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黒点病を予防するなら?防除の基本とジマンダイセン水和剤の使い方

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黒点病予防するなら?
防除の基本ジマンダイセン水和剤の使い方

かんきつ栽培において、毎年のように話題にのぼる病害のひとつが黒点病です。果実の表面に小さな黒い斑点が現れ、見た目の品質を大きく損なうため、果実の着色が始まる頃に気づいてショックを受ける方も少なくありません。特に梅雨時はもちろんのこと、夏から秋にかけて降雨の多い年は発生しやすく、「いつ」「なぜ」「どんな条件で」広がるのかが分からないまま不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、黒点病の基本的な性質や発生の背景を整理しながら、雨との関係や予防の考え方を順を追って解説していきます。事前に知っておくことで、被害を未然に防ぐヒントが見えてくるはずです。

かんきつ黒点病とは?

黒点病柑橘類の重要病害のひとつ
黒点病は柑橘類の重要病害のひとつ

黒点病は、みかんをはじめとする柑橘類の果樹で特に多く発生する病害のひとつです。発病すると、葉・枝・果実の表面に黒点と呼ばれる黒い円形の病斑が現れます。葉や枝に症状が出ても直ちには大きな問題になりにくい一方で、果実に発病した場合は外観を損ね、商品価値が著しく低下します。また、黒点病斑からの二次伝染はないとされており、感染の経路を正しく理解することが適切な防除方法の鍵となります。

黒点病の症状
黒点病の症状

黒点病の症状は、葉・枝・果実のいずれにも見られ、病斑は0.1~0.5mmの黒い円形として確認されます。症状の違いにより、黒点型・涙斑型・泥塊型に分けられます。黒点型は円形の黒点が散生し、涙斑型は柄胞子を含んだ水滴が流れた跡に黒点がまとまって形成されます。
さらに泥塊型では、高密度の柄胞子液によって果面の一部または大部分が感染し、赤褐色になるとされています。感染時期によって見え方も変わり、初期感染では黒点が比較的大きく、果面に突出したり周囲に白い縁どりが生じたりする一方、後期感染では黒点が比較的小さく、果面に突出せず、白い縁どりもないことが多いと整理されています。

病原菌黒点病が広がる仕組み

黒点病は、糸状菌の一種である病原菌(学名:Diaporthe citri)によって引き起こされる病害です。この病原菌は主に柑橘類に感染し、果実や葉、枝などに黒い斑点状の症状を発生させます。

病原菌が果実に侵入すると、植物側は侵入した菌の拡大を抑えるために防御反応を起こします。その過程で細胞が褐色に変化し、外から見ると小さな黒い点として確認できるようになります。これが黒点病の初期症状です。

感染の程度が軽い場合、果実の表面に小さな黒点が点在する程度で収まることがあります。しかし、感染が強く進んだ場合には、黒点がまとまって現れたり、雨水の流れに沿うような形で斑点が広がることもあります。さらに病斑が増えると、果皮の組織が硬くなり、表面がざらついた状態になることがあります。

また、病原菌の侵入によって傷ついた細胞の周囲では、組織が保護反応として変化し、コルク状の組織が形成されることがあります。このような反応が進むと、病斑部分がわずかに盛り上がったような状態になる場合もあります。

伝染源感染経路

黒点病の伝染源は、主に樹冠内部の枯枝や、剪定後に圃場の周辺に放置された枝です。樹冠内部の枯枝には柄子殻(へいしかく)が、地表の枯枝には子のう殻が形成され、病原菌の胞子はその中で冬を越します。気温が20℃前後になると殻内の胞子が拡散を始め、樹内の枯枝では雨などで濡れた状態になると柄子殻から胞子角があふれ、雨滴によって溶けた胞子が周囲の枝葉や果実に付着して発病します。
一方、地面に放置された枯枝では風で胞子が飛散し、果実や枝葉に付着して発病するとされています。黒点病が発生した圃場では病原菌が3年程度生存し、降雨のたびに胞子を放出します。気温22℃以上で感染しやすく、長く濡れたままでいると発病しやすいため、6~7月の梅雨期、8~9月の台風シーズンや秋雨期を経て多発しやすいとされています。

