マイナビ農業TOP > 農業ニュース > 【サギ(鷺)の撃退方法】アブなすぎる害獣図鑑!農家の敵とその対処法

【サギ(鷺)の撃退方法】アブなすぎる害獣図鑑!農家の敵とその対処法

連載企画:アブなすぎる害獣図鑑

【サギ(鷺)の撃退方法】アブなすぎる害獣図鑑!農家の敵とその対処法

毎年、秋から冬にかけてハクチョウの飛来がニュースで取り上げられますが、田畑に野鳥が飛来して喜ぶ人もいれば、その被害に困惑する人も少なくありません。2016年度の農林水産省の調べでは、野生鳥獣による農作物への被害金額はトータル約172億円。その8割が獣類、2割が鳥類となっています。さらに鳥類の内訳を見ると、約半分がカラスによる被害で、残りの半分は日ごろ目にする可愛らしい鳥や美しい野鳥だったのです。
「アブなすぎる害獣図鑑」今回は、純白のスリムな体の美しい野鳥・サギの生態と農作物への被害、その撃退方法に迫ります。

twitter twitter twitter
関連記事
【特集】農家が悩む「害獣対策」
【特集】農家が悩む「害獣対策」
全国で起きている野生動物による農作物被害は、今や年間約200億円とも言われています。 農家が害獣対策を行ううえでのお悩みは、設置の手間や資材購入のコストです。害獣対策特集では、有効な対策方法とおすすめの資材を紹介します。

意外とたくさんいる、サギ!

飛ぶときにハクチョウは首が真っすぐになるが、サギはS字に折れ曲がる

サギは日本の田んぼで頻繁に見られる美しい野鳥です。コウノトリ目サギ科に属する鳥の総称をサギと呼び、国内では19種類が記録されています。そのうち最もポピュラーな白い体を持つ、いわゆる“シラサギ”類は、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギの4種類で、正確にはシラサギという名前のサギは存在しません。見た目の似ているハクチョウとの大きな違いは、首をS字に折り曲げて飛ぶところです。

サギの多くは魚やカエル、ザリガニなどをエサにするため水辺をすみかとしています。シラサギ類はいずれも田んぼや水路、池、沼などを主な生活の場とし、林などにサギ山と呼ばれる集団繁殖地(コロニー)を形成します。

田んぼだけでなく、住宅にも及ぶ被害!

農業

サギによる農作物への被害で多く見られるのはイネ。エサとなる魚やカエルなどを取るために水田に入り、田植え後の若い苗を踏み荒らすという被害が深刻です。また、川などに放流した稚魚や養殖魚を食べられるという被害も出ており、農業関係者だけではなく、漁業関係者にとっても厄介な野鳥とされているようです。

さらに、近年はサギ山による住宅地への被害も増えています。里山など樹林地の開発が進んだことで、サギたちの営巣に適した場所が少なくなり、住宅街に近い場所でもコロニーを形成するようになったサギたち。近隣では鳴き声による騒音がひどく、フンによる悪臭、洗濯物や自動車の汚れも侮れません。

鳥獣保護法に基づく、その被害対策とは?

農業

サギのような野鳥たちが生活できる場所を残すことも鳥獣保護の視点からは必要なことですが、農地や住宅地の近くにたくさんのサギが集まり、被害が生じてしまった場合には追い払わなければなりません。

サギは鳥獣保護法により、許可なく捕獲したり、巣を棒などで落としたりすることが禁じられています。まずは、大切な田畑や住宅地の近くにサギが集まらないよう環境を整備することが大事です。日ごろから竹や低木などの刈り払いをこまめに行い、サギのすみかを作らせないようにしましょう。また、繁殖期が始まる3月頃からサギの様子を注意深く観察することも大切です。サギがエサ取りを終える夕方くらいに飛来しているかを確認し、もしサギがいる場合は、ロケット花火や爆音機、ラジコンの飛行機などで威嚇して、巣を作り始める前に追い払いましょう。

 
その昔、サギのフンは畑の肥料として重宝され、家の近くに巣を作ると喜ばれたそうです。時代とともに人にもサギにも生活環境の変化が訪れ、農家や住民から害獣として扱われるようになったのは悲しい気もします。できる限り彼らに害を与えないように、人間側の被害も食い止めたいものです。

次回も農家にとっての憎らしい天敵、意外な害獣をご紹介します。

参考
田んぼの鳥サギ類(PDF):埼玉県環境科学国際センター
野生鳥獣被害防止マニュアル(PDF)p.26:農林水産省
長岡市鳥獣被害防止計画:長岡市
サギ類について:千葉県

上記の情報は2018年10月16日現在のものです。

関連記事
アブなすぎる害獣図鑑シリーズ
アブなすぎる害獣図鑑シリーズ
被害額およそ200億円。愛くるしい姿からは想像できない、鳥獣がもたらす農作物への悪影響は深刻です。野生動物が市街地に現れる異常事態が増える昨今。その被害を防ぐために、私たちが知っておくべきポイントを紹介します。
狩猟できる動物は48種に決められている! 後編・鳥類28種
狩猟できる動物は48種に決められている! 後編・鳥類28種
狩猟で鳥を捕獲することを鳥猟(ちょうりょう)と言います。猟銃や空気銃を使って鳥を仕留める「鳥撃ち(とりうち)」は、大物猟と比べると安全性が高く、解体が手軽といった魅力があります。現在の日本では狩猟できる鳥は28種に定めら…

あわせて読みたい記事5選

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE

関連記事

タイアップ企画

公式SNS

「個人情報の取り扱いについて」の同意

2023年4月3日に「個人情報の取り扱いについて」が改訂されました。
マイナビ農業をご利用いただくには「個人情報の取り扱いについて」の内容をご確認いただき、同意いただく必要がございます。

■変更内容
個人情報の利用目的の以下の項目を追加
(7)行動履歴を会員情報と紐づけて分析した上で以下に活用。

内容に同意してサービスを利用する