販売価格の8割を生産者へ 生産者と飲食店を繋ぐ「SEND」

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販売価格の8割を生産者へ 生産者と飲食店を繋ぐ「SEND」(2/1)

販売価格の8割を生産者へ 生産者と飲食店を繋ぐ「SEND」
最終更新日:2020年02月04日

食料生産支援・流通支援プラットフォームの開発や提供を行うプラネット・テーブル株式会社が、2015年に立ち上げた「SEND」。東京都内の4,300軒以上の飲食店と、全国の生産者をつなぐ新しいプラットフォームです。SENDでは流通コストを削減し、販売価格の8割を生産者に還元するなど、生産者の所得向上を目指す取り組みも行っているそうです。プラネット・テーブル株式会社の近藤雄紀(こんどうゆうき)さんに話をうかがいました。

東京都内4,300軒以上の飲食店に農作物を卸すことができる

プラットフォーム

SENDは生産者自慢の採れたて作物を、4,300軒以上の都内の飲食店に販売するプラットフォームです。「自分が栽培している農作物を配送する拠点が首都圏に欲しい」という生産者が主に利用しており、出荷生産者数は4,500軒を超えるといいます。

SENDの流通システムはどうなっているのでしょうか。
まず、SENDが、買い手である飲食店の注文履歴や客層、店周辺のイベント情報や天候など様々なデータを収集し、独自のリサーチ(需要予測)を行います。そのデータをもとに、出荷の3~6ヶ月前に生産者へ「作付・出荷相談」を行います。予測発注分は検品後、SENDが全商品を買い取ります。

受注した生産者は、需要が見込める時期に合わせて農作物を作付けし、出荷時期になると、首都圏にあるSEND物流センターに収穫物を納品します。その後、SEND物流センターで、飲食店の注文ごとにピッキング・小分け梱包され、自社配送で各店舗に当日~翌日納期で届けられます。

「現在、生産者がSENDに発送する際は、宅配便や市場便を利用していますが、今後は各産地に集荷拠点を設けていく予定です。また、関東近郊の産地では、SENDの集荷便が直接生産者のもとへうかがって集荷をする『自社集荷便』を行う予定でいます」。

生産者が出荷する作物は様々ですが、全国各地から、その季節で一番おいしい旬の食材が出荷されています。

生産者にとって嬉しい手軽な出荷準備

プラットフォーム

店頭での販売価格をもとに、生産物の買い取り価格を決める「買い手本位」の既存流通システムと異なり、SENDは「生産者支援」に軸足があります。IT化することで中間コストを大幅に削減し、販売価格の8割を生産者に還元することで、生産者の所得向上の実現を目指しています。

生産者から希望販売価格をヒアリングし、可能な限りその価格で販売できるよう、心がけているそうです。

SENDでは作物の外観や味はもちろん、サービス名の通り「鮮度」を大切にしているので、出荷にも工夫があります。そして、それは生産者の手間を省くことにもつながっています。

「生産者の方へは、『作物の色や形を選別して整えなくていいので、すぐに発送して欲しい』と伝えています。梱包もダンボールに詰めるだけで、包装やパック詰めも不要です。規格選別や小分け・包装にかかる手間が省け、収穫後は発送するだけなので、生産者さんに喜ばれています」。

また、SENDは前述した需要予測技術を用いて、注文した当日から翌日に採れたての作物が店舗に届くようにしています。飲食店が注文する作物の種類や数量を事前予測し、店舗が注文するであろう1週間~1ヶ月前にSENDが生産者に発注します。そのため、生産者は余裕をもって収穫・出荷をすることができます。

「自社で開発した物流支援のピッキングシステムによる効率化や、効率的な配送を実現する配送システムが構築されました。その結果、SENDは生産者から届いた作物を、当日~翌日の注文で配り切ることができます。そのため、自社センターに在庫を抱えることはほとんどありません。一般的に生鮮の流通過程でのロス率が15~20%といわれる中で、SENDのロス率は0.88%を達成しています」。(※2018年3月 SEND調べ)

Uターンを決めた跡継ぎも SENDの利用から始まった好循環

SENDを利用している、生産者の亀川さん。インゲン、オクラ、ニンジン、西洋野菜などを栽培しています。

SENDを利用する生産者は、出荷率アップにも喜んでいるそうです。刻んだり、ペーストにして使ったり、見た目にこだわらずに様々な用途に向けて販売しているためです。作物の色やサイズなどの規格で決められている、既存の流通規格にも縛られません。そのため、廃棄が減って出荷率が上がり、収入アップにもつながっているのです。中にはSENDを利用することで、同じ面積あたりの収益が1.5~2倍になった生産者もいるそうです。

さらに入金サイクルを、5日毎締め、10日毎締め、15日毎締め、月末締め(翌々日払い)、通常設定(月末締めで翌月末日払い)の5つから選ぶことができて、いつでも変更可能です。支払日を細かく設定することで、資金繰りをある程度コントロールできるので生産者にとってはメリットです。

メリットは資金コントロールができる面だけではありません。消費者の需要傾向を伝えたり、販売先であるシェフの感想などをフィードバックすることで、生産者の意欲向上にもつながっています。有名レストランのシェフからメッセージが届き、モチベーションが上がったという話もよく聞かれるそうです。

「あるトマト農家さんは、SENDを通じて自分が作ったトマトを東京の有名レストランに使ってもらったことで、収入も上がったそうです。さらに、息子さんが『跡を継ぎたい』と言って、地元に戻ってきたそうです。農業は、食べ物を作るというクリエイティブで素晴らしい仕事であり、若い世代が受け継ぎたくなる仕事だと、確信した瞬間でした」。

SENDの今後のサービス展開とは

プラットフォーム

SENDは、牛肉や豚肉、ジビエなど畜産物を扱う「MEAT by SEND」や、持続的な漁法や養殖を手掛ける生産者から届く魚や貝類などの水産物を扱う「SEAFOOD by SEND」も設けています。珍しい肉の部位や、新鮮な魚介類が販売されており、肉や魚は部位ごとに購入することもできます。

現在は、飲食店販売のみとなっていますが、今後は一般向けにもサービスを展開する予定なのだそう。また、物流センターを移転・増床し、配送エリアを首都圏広域まで広げることも考案中とのこと。「小売店などの量販チャネルを開拓したり、消費者向け事業者と提携することで、販売ルートの多様化にも取り組んでいきたい」と近藤さん。

「生産者や産地が抱えている問題や、生鮮流通の課題は日本だけでなく、世界共通だといわれています。今後は、世界中の生産者を支援するプラットフォーム展開していく予定で、まずはアジアを中心とした海外も視野に入れています」。

農家とレストランという食の現場を効率的につなぐことで、事業を継続するために欠かせない収入と誇りを農家にもたらすSEND。このプラットフォームが、日本だけではなく世界に広がっていくことで、流通業界の価値観が大きく変わっていくかもしれません。

SEND:https://send.farm/
画像提供:プラネット・テーブル株式会社

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