雨・梅雨・高湿度が与える影響

黒点病多雨湿潤で発生しやすくなる

黒点病は、多雨が発生を助長する病害であることが分かっています。特に重要なのは、単に雨が降ることそのものではなく、伝染源の存在とともに果実や葉が長時間濡れた状態に置かれることが感染成立に関わる点です。病原菌の胞子は降雨によって拡散し、葉や果実の表面に付着したあと、水分がある状態で感染が成立しやすくなります。具体的には、感染成立するのに20℃で12時間以上、24~28℃で8時間以上の濡れ時間が必要との報告もあります。そのため、降雨の回数が多い年や、断続的な雨が続いて葉や果実が乾きにくい条件では、黒点病の発生リスクが高まります。
また、降雨量が多い年ほど胞子の飛散機会が増えることも、多発につながる要因とされています。

梅雨期・台風シーズンおよび秋雨期
感染のピークと重なる時期

黒点病は、果実への感染は落花直後の幼果期から梅雨期にかけて、また晩夏から初秋にかけて起こりやすいとされています。この時期はちょうど6~7月の梅雨、9~10月の台風や秋雨と重なり、長期間にわたって降雨と高湿度が続きやすい気象条件になります。
その結果、胞子の飛散・付着・感染が繰り返し起こりやすくなり、発病の機会が増えます。8月は一時的に胞子の飛散量が減るものの、その後再び増加するため、秋雨期にも再度感染リスクが高まります。このように、黒点病は感染しやすい生育段階と雨の多い時期が重なることで多発しやすい病害と位置づけられます。

通風・日照が悪い園地ほど
湿潤状態が長く続く

園地の環境条件も、黒点病の発生に大きく関係します。発生しやすい条件として、密植園、通風や日照が不良な園地、水滴の乾きにくい園地が挙げられています。これらの園地では、雨や露で濡れた葉や果実が乾きにくく、湿潤状態が長く続くため、感染が成立しやすい条件が維持されます。
また、樹勢の弱い樹や老木では枯枝が多くなりやすく、結果として伝染源が増えるとともに、樹冠内部の通風・採光も悪化しやすくなります。そのため、同じ降雨条件であっても、園地の構造や樹の状態によって発病のしやすさに差が生じます。黒点病が特定の園地や樹に集中して発生するのは、こうした微気象の違いが影響していると整理できます。

ハウス栽培樹上灌水でも
被害が生じることがある

露地栽培だけでなく、ハウス栽培においても、樹上からの灌水によって黒点病の被害が生じる場合があります。これは、人工的な散水であっても、葉や果実が濡れた状態が長く続くことで、露地の降雨と同様に感染に適した条件が作られるためです。
そのため、栽培形態にかかわらず、伝染源の存在と葉や果実がどれだけ長時間濡れ続けるかという点が黒点病の発生に強く関係していることがわかります。降雨・梅雨・高湿度という自然条件だけでなく、園地管理や灌水方法によっても湿潤環境が形成されうる点は、発生リスクを考えるうえで重要な視点となります。

黒点病の防除の基本

防除の基本は伝染源を減らすこと

黒点病の防除において最も重要なのは、伝染源となる枯枝をできる限り減らすことです。上記で説明したように、黒点病の第1次伝染源は、かんきつ樹や防風樹の樹上の枯枝に形成される柄子殻、または地表に放置された枯枝に形成される子のう殻とされています。これらの枯枝から胞子が放出されることで、発病が繰り返されます。
そのため、生育期を通して枯枝をこまめに除去し、剪定枝や摘果後の果梗枝を園内や園の周囲に放置しないことが、防除の基本になります。特に、樹冠内部の枯枝は伝染源になりやすく、周囲の果実や葉に濃厚感染を起こす原因となるため、優先的に取り除くことが重要とされています。

