丹波の幸　幸畑 孫

結婚を機に丹波市に引っ越して、工場勤務と栗の販売・加工をする会社でのアルバイトを掛け持ちしていました。そこで初めて丹波栗に出会ったんです。「こんなにおいしいのになんで知らなかったんだろう」「絶対にもっと売れる」と思って自分なりに勉強したら、アルバイトの方がすごく楽しくなりました。そこで工場を辞め、1年間の修行を経て独立。栗の加工・販売を始めました。しかし、ある日突然お世話になっていた栗農家が辞めることに。仕入れ先が減るのは大きなダメージだったので、栗園の管理を申し出ました。それが就農の第一歩でした。

栗は冬の間に木を剪定して、木が大きく育ちすぎないように制御しています。この剪定の作業が重要。丹波栗剪定士がどの枝からイガができるかを見て、日当たりや風当たりを考えながら切っていくんです。1本の木に対して実がつきすぎると栄養を奪い合い、実が小さくなってしまいます。栄養が満遍なく行き渡るように工夫することで大きな栗になるんです。さらに僕は独学で土壌も改良して、木がより栄養や水分を吸い上げられるように工夫しています。

将来的には「丹波栗といえば幸畑」と言われたいです。丹波市の栗園の中で一番収穫量が多く、品質も最も良い栗を作りたいーーそんな野望があります。そしていつか多くの人が「本当に一番おいしい栗は丹波栗」と思ってくれるようになればうれしいです。僕も栗の仕事を始めてからいろんな栗を食べましたが、やっぱり丹波栗が一番。このおいしい栗をもっと知ってほしいです。

丹波栗は、気候風土に恵まれた丹波地方で生産される栗の総称です。大粒で芳醇な甘みが特徴の希少な栗です。そんなおいしい栗を広めるために、約10年間がんばって育てて、加工して、販売してきました。大切に育てた栗をお菓子や焼き栗などにしているので、ぜひ食べてみてください。