公式SNS

マイナビ農業TOP > 山梨で生きる 就農ライフ > 『第十二回 やまなしオンライン就農座談会』開催レポート

『第十二回 やまなしオンライン就農座談会』開催レポート

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

『やまなしオンライン就農座談会』
ARTICLE 12
9/6開催
イベントレポート

2025年9月6日(土)、今年度第2回となる「やまなしオンライン就農座談会」が開催されました。身延町・鳴沢村・山中湖村・小菅村の4町村からも担当者が参加し、山梨県および各地域の農業と就農・移住支援制度が紹介されたのち、現地と中継をつないで先輩就農者の農業ライフ紹介やトークセッションが繰り広げられました。山梨での暮らしと農の姿を身近に感じられたイベントの模様をダイジェストでお届けします。

1

牧場・畑から生中継!先輩就農者の農業ライフ紹介

一人目は富士河口湖町で牧場とチーズ工房を営む金子さおりさんです。大学を卒業後、製薬分野で約20年にわたり実験技術職として勤務。退職後に山梨へ移住し、富士ヶ嶺の酪農家で4年半の研修を経て、2020年に46歳で独立しました。
現在は放牧飼育した牛の生乳で、搾乳、チーズづくり、販売までを一人で手がけています。牛の健康状態がチーズの味に直結するため、グラスフェッド方式でストレスのない環境を整えています。動物相手に休みのない酪農ですが、雨の日は家で映画を観たり、お菓子を焼いて過ごしているとのこと。

    

二人目は甲州市の地域おこし協力隊として、株式会社あぐりフルーツで研修中の粂田和之さんです。前職は東京で小説編集者をしていましたが、「果樹をやりたい」との思いから協力隊制度を活用して移住しました。
研修では山梨オリジナル品種のサンシャインレッドなどのブドウとモモを栽培。3年目となる2025年12月に研修を修了し、来季には独立就農を控えています。今回は同社取締役の反田公紀さんとともに、収穫期を迎えたブドウ畑を案内してくれました。

2

トークセッションで貯金・収入・支出のリアルに迫る

参加者投票で選ばれたテーマのトップ2は「貯金」と「収入・支出」。先輩就農者それぞれの経営スタイルによって、資金計画に大きな違いが見られました。
酪農家の金子さんは、「貯金は1,000万円に満たなかった」としながらも、日本政策金融公庫の「青年等就農資金」を活用。無利子・長期返済で設備投資を進めています。牛舎は既存施設を改修し、500万〜600万円で整備。「ゼロから建てると5,000万円はかかる」と語るように、工夫と選択を重ねて経営を成立させてきました。収入は年々上向きですが、経費や設備更新で実質的には赤字が続いています。「お金の余裕はないけれど、心身のストレスは激減。自分の裁量で働ける今の暮らしが好き」と力強く話してくれました。

一方、協力隊として研修中の粂田さんは、月の手取り20万円弱に家賃補助4万円が加わる生活。「必要な道具は経費で整備してもらい、初期投資はほとんど不要」だったそうです。軽トラックや乗用モアはリースで使用し、卒業時に残金50万〜60万円を支払えば引き継げる仕組み。農地はあぐりフルーツが耕作放棄地を改修した圃場の一部を、のれん分けで借り受ける予定です。
独立後は借入なしでスタートする計画ですが、「1〜8月は収入がないので、生活費の貯えが必要」とも語りました。東京時代と比べ家賃は約3分の1になり、近隣農家からのお裾分けも多く、生活コストを抑えられるのが地方就農の利点です。

3

理想とのギャップと現場の学びを告白

後半では「理想とのギャップ」をテーマに、就農後の現実とやりがい、日々の学び方について語られました。
金子さんは「今は理想とギャップはほとんどない」と語ります。研修時代は狭い牛舎での繋ぎ飼いなど、理想とする放牧スタイルとは異なる環境に悩んだ時期もありました。しかし独立後は、富士山の麓で放牧を中心とした酪農とチーズづくりを実現。「理想どおりの環境で牛たちを育てられるようになった。忙しさは想像以上だけれど、それも含めて満足しています」と語りました。

一方、粂田さんは「思った以上にシビアな仕事」と話します。「農業は体力仕事というイメージでしたが、実際は判断力や計画性が求められる。基礎理論と実地経験の積み重ねが品質や収益を左右します」。研修では主力4品種のブドウと複数のモモ品種を組み合わせ、収穫時期を分散させることで労力と収入のバランスを取っています。この手法は独立後も継続していく予定です。「自然に囲まれて働けること、夜間作業がほとんどないことが魅力。健康的な生活に満足しています」と笑顔。トレーナーの反田さんが「協力隊は7名のチーム体制。設備・圃場・技術の”三位一体”で支援し、初期負担と不安を下げる仕組みが強み」と補足してくれました。

理想とのギャップを埋めるのではなく、自分で理想をつくる段階になった二人。学びを重ねながら、自分らしい農業の形を築いていく前向きな姿勢が伝わってきました。

4

参加者の声

今回の座談会には全国から38名が参加。男女比はおよそ4:5で、子どものいる家庭が全体の4割を占めました。参加地域は首都圏を中心に、関西・中部・北陸・九州からも幅広く、全国的に関心の高まりがうかがえます。アンケートでは「とても満足」45%、「満足」53%と、参加者の約98%が高い満足度を示しました。

「前職が全く異なる方が3年で独立できるのは夢がある」「勤めていたときよりストレスが減ったという言葉が印象的」「地域おこし協力隊からの独立事例が具体的で参考になった」といった声が多く寄せられました。そのほか、「貯金して準備を進めたい」「山梨の就農イベントや新農業人フェアにも参加したい」「実際に山梨を訪れてみたい」など、行動につながる意見も目立ちました。

就農を志す人々が、リアルな声を通じて自分の未来を描くきっかけとなった今回のイベント。山梨での暮らしや農業への期待が広がりを見せています。
山梨での就農に興味のある方は、ぜひ相談窓口の山梨県就農支援センターへ。オンラインでも相談を受け付けています。

お問い合わせ

農業に興味がある方、山梨県に移住したい方はこちらよりお問い合わせください(山梨県HPにジャンプします)。