一般の求人サイトでは見られない農業の求人
農業を仕事にしたいと思っても、何の経験もなく始めることはできません。そこでまず、農場や農園に就職して、知識や経験を得るところからスタートすることが一般的です。
ところが、農業関連の求人は、一般の求人サイトにはなかなか掲載されません。試しに、大手の求人サイトで探してみると、農場・農園からの求人はあるものの、多くは経理や管理部門などの事務職であったり、あるいは箱詰めや加工作業の求人であったりします。土を作り、種をまき育てるという、本来の農作業に関わる求人はなかなか目につきません。
しかし、心配することはありません。従来「家単位」で行われてきた農業も、規模を広げていったり、食品関連の企業が農業に進出したりして、農業の「会社化」は着実に進んでいます。規模が大きくなれば当然、人手も必要になります。農業関連の求人は、しっかり探せば見つかるのです。
農業に特化した求人サイトをチェック
数は少ないながら、農業に特化した求人サイトはいくつかあります。代表的なものをご紹介します。
農業求人サイト
農業求人サイトとは、農業関連企業に特化した求人サイトです。正社員から臨時のアルバイトまで、全国の求人情報をチェックすることができます。農業だけでなく、畜産業や林業、漁業の求人まで扱うサイトもあります。
また、求人情報だけでなく、イベントの告知や現地での体験レポートなど、農業をより広く知ってもらうための記事も掲載されています。こうした情報も参考にしながら、就職先を探すといいでしょう。
JAサイト
各地域のJA(農業協同組合)のオフィシャルサイトには、「求人」のページを設け、地域の求人情報を公開しているところもあります。
地域に根ざしたJAですから、その土地の気候風土や勤務先の様子など、一般の求人情報サイトでは見えてこないリアルな情報を得られるかもしれません。ただし、全国のJAでこうした活動が行われているわけではなく、求人情報を公開していないJAも多くあります。
ハローワーク
ハローワークでも、農業関連の求人情報が公開されています。ハローワークに登録された全国の求人情報の中から農業求人だけをピックアップし、勤務地や労働条件などを絞り込んで、詳しい情報を見ることができます。
スマホアプリ「農mers」
「農mers(ノウマーズ)」は、メッセージのやりとりを通じて、農業を始める人と農家をつなぐスマホアプリです。利用は無料で、やりとりもチャットで簡単に行うことができます。
社員かアルバイトか? 働き方の違いは?
一般企業と同じように、農業でも雇用形態の違いがあります。どんな雇用形態が自分に合っているのか、きちんと見極めてから就職活動をしましょう。
安定の「正社員」
正社員を募集する農園・農場は、大規模な経営を行っている場合が多いです。
勤務地は郊外であることが多いため、給料は都市部に比べて低めですが、社宅や寮を完備しているところが多く、食費支給や食事・食材の提供をしてくれる職場もあります。そのため、都市部で生活するよりも、あまりお金は使わないかもしれません。
一通りの農作業を体験したいなら、年間を通じて作業に携われる正社員として就職するのが、最も確実といえるでしょう。
農繁期のお手伝い「住み込みアルバイト」
種まきから収穫までのうち農繁期だけ、農作業をアルバイトとして住み込みで手伝うことができます。勤務地にもよりますが、寮や住居を提供してくれるところもあります。
農繁期のさまざまな作業を見ることができますから、「農業を体験したい」というニーズには向いています。
収穫期のみ作業する「短期アルバイト」
農作業では、人海戦術で行わなければならない作業がどうしてもあります。中でも最も忙しくなる収穫期は、人手がいくらあっても足りないという状態になりやすいものです。そんな時に助っ人として活躍できるのが短期アルバイトです。
作物によって期間は異なりますが、収穫期だけの作業ですので、2~3週間の短期間でも受け入れOKという所が多くあります。全ての農作業に携われるわけではありませんが、農業がどんなものかを知る入り口として適しています。
本格的な就農にも役立つ「援農ボランティア」
今は仕事や学校があるので、すぐに就農するのは難しいけれど、将来は本格的に農業をしたい。そのための準備をしておきたい場合に役立つのが、援農ボランティアです。
農業に関心があり農業のサポートをしたい人に活躍してもらうための事業で、農作業の手伝いをしながら農業の知識や技術を得ることができます。ボランティアを育成するための養成講座や研修なども用意されています。
各自治体や地域のJAが窓口になって受け付けをしています。就労期間や食事・住居の提供の有無などはさまざまなので、問い合わせてみるといいでしょう。
農作業にあると便利な免許は?
就職あるいは長期のアルバイトで本格的に農作業を行うとなると、車を運転する機会があるかもしれません。持っていると、就職の際にも有利になる運転免許の種類をご紹介します。
普通自動車免許
ほとんどの農園・農場では、畑への往復や作物・資材の運搬に軽トラックを使っており、普通自動車免許は欠かせません。本格的に農業を始めたいなら、まずは普通自動車免許を取得しておきましょう。
なお、農地ではぬかるみで「スタック(車輪をとられて動けなくなること)」しないように、四輪駆動のマニュアル車が多く、その場合はオートマチック限定免許では運転できませんから要注意です。
小型/大型特殊自動車免許
特殊自動車免許は、トラクターやコンバインといった農耕用作業車を公道で走らせるときに必要な運転免許です。小型特殊自動車免許で運転できる小型特殊自動車の規格(※)を超える作業車の運転には、大型特殊自動車免許が必要です。大型特殊自動車免許には、比較的取得しやすいといわれる「農耕車に限る」という限定免許もあります。
小型特殊自動車は普通自動車免許で運転できるので、普通自動車免許をすでに持っていれば、新たに小型特殊自動車免許を取得する必要はありません。
※ 全長4.7メートル以下、幅1.7メートル以下、高さ2メートル以下(ヘッドガードにより2メートルを超える場合は2.8メートル以下)、時速15キロを超えて走行できない車両。
まず農業体験してみて、自分に合うかどうかを判断しよう
自然のサイクルの中で働く農業の価値が、近年見直されつつあります。しかし、実際にやってみると、農作業の多くは肉体労働。しかも、連休も夏休みも関係なく、作物は日々成長していきます。その世話を休むわけにはいきません。
それでも農業を仕事にしたいと考えるなら、まずは短期間のアルバイトなどから始め、農業に触れてみることです。その上で、自分に合うかどうかを判断するようにしましょう。