意外とたくさんいる、サギ!

飛ぶときにハクチョウは首が真っすぐになるが、サギはS字に折れ曲がる
サギは日本の田んぼで頻繁に見られる美しい野鳥です。コウノトリ目サギ科に属する鳥の総称をサギと呼び、国内では19種類が記録されています。そのうち最もポピュラーな白い体を持つ、いわゆる“シラサギ”類は、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギの4種類で、正確にはシラサギという名前のサギは存在しません。見た目の似ているハクチョウとの大きな違いは、首をS字に折り曲げて飛ぶところです。
サギの多くは魚やカエル、ザリガニなどをエサにするため水辺をすみかとしています。シラサギ類はいずれも田んぼや水路、池、沼などを主な生活の場とし、林などにサギ山と呼ばれる集団繁殖地(コロニー)を形成します。
田んぼだけでなく、住宅にも及ぶ被害!
サギによる農作物への被害で多く見られるのはイネ。エサとなる魚やカエルなどを取るために水田に入り、田植え後の若い苗を踏み荒らすという被害が深刻です。また、川などに放流した稚魚や養殖魚を食べられるという被害も出ており、農業関係者だけではなく、漁業関係者にとっても厄介な野鳥とされているようです。
さらに、近年はサギ山による住宅地への被害も増えています。里山など樹林地の開発が進んだことで、サギたちの営巣に適した場所が少なくなり、住宅街に近い場所でもコロニーを形成するようになったサギたち。近隣では鳴き声による騒音がひどく、フンによる悪臭、洗濯物や自動車の汚れも侮れません。
鳥獣保護法に基づく、その被害対策とは?
サギのような野鳥たちが生活できる場所を残すことも鳥獣保護の視点からは必要なことですが、農地や住宅地の近くにたくさんのサギが集まり、被害が生じてしまった場合には追い払わなければなりません。
サギは鳥獣保護法により、許可なく捕獲したり、巣を棒などで落としたりすることが禁じられています。まずは、大切な田畑や住宅地の近くにサギが集まらないよう環境を整備することが大事です。日ごろから竹や低木などの刈り払いをこまめに行い、サギのすみかを作らせないようにしましょう。また、繁殖期が始まる3月頃からサギの様子を注意深く観察することも大切です。サギがエサ取りを終える夕方くらいに飛来しているかを確認し、もしサギがいる場合は、ロケット花火や爆音機、ラジコンの飛行機などで威嚇して、巣を作り始める前に追い払いましょう。
その昔、サギのフンは畑の肥料として重宝され、家の近くに巣を作ると喜ばれたそうです。時代とともに人にもサギにも生活環境の変化が訪れ、農家や住民から害獣として扱われるようになったのは悲しい気もします。できる限り彼らに害を与えないように、人間側の被害も食い止めたいものです。
次回も農家にとっての憎らしい天敵、意外な害獣をご紹介します。
参考
田んぼの鳥サギ類(PDF):埼玉県環境科学国際センター
野生鳥獣被害防止マニュアル(PDF)p.26:農林水産省
長岡市鳥獣被害防止計画:長岡市
サギ類について:千葉県
上記の情報は2018年10月16日現在のものです。