枯枝の発生を抑えるための栽培管理が不可欠

伝染源となる枯枝を除去するだけでなく、そもそも枯枝の発生を少なくする栽培管理も重要な防除対策です。整枝・剪定を適正に行い、樹冠内部まで日光が入り、風通しが確保されるように管理することで、樹勢の維持と枯枝の発生抑制につながります。
また、密植を改め、樹と樹の間隔を適切に保つことも、採光・通風の改善に寄与します。これにより、園内の湿潤状態が長く続くことを防ぎ、結果として黒点病の発生しやすい条件を緩和する効果が期待されます。こうした耕種的防除は、薬剤防除の前提となる基本対策と位置づけられています。

切株・放置枝の管理による胞子飛散の抑制

剪定後に残った切株や太めの剪定枝も、黒点病の伝染源となることがあるため、適切な管理が必要です。切株には肥料袋などを被せて、子のう胞子の飛散を防ぐことが推奨されています。また、剪定枝は園内や園の周囲に放置せず、速やかに離れた場所で処分することが重要です。
これらの対策は、園地内外からの新たな胞子の供給源を減らすことにつながり、防除効果の底上げにつながります。特に、園の外縁部に放置された太い枝は風によって胞子を飛散させ、樹冠外周部の果実に感染を引き起こす原因となるため注意が必要とされています。

薬剤防除時期条件を意識して行う

必要に応じて薬剤防除を行うことも基本的な防除方法となります。薬剤散布は梅雨前の5月中・下旬に1回目を行い、その後は累積降雨量が200~250㎜前後に達した時点、または前回散布から約1か月後を目安に次の散布を行い、9月上・中旬まで防除を続けると良いでしょう。
降雨量が少ない場合でも、薬剤の残効がなくなる時期を考慮して散布時期を判断することが重要です。

黒点病防除予防散布
重視される理由

かんきつ黒点病は、果実に発病すると黒点が収穫時まで残り、外観品質を大きく損ねます。また、発病後に病斑を消したり回復させたりする方法はなく、発生してからの対処では品質低下を防ぐことができません。そのため、防除の目的は発病後の処置ではなく、感染の成立そのものを未然に防ぐことに置かれます。
この役割を担うのが殺菌剤による防除です。薬剤は、病原菌の胞子が植物体に付着しても感染が成立しにくい状態を作ることで、果実への感染を防ぐ手段として位置づけられています。特に黒点病のように予防が基本となる病害では、薬剤防除は耕種的管理と並ぶ重要な対策のひとつとされます。

おすすめはジマンダイセン水和剤での予防
ジマンダイセン水和剤は予防型の殺菌剤である

ジマンダイセンは、黒点病の防除に登録のあるマンゼブを有効成分とする殺菌剤で、予防を目的とした防除に用いられ、病原菌が植物体に侵入する前の段階で作用し、胞子の発芽や侵入を抑えることで感染の成立を防ぐ予防型の殺菌剤として位置づけられています。黒点病は、発病してから回復させることができない病害であるため、感染成立を阻止する作用を持つ剤が防除の中心となります。その点で、ジマンダイセンは黒点病の基幹防除剤として利用されています。

優れた付着性と耐雨性により降雨に遭っても
効果が安定しやすい

ジマンダイセン水和剤は、作物表面にしっかりと付着し、耐雨性に優れていることが特徴です。黒点病は降雨と密接に関係する病害であり、散布後の降雨によって薬剤が流亡すると効果が低下するおそれがあります。
その点、耐雨性に優れる剤は、梅雨期や降雨の多い時期でも比較的安定した効果を維持しやすく、実用性が高いと整理されています。この性質は、降雨量の多い地域や年次変動が大きい条件下において、防除効果を安定させるうえで重要な要素となります。

褐色腐敗病の同時防除が可能である

ジマンダイセン水和剤は、黒点病の他にも多くの病害に適用がありますが、特に黒点病同様に降雨の多い時期に多発する褐色腐敗病に対しても安定した効果を示すことから、黒点病対策とあわせての同時防除が可能となります。

マンゼブとは?

