MAGRI 八田京子さん


宮崎の農業を知りたい!
どんな人々が就農している?

株式会社オーチャード・イワマン 副社長
(宮崎県 宮崎市)
株式会社MAGRI 代表取締役
八田京子さん
『シャトーマンゴー』を生産。
13年間のファッションモデル時代を経てオーチャード・イワマンへ。
ブランディングを一新し、売上拡大に貢献。
ファッションモデルからマンゴー農家への
転身で見つけた本当の自分。
宮崎で農業を始めたきっかけ
モデルという表舞台から、主役のマンゴーを輝かせる舞台裏へ
高校時代に地元宮崎市でスカウトされ、卒業後に東京のモデル事務所で働き始めました。13年間ニューヨークの化粧品のモデルなど、華やかなファッションの世界にいましたが、自分本来の力が発揮できているのか常に疑問を抱いていました。20代半ばで自分探しの旅に出て、一度宮崎に戻った際、青果店を営む友人の紹介でオーチャード・イワマンのマンゴーと出会いました。口にした瞬間、あまりの美味しさにガツンと衝撃を受けました。それほどの品質にもかかわらず、社長は経営不振から事業撤退を検討されていました。学生時代からどちらかといえば裏方のプロデュース側が性分に合っており、転身するならそちらへと考えていたので、「これは運命的な出会いかも」と直感、半月後にはマンゴー畑に立っていました。
マンゴーの国内生産量約3000tのうち、当園で生産するマンゴーは、糖度17度以上、果皮が100%深紅色で、生産量全体の0.2%という貴重なマンゴーです。私はこれを『シャトーマンゴー』と名付けてブランディング、パッケージやプロモーションをゼロから見直しました。初年度は100玉しか売れず、翌年は3倍のペースで売れましたが、新型コロナの影響で百貨店が閉店するなどして注文がすべてキャンセルとなりました。この窮地を脱するべく食品専門の通販チャンネルで販売したところ、あっという間に4000セットが完売、マーケティング次第で量を販売できる、という手ごたえを得ることができました。

農業をやっていて良かったこと
何をしていても楽しく、自分が活き活きできています
私の強みはステージ度胸や発想の柔軟性だと思います。モデル時代は連日のオーディションで度胸が付き、営業でもものおじしなくなりました。洋服を通じてデザインセンスが身に付いたこと、海外でも仕事をしていたのでビッグスケールで発想できることも強みです。通販番組でモデルをした経験があったこともピンチの時に役立ちました。今は13年間のモヤモヤが吹っ切れて、何をしていても楽しく、自分が活き活きできています。特に、その年のお客様からの最初の注文を受ける瞬間は、いろんな想いが交錯して何とも言えない喜びがありますね。
入社当時3名だった会社が今は14名に増えました。これまでは私の感覚的なもので乗り切ってきた部分がありますが、これからは全員が私と同じ目線で動けるようにしないといけません。想いを言語化し、体系化し、示すことが課題ですが、とてつもなく苦手な部分です(笑)。事業については高知と淡路島に次の生産地を確保して、来年には現在の50aから一気に170aに農地を拡大します。加工品や他社の生産物の販売代行の事業もスタートし、夢は大きく広がっています。
就農希望者へのメッセージ
みんなで作って、みんなで売る喜びがある
私自身もともと農業には特に興味がありませんでしたし、暑い時も、台風が来ても作業をしないといけない、つらそうな仕事というイメージでした。でも実際、自分で始めてみると農業って決まりがないし、自由な職業だと思います。農家さんが手薄な「販売」にも着目して、「自分たちの作った商品を自分たちで売る」感動を仲間でシェアする農業は面白い。そうなればきっと従来の「就農」のイメージも変わるような気がします。
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農作物の特長
1つの枝に
1つの実しか成らせないわが子のように手間暇をかけて育てるシャトーマンゴー。通常1つの枝に2~3個の実を成らせますが、シャトーマンゴーは1つの実しか成らせません。自動開閉装置やヒートポンプによる徹底した温度・湿度の管理で、常に最適な環境を保ちます。収穫時期には1個1個手作業でネットがけを行い、糖度17度以上、果皮が深紅色で色面積100%の果実を実らせます。
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新事業について
ジャムやドレッシングなどの
加工品も販売八田さんが代表を務める株式会社MAGRIでは、マンゴーを材料にしたジャムやドレッシングなど自社製の加工品も販売しています。また自社の物流センターを生かして、他社の牛肉や青果などの商品についても注文受付から商品の梱包、発送、その後のカスタマー対応などの業務を請け負っています。生産に特化したいという地域の農家さんからは感謝されていますね。