けん引免許とは
けん引する際に必要なけん引免許
そもそも、けん引免許とは、自動車で他の車(750キロを超えるもの)をけん引して公道を走る際に必要な免許です。けん引される車両の重さが750キロを超えていればもちろんのこと、積載物と合わせて750キロを超えると免許が必要になる点にも留意しておきましょう。
ただし例外として、故障した車をロープやクレーンでつないで運ぶ際などは、けん引免許がなくてもけん引することができます。
けん引する車はけん引車やトラクター(※)、けん引される車は被けん引車やトレーラーなどと呼ばれます。
※ この場合のトラクターは農業機械に限らず、けん引車全般を指します。
けん引する車の免許も必要
また、けん引には、けん引する車の免許も必要です。
例えば、農耕用のトラクターなどの大型特殊自動車でけん引する場合には、けん引免許だけでなく大型特殊自動車免許も必要になります。
農業でけん引免許が必要な場面
農機具を引っ張って公道を走りたい
さて、農業では、どのような場面で、けん引免許が必要になってくるのでしょうか。
一例では、コンバインやマニュアスプレッダー、スプレーヤー、ロールベーラーなどのトレーラーをけん引して離れた農地へと移動するために公道を走る際などに、けん引免許が必要となります。
どのような作業が生じるかをまずは確認
つまり、これから新たに農場などで働こうとする場合、そこですでに上記のようなトレーラーを使っている場合には、けん引免許があったほうが良いと言えるかもしれません。
一方、これからトレーラーの使用を検討したい場合は、トレーラーと積載物が合わせて750キロを超えるか、公道を走るかなどを確認し、必要かどうかを判断することになるでしょう。
けん引免許を取得するには
けん引免許の資格条件
けん引免許を取得するには、普通免許よりもやや厳しい基準があります。
18歳以上で視力が両眼で0.8以上、片眼で0.5以上、さらに深視力検査で3回の平均誤差が2センチ以下であることなどです。
どこで試験を受けられるか
けん引免許もほかの運転免許と同じように、教習所へ通い、運転免許試験場で試験を受ける方法や、運転免許試験場で学科や技能の試験を受けて取得する、いわゆる一発試験といった方法があります。
また、農耕車限定のけん引免許があります。農耕車に限られるものの取得へのハードルが下がるため、農業では一般的です。これは上記のほかに各地の農業大学校でも取得できるなど、取得場所の選択肢が広いことも特長です。
農耕車限定のけん引免許を取得した場合でも、運転免許試験場で限定免許解除試験(講習)を受けることで限定なしとすることもできます。
農業大学校でけん引免許(農耕車限定)を取得するには
在学中に取得もできる
「けん引免許(農耕車限定)」は、各道府県の農業大学校に在学中にも取得が目指せます。
トラクターなどの大型特殊自動車を運転できる「大特免許(農耕車限定)」などの取得と合わせて、役立つ資格と言えるでしょう。
生徒でなくても農業大学校で取得できる
一方、生徒として入学しなくても、農業大学校でのけん引免許(農耕車限定)取得は目指せます。
農業大学校では、社会人でも受けられるさまざまな研修が設けられていて、代表的なものに大特免許(農耕車限定)の短期研修があります。そして、これと同様に、けん引免許(農耕車限定)の短期研修も設けられています。
農業大学校の短期研修では、短ければ3日程度の研修と試験で、しかも数千円から取得可能です。
研修期間も内容も学校により異なりますが、道路交通法や、トラクターの安全運転のための講義を受けた後、運転操作について実技研修が行われます。
最終日に免許試験が行われ、合格するとけん引免許(農耕車限定)を得ることができます。
比較的、短期間で受けられるが注意点も
短期間で研修から試験まで受けられるため、就農してすぐに免許を取りたい人にとっては、一番の選択肢になるでしょう。
ただし、人数制限や申込期間が設けられていたり、年間実施回数が大特免許(農耕車限定)の研修よりも少なかったりもします。自分の就農地域の農業大学校のホームページなどから、あらかじめ情報を得ておくことをおすすめします。
また、受講資格には、大特免許(農耕車限定)の取得が挙げられている場合もあります。大型特殊自動車でのけん引には大特免許も必要ですし、いずれにしても先に取得しておくようにしましょう。
安全運転のために
農作業を効率的に進めるために、トレーラーのけん引が欠かせない農場もあると思います。自分に合う方法で免許を取得して、安全運転を心がけてください。