“ヒップクイーン”はるか嬢さんってどんな人?
北海道の東側。「道東」と言います。道東は「霧」で有名。
インタビューをしたこの日も、一面霧がかかっていました。


はるかさんは道東にある「厚岸町(あっけしちょう)」というところにある「おおの牧場」さんで働いています。

女子プロレスラー、一体どんな屈強な方なのだろう……
ドキドキしながらピンポンすると、現れたのはこの方。


ちだ
は、はるかさんですか?

はるかさん
はい、そうです。

ちだ
ヒップクイーンの? はるかさんですよね?
(頭がついていかず、2回確認するちだ。)

はるかさん
そうです。ヒップクイーンのはるかです。
いかにもプロレスラー!という外見をイメージしていたちだは、本当にびっくりしました。
「酪農」とも「プロレス」とも結びつかない雰囲気のはるかさん。
これは面白い話が聞けそうです。
生まれも育ちも東京。でも、高校から酪農とのつながりがあった

ちだ
お生まれが東京の国立市だそうですが、なぜ酪農の道に進むことになったんですか?

はるかさん
動物は昔から好きだったんです。高校進学のタイミングで先生から東京都立瑞穂農芸高等学校という学校の存在を聞いて、そこで興味を持って進学することにしたんです。
畜産科学科のある同高に進んで、2年次からは主にウサギや羊の世話をしていたはるかさん。
学校にも牛がいて、搾乳なども行っていたそう。
大きな転機が訪れたのは卒業間近のタイミングでした。

はるかさん
課外実習で牛が200頭くらいいる大規模な農家さんへ行ったんです。そこには自動搾乳機や、牛に歩数計をつけて牛の状況がわかるみたいな先進的な技術や設備が活用されていたんです。
一方で、当時は学校の小さなつなぎ牛舎(牛をロープなどでつなぎ、固定して飼う牛舎)しか知らなかったのでとてもギャップがあったんですね。
同じ酪農、というくくりなのにここまで違うんだ!ってとても驚きました。

ちだ
そこで酪農に強い興味を持たれたんですね。進学と就職では悩まれなかったんですか?

はるかさん
最初は進学のつもりだったんですが、課外実習をしてから「もっといろんな酪農の知識やシステムを学びたい」 と思ったんです。
で、それには座学よりも現場で学ぶのが一番だと思って就職に切り替えました。
酪農を志すも、就職できない!? 紆余(うよ)曲折からの北海道での就農

ちだ
酪農って人手が不足しているのでわりとすんなり決まったと思うんですが。

はるかさん
ところが、18歳の女子、となると逆にダメだったんです。
人手不足ではあるが、力仕事も多く男性職場、というイメージが現場にあるため「若い女子」ということで全国13件の牧場に断られたとのこと。
そんなはるかさんが北海道にたどりついたのには「縁」という言葉以外では表現しきれないストーリーがありました。

はるかさん
ある日、コープ(生活協同組合)のチラシに掲載されていたお客様相談室に「見学させてくれる酪農家さんいらっしゃいませんか?」って電話したんですよ。

ちだ
……(行動力ハンパねぇ)

はるかさん
そこが厚岸町(今はるかさんが働いている牧場のあるところ)の牧場だったんです。
で、思い切って2泊3日で行ってみたんです。

ちだ
……(行動力ハンパねぇ)
北海道に一人行かせるって、ご両親は反対されなかったんですか?

はるかさん
母に厚岸町出身の友人がいて、かつその方がちょうど帰省する、ということでその方と一緒に初めて厚岸に行ったんです。
縁をつなげる行動力のあるはるかさんは、北海道でも行動力を発揮。
地元の方に酪農をしたいがどうすればいいか、という相談をして厚岸町の酪農研修制度を紹介されたそうです。

はるかさん
その研修制度は、JAの寮に住んで2カ月ずついろんな牧場を回って仕事をするんです。全部で1年2カ月ほどでしょうか。研修の後、牧場に就職することになりました。
行動力がハンパないはるかさん。研修終了から実に7年。
いくつかの牧場を経て、今年の1月から現在のおおの牧場で働いています。
ちなみに、研修制度で一緒だった方々のほとんどはもう地元に戻ってしまったとのことです。

ちだ
何軒かの牧場で働かれたということですが、酪農を志すきっかけになった「いろんな酪農を見たい」という目的は達成されているんじゃないんですか?

はるかさん
そうではないんです。正直、知れば知るほど、という思いがあるんです。酪農、牛って本当に毎日新しい発見があるんですよ。
毎日新鮮さをもって仕事に取り組めるなんてとても素晴らしい!本当に酪農が、牛が好きなはるかさんの酪農話をさらに聞きたい!と思っていると、すっかり超重要事項を聞くのを忘れていました。
この方プロレスラーだった!