大型特殊免許(農耕車限定)とは
大型特殊自動車とは
仕事をする際に自動車が必要になる人も多いと思います。とりわけ農業の場合は、トラクターやコンバインなど特殊な自動車を扱う場合があるでしょう。
これらは大型特殊自動車とされます。
具体的には道路交通法により、長さ4.7メートル、幅1.7メートル、高さ2.0メートルを超え、15キロ/時を超える速度が出せる自動車はこれに当たります。また、上限は道路運送車両法に基づく保安基準でそれぞれ長さ12メートル、幅2.5メートル、高さ3.8メートル以下と定められています。
トラクターで公道を走る際には大特免許が必要
こうしたトラクターなどの大型特殊自動車で、公道を走る際に必要になるのが、大特免許です。
距離の離れた畑のあいだをトラクターで移動する際などに公道を走行する場合には、大特免許を取得していなければなりません。
しかし、大特免許で運転できる自動車の範囲には、例えばクレーン車やブルドーザーといった非常に大型の自動車も含まれ、農業者にはちょっと過ぎた資格かもしれません。
農業者に便利な「大特免許(農耕車限定)」
そこで、「大特免許(農耕車限定)」というものが設けられています。
免許の条件欄に「大特車は農耕車に限る」と表記されることから、「大特免許(農耕車に限る)」とも呼ばれます。
これはその名のとおり、トラクターなどの農耕車に限って運転ができる免許で、農業者にとっては十分な免許とも言えるでしょう。
農耕車限定の大特免許を取得するには
大特免許(農耕車限定)取得の資格・条件
大特免許(農耕車限定)を取得するには、普通自動車免許と同じような取得条件があります。18歳以上で、視力が両眼で0.7以上、片眼で0.3以上といったものです。
なお、大特免許を取得するためにあらかじめ普通免許などを取得しておかなければならないということはありませんが、普通免許・二輪免許・準中型免許を持っている人は、学科試験が免除になります。
どこで試験を受けられるか
大特免許の取得には、教習所へ通い、運転免許試験場で試験を受ける方法や、運転免許試験場で学科や技能の試験を受けて取得する、いわゆる一発試験といった方法があります。
前者は時間も費用もかかり(普通免許の有無や教習所によって料金は異なります)、後者はすぐに運転に挑むことになるため、一般的には難しいものがあります。
これらとは別に、大特免許(農耕車限定)では、各地のJAや農業大学校で取得するという方法があります。以下、農業者にはポピュラーな、農業大学校での取得について紹介します。
農業大学校でも取得ができる
在学中に取得もできる
各道府県の農業大学校では、その在学中に多くの資格取得ができるようにカリキュラムが組まれています。
トラクターの運転はその代表例でもあり、大特免許(農耕車限定)も取得できます。
生徒でなくても農業大学校で取得できる
では、生徒にならないと、農業大学校では取得できないのでしょうか。
実は農業大学校では、生徒以外でも受けられる大特免許(農耕車限定)の短期研修が年に数回、開かれています。
短ければ3日程度で研修と試験が済み、しかも費用は数千円から取得可能です。
研修期間も内容も学校により異なりますが、通常は道路交通法やトラクターの安全運転のための講義を受けた後、実際に運転を練習する実技研修が行われます。
そして最終日に免許試験が行われ、合格となれば、晴れて大特免許(農耕車限定)を得ることができます。
短期間で研修から試験まで受けられるため、特にすでに就農した人にとっては免許取得の一番の選択肢になるのではないでしょうか。
ただし、人数制限や申込期間が設けられ、いつでも誰でも受けられるというわけではありません。免許取得を検討している人は、自分の就農地域の農業大学校のホームページなどから、あらかじめ情報を得るとよいでしょう。
安全運転のために
トラクターなどで公道を運転するための免許取得には、このようにさまざまな方法があります。
自分に合う方法で取得すると同時に、正しい運転方法やルール、点検の仕方などをきちんと覚えて、安全運転を心がけてください。