農業を
もっと
オシャレに。
よしこちゃんの畑
奥園淑子(28歳)
よしこちゃんの畑
奥園淑子(28歳)
作物:アスパラガス
モデルと農業の二足のわらじを履く奥園さん。もともと何か人の役に立てることをしたいという思いが強く、モデル事務所入所前は、知的障害者を預かる福祉施設に勤めていた。一緒に農作業をした時の、子供たちの楽しそうな姿が深く心に残り、「農業って格好いい!」と感じるように。「福祉と農業を連携させることができるのではないか」と、本格的に農業を始めることを決意する。もちろん、モデルも好きな仕事であり、「モデルだからこそ伝えられる農業がある」と、地元佐賀でのモデル活動も並行して行っている。オシャレで普段着使いもできる女性用の農作業着のファッションショー開催が目下の目標。
小さい頃から手伝いはしていたんですよ。仕事きついし、収穫の時期は遊びにも行けないし、子供ながらに「農業は大変。絶対にやらない」と思っていました。だけど、2年ほど前に祖母が亡くなり、それまで当たり前のように食卓に並んでいたおいしい野菜が姿を消したことで、「これはやばい」と、自分でも少しずつ野菜を育てるようになりました。自分で収穫したものって、食べてみたらやっぱりおいしい。友人や近所の人におすそわけしたところ、「めっちゃおいしかったよ」と言ってもらえて、そこからだんだん農業が楽しくなっていった感じです。
きついし、大変なのは変わらないですよ、全然。でも、プラスに考えれば、農作業は運動のようなものなので、勝手に筋肉が付くし、勝手にいい感じに痩せていく。農業を始めてからは、好きなものを好きなだけ食べても、ダイエットしようと考えたことはありません。肌の調子も良くなったし、怒りの感情が無くなってきて、心穏やかになりました。モデルの仕事にも、めっちゃプラスになってます。日に焼けるという一番の大敵さえ気を付ければいいので、個人的には周りのモデルにも農業を勧めたいくらいです。
おかげで、昨年は新聞、テレビ、ラジオと、いろいろなメディアが取り上げてくださいました。農業を知ってもらう貴重な機会ですから、基本的に私は取材を断りません。私のようなひょろっとした女性でも、農業はできるんだということを多くの人に知ってもらいたいんです。スーパーマーケットやファーマーズマーケットなどで、対面販売することでもアピールしていますよ。「また来てくれたんだね」「ここのアスパラガスなら、うちの子も食べるんだよ」「甘くておいしいね」と、声を掛けてくださるお客様もいらっしゃり、すごく励みになる。農業って、やってみると失敗だらけで、思うように育たないし、いつの間にか鳥や虫に食べられちゃうし、体力以外にもきついときがあります。そんなとき、対面販売でお会いしたお客様の顔が思い浮かんできて、「うちのアスパラガスを待っている人がいる」と、また頑張る気持ちが湧いてくるんです。
アスパラガスって、基本的に調理しないと食べられないものですよね。そこで、手間をかけなくても食卓の一品になるものを作れば、忙しい方にもアスパラガスを食べていただく機会が増えるのではと考えたのが最初です。漬物にしたのは、アスパラガスが「洋」なので、「和」と合わせたら面白そうだなと思ったから。すでにある商品を作っても、メーカー品には絶対かなわないので、オリジナリティを出したかったんです。結果、意外においしい漬物が完成しました。
2つあります。一つは農業とモデルのコラボ。農業は汚いとか、地味だとか、きついとか、あまり良くないイメージを持たれがちですから、農作業着をまずかわいくして、農業を明るく見せたいです。きれいにオシャレに格好良く、でも機能性は忘れずに。そんな農作業着のファッションショーをやりたいな。もう一つは、以前、福祉関係の仕事をしていたこともあって、農業と福祉の連携をはかりたいです。農業は力仕事、室内作業、販売などさまざまな業務から成り立っています。そこで、一人一人の障害のレベルに合わせて、得意な分野に携わっていけるんじゃないかなって。障害者の方たちも自分の得意分野でどんどんやっていけたら、やりがいとか自信とかにもつながっていくんじゃないかなって思ってます。