ジマンダイセンの有効成分であるマンゼブは、ジチオカーバメート系の保護殺菌成分です。病原菌の胞子発芽を抑制したり、病原菌の植物体組織への侵入を阻害したりして殺菌効果を発揮、病原菌のSH酵素の不活性化をはじめ複数の点で作用するため、病原菌による薬剤感受性低下を発達させにくいと考えられています。マンゼブは国際機関FRAC(殺菌剤耐性菌対策委員会)の区分では多作用点接触活性、 耐性リスクは低いと分類されています。

ジマンダイセン水和剤の活用例

降雨量が多い年でも
黒点病の発生を抑えた報告

愛媛県で観測された過去10年分の年間降雨量と黒点病の発生実績から、5〜9月の降雨量が多い年ほど、黒点病の発生面積率が高くなる傾向が見られます。特に降雨量・黒点病発生面積率ともに上位に入る年が続いており、秀品出荷量にも影響が出たとの報告もあります。こうした条件下でも、梅雨期を中心にジマンダイセンを計画的に散布した園地では、黒点病の被害を抑え、果実の外観品質を維持できたとの報告もあります。雨量が多い年ほど、防除の成否がはっきり分かれる中で、対策を継続した結果として、発生を抑えられた点が特徴です。
また、ジマンダイセン水和剤は、粒子が細かく葉表に重なって付着し、有効成分が雨にゆっくり溶け出すため、降雨後も付着量が急激に減りにくいことが確認されています。 実際の活用事例では、付着量を意識して丁寧に散布した園地で、梅雨期を通して黒点病の発生が少なく、選別時の負担軽減につながったとの評価も得られています。散布の量と質を確保したことが、結果として防除効果の安定につながったと言えます。

散布タイミングを逃さなかったことで
被害を回避

梅雨期は雨が続き、薬剤散布を見送ってしまいがちですが、散布後に1日、または数時間でも乾燥時間が確保できれば、薬剤の流亡は少ないとされています。この考え方をもとに、雨の切れ間を狙って散布を行った園地では、散布遅れによる黒点病の多発を避けられた事例が紹介されています。
結果として、梅雨期を通して防除の空白期間を作らずに済み、黒点病の感染拡大を抑えられたことが、最終的な果実品質の維持につながっています。
また、6月初旬から梅雨期、さらに収穫前まで複数回ジマンダイセン水和剤を散布した結果、黒点病の発生が少なく、果実の見た目が揃った状態で収穫できたことが示されています。
「黒点病にかかると選別作業に大きな労力がかかるが、発生を抑えられたことで作業が楽になった」「精品率が安定し、収入面でもプラスにつながった」といった声も紹介されており、継続的な使用が実際の成果につながったことがわかります。

ジマンダイセン水和剤
よくある質問

黒点病が発病してしまってから
散布しても意味はありますか?
ジマンダイセン水和剤は予防を目的とした殺菌剤であり、発病後に形成された黒点を消したり回復させたりする効果はありません。黒点病は発病後に回復が見込めない病害であるため、感染成立前に散布しておくことが鍵となります。
散布の間隔はどれくらいを目安にすればよいですか?
各エリアの防除指針に準じますが、標準的な防除間隔の目安としては、累積降雨量が200~250mm前後に達した時点、または前回散布から25~30日が経過した時点が次回散布の判断の目安とされています。
毎回ジマンダイセンだけを使い続けてもいいですか?
ジマンダイセンを含め有効成分のマンゼブには使用回数の上限が設定されています。みかん、かんきつでの総使用回数は最大4回に限られているため、その回数を超えて使用することはできず、他薬剤と組み合わせて体系的に防除することが前提になります。
みかん、かんきつで発生する他の病害虫も
同時に防除できますか?
ジマンダイセン水和剤は、黒点病のほか、小黒点病、褐色腐敗病、そうか病などの病害の他に、害虫ではミカンサビダニやチャノキイロアザミウマにも適用がありますが、害虫への安定した防除が必要な場合は専門の殺虫・殺ダニ剤の使用をお薦めします。また、作物と病害により希釈倍率が異なりますので、実際の使用にあたっては必ず製品ラベル表示を確認する必要があります。
ジマンダイセン水和剤はドローンで散布できますか?
ジマンダイセン水和剤は、みかん、かんきつにおいて「無人航空機」の登録がありますので、ドローンによる散布が可能です。ご使用に当たっては地域の営農アドバイザーや防除業者への相談をお薦めします。

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