農家や村民からの共感を獲得してきました。「ブランドキャベツ食べ比べフェア」は、ペンション「すこやか」を経営する山岸夫妻から提案された企画を実現したもの。スーパーに並べられるキャベツには、産地が表記されています。店によっては生産者の顔写真を掲示するところもありますが、品名は一律「キャベツ」であることがほとんど。「実はキャベツにも品種があり、早生から晩生まで、嬬恋でも10種類ほど生産されている」と言います。その違いも知ってほしい生産者と、その違いを活かして料理として提供したいペンションオーナーによる「食べ比べ」イベント。素材そのものの味を楽しむ生の千切りや塩茹でしたもの、キャベツ料理の定番ロールキャベツや浅漬け、炒め物などにして、様々な品種のキャベツを食べた一般の参加者はもちろん、生産者も、料理人も、味や歯触りの変化を楽しむきっかけとなりました。

「キャベツをデザインする」若者たちのこれから

結成から3年。干川さんたちの「キャベツをデザインする」活動範囲は、広がり続けています。結成当初から定期的に行っている若手農家同士の勉強会は、横のつながりが強くする機会に。「同じ土地で、同じ志を持つ農家同士、より品質の高いキャベツを作ることが、嬬恋のブランド力の向上につながる」。効率的な作業方法の検証や、肥料の扱い方、機械の選び方など、毎回テーマを決め、情報交換をしています。親から子へ、代々受け継がれてきたその家の〝やり方″と、最新の生産方法を共有する機会を通して、生産者仲間のきずなが生まれました。新たに生産者に加わる後輩たちにとっては、基礎を学ぶ場所にもなっています。
灯台キャベツで有名な千葉県銚子市や、愛知県渥美半島など、他の産地の視察を行い、刺激を受ける場面も。
閉塞感に似たものを感じていたキャベツ農家の若者たちは今、キャベツという彼らにとって唯一無二のコミュニケーションツールを使って、交流の機会を作るという「夢中になること」に出会いました。
活動の原点である「ハートキャベツ畑プロジェクト」は、2018年、「より多くの人に楽しんでもらえるように」4年目の実施に向け、新たな要素を企画中です。
嬬恋で日本一の高原キャベツが生産され続ける限り、彼らの活動に終わりはありません。これからも、「BRASSICA」は「キャベツをデザイン」し続けます。

BRASSICA

活動の詳細はこちら(facebook) https://ja-jp.facebook.com/brassica2015/

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