期待の
高卒ルーキー
島原自然塾
矢城裕弥(18歳)
島原自然塾
矢城裕弥(18歳)
作物:ニンジン、大根など
島原自然塾新入社員。栽培、卸、および加工・販売などに取り組む。消費者目線でのパッケージ制作や販売方法の工夫など女性従業員の持つ感性を取り入れた経営を行うことが会社の発展のポイントと位置づける。会社の理念にも「女性の感性やアイデアを生かす」を明記。1995年に家族経営協定を締結・更新してきたことが、2003年の法人設立のベースとなった。協定には取締役の酒井美代子氏(代表の妻)の「社会参画への家族の協力」等の項目が入っており、法人化した今でも更新。さらに島原自然塾と連携している生産者グループにも家族経営協定を推進。従業員33人、うち女性17人。
島原自然塾社長・酒井澄晴(63歳)さんに
島原自然塾のことを伺いました。
祖父の代から数えて三代目の農家です。先祖代々の農地を守っていくのは、自分の一番の仕事だとずっと思ってきました。地元は高齢化が進んでおり、どうあっても若者の後継者を育てていかないといけません。会社を作る時に何か若者にインパクトのある屋号にしようと、島原半島の「島原」、自然を扱っているから「自然」、指導していく立場から「塾」、これをくっつけた名前にしました。おかげさまで、下は18歳からの後継者たちが育ってきています。娘のアトピーのこともあって、とにかく自然のものを扱うわけだから自然体で行こうと決めてきました。できる限り農薬は使わず、有機肥料主体で顔が見える野菜を作って届ける。それが島原自然塾のやりたい事です。
28の会員農家が生産した有機無(減)農薬の野菜を収穫後、素早くリパックして販売しています。農家の嫁さんたちが東京や大阪にも出かけて行って、料理の講習会や主婦の会議に顔を出して会社や商品のPRをしています。消費者と信頼関係を築くためにも、こういった顔を合わせる機会は大事ですね。
違いますね。野菜のパッケージや販売方法のアイデアはやはり女性ならではの感性が大切。経理でもうちの会社では女性が中心で勉強会をやるんです。経営収支を女性たちがしっかりと見ている。大型特殊免許取得研修やフォークリフト運転資格の研修会にも女性を派遣しています。農業の現場は戦場だから時期的に一番忙しい時期には男女関係なくフル操業です。けがをしたら困るので、ラジオ体操をみんなでやって、体をほぐしてから作業にかかってくれと指導しています。
農業に対して経営者として取り組むか、自給自足の手段として取り組むかといった確かな覚悟を持って入ってこないと駄目ですね。そこをなめてかかって農業に入ってこられても、持続するのは難しいんじゃないかな、と。今は行政側から就農者への補助がありますが、それを狙ってくる人なんかはまずアウトだと思います。うちの地域では今、そういう人はいません。外から入ってくる人は山奥とか、本当に手つかずの自然があるところに行きたがるんですが、そこで経営が成り立つかはまた別。あくまでも島原自然塾は農家を経営者として育てるのが基本方針です。経営者として育成するけれども、この辺りは土地の後継者が決まっているので、自営するには時間がかかるかもしれません。だから、機会があったら、他県に行って始めてもいいと思っています。そういうふうにして、自力で多くの経験を積んでいった方が成長できると思います。