ピーマン
情報交換会。
ライバルライバル
ライバル
営農グループ ハッピーマン
橋口仁一(35歳)
営農グループ ハッピーマン
橋口仁一(35歳)
作物:ピーマン
ハッピーマン会長。「ハッピーマン」は、ピーマンの収量を増やすために結成した、平均年齢35歳、11人のグループ。宮崎県西都市のピーマン農家が、3~4年後に現在の3分の1、10年以内には半分に減ってしまうと予測されている未来を憂い、IoT(Internet of Things:身の周りのものがインターネットにつながる仕組みのこと)を導入。ハウスの中をリアルタイムでモニタリングし、温度・湿度や収穫量などを数値化・記録することで、業務の効率化を実現している。例えば、IoTにより収量が落ちる時期を予測できるため、高値で販売できる時期を逆算し、いつ定植すれば良いかが分かる。また、細かく数値化し、グラフ化することで、収穫量が悪い原因の分析や、収穫量が良いハウスとの比較分析も行っている。
ビニールハウス内の環境を改善するために、ピーマン農家同士で情報をオープンに共有していこう、というところからスタートしました。ピーマンの作り方はもちろん、所得や経費まで、あらゆる情報を開示して、相互に比較することができれば、うまくいっている農家の管理方法が明らかになり、宮崎県西都市のピーマン農家全体での収穫の底上げができるのではと考えたのです。
経営者は自分たちの親なので、親に理解してもらうまでが、ものすごく大変でした。今までは隣近所がライバルですので、ピーマンの作り方だけ見ても農家ごとに異なっていて、お互いにどんな作り方をしているのか、収穫量はどれくらいかも知らなかったんですよ。でも、バラバラに戦っていても、全国のピーマン産地との勝負に勝てない。だから、「やるだけやってみるから挑戦させてくれ」って説得しました。
最初は収穫量の管理から始めました。年間の収穫量をグラフ化して比較してみると、収穫量が良い農家と悪い農家で違いがはっきりしました。そこで、収穫量が悪い農家を調べてみると、植物には必要ではないこと、つまり植物がつらいと感じることをしていると考え、11人の仲間とお互いのいい点、悪い点を指摘し合いました。その結果、収穫量を上げる方法や、病気の発生も抑えられる栽培技術を皆で見つけることができました。
ランキングを作って競い合っているので、収穫量が上がればモチベーションも上がります。中には、データがはっきり出るのは精神的につらいと言う人もいます。でもその一方で、1人では経験できないこともありますからね。1人で栽培していると1年に1回の成功か失敗しかできません。自分が農業を引退するまでがあと30年だとすると30回だけ。それを10人でやれば1年で10回の経験をシェアできます。その結果、単価や天気などの過去のデータを分析し、アイデアを出し合って試行錯誤する機会も増えました。みんなで励まし合って、一緒に成長していくのがハッピーマンのスローガンです。
ハッピーマンならではの基準となる技術や栽培方針を作ることです。農家ごとに経営体制も作り方も違うため、他の家のまねをしているだけでは収穫量は上がりません。標準となる技術や栽培方針を確立して、みんなでシェアし、各農家に合った工夫を加えていけるようにしたいと考えています。将来的にはみんなで出資して会社を立ち上げたい。今年から研修生を受け入れているのですが、他県から人材を雇い入れることも必要なのかなと思っています。2〜3年で研修生に私たちのデータ管理方法や高収入を狙える技術を取得してもらえるといいですね。