ミディトマト農家 吉田 健一さん
先輩就農者
インタビュー


INTERVIEW-03
- 吉田 健一さん
- ミディトマト農家
ふくい園芸カレッジ修了生(平成28年度入校)
人物紹介
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- 年齢
- 45歳
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- 就農年数
- 5年目
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- 出身地
- 大阪府
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- 規模
- 32a
- 規模
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- 生産
品目 - ミディトマト、コカブ、
マルセイユメロン、
シャインマスカット
- 生産
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- 営農地域
- 三里浜砂丘地
(坂井市)
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- 営農形態
- 独立就農
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- 家族構成
- 本人、妻
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- 趣味
- 日帰り温泉めぐり
- 趣味
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- 前職
- IT系企業
(サーバー運用監視業務)
年間スケジュール
ミディトマト・マルセイユメロン・コカブ・シャインマスカット

福井特産のミディトマトと果樹の多品目栽培で、
収量・収益アップを目指します

福井県で就農するまでの
経緯を教えてください。
前職は出身地の大阪でIT系企業に勤務し、サーバーの運用監視業務を担当していました。一日中ずっとモニターを見ているような仕事です。24時間365日の体制で夜勤もある勤務体系だったため、年齢的にも体力的にも長く続けられないだろうなと薄々思っていました。転職するにしてもIT系で転職するとなればスキルが必要ですし、せっかくなら生活環境もすべて変えて、憧れていた田舎暮らしをしながら一生続けられる仕事がしたいと思い、移住して農業をすることに決めました。
手始めに大阪で開催していた農業フェアに参加し、いろいろな県のブースを見てまわりました。その中で、特に気になったのが福井県だったんです。未経験者が就農するための支援制度が充実しており、他県にはない魅力を感じました。その後、実際に福井県に足を運んでバスツアーに参加し、それがきっかけで就農を決断しました。
また、福井県は父が越前市の出身だったこともあり、何度か来たことがありました。全く馴染みのない土地ではなかったこと、大阪から近いということは就農を決めた理由の一つかもしれません。
農業をしたいと初めて妻に話した時は驚かれ、説得するまで数ヶ月かかりましたが、最終的には理解してくれて、今は一緒に作業に取り組んでいます。

栽培技術はどのように
習得しましたか。
仕事をやめて大阪を離れ、平成28年度に「ふくい園芸カレッジ」に入校しました。園芸カレッジでは、1年目に農業の基本用語やさまざまな基礎知識を学び、2年目からは里親農家さんのもとで研修させてもらうカリキュラムでした。園芸カレッジで県内各地の農業を見せてもらった結果、砂丘地での栽培に興味を持ちました。そこで、2年目は三里浜砂丘地の里親農家さんのもとで1年間研修をしながらトマトの施設栽培を学ばせていただきました。その翌年からハウス5棟と作業用ハウス1棟で独立就農し、その後5棟増棟して今に至ります。
品目としては、春作がミディトマト、マルセイユメロン、ユウカメロン、秋冬作がミディトマトとコカブ、少しですがシャインマスカットも作っています。2年間園芸カレッジや里親農家さんのもとで学んでも、独立した当初は細かい部分を忘れていて、判断に迷うこともありました。そんな時は里親農家さんにそのつどアドバイスをもらって対応しました。今でも里親農家さんには何かと気をかけてもらっていますし、県の普及指導員さんにもこまめに様子を見てもらって、助かっています。
栽培のこだわりを教えてください。
良いものを作りたいという気持ちはもちろんありますが、それ以上に今は経営基盤を固めていく大事な時期だと実感しています。収益を上げるためには収量を上げる努力が必要ですし、1年通じて何か出荷できるように、栽培する作物を考えたりしています。就農して3年目の時にリースハウスの借り手を募集しているという情報を聞き、「タイミング的に今だ!」と思って手を上げて増棟しました。就農5年目までは無利子で借りることができたので、それまでに設備投資を済ませたいと思ったんです。
こういった有益な情報も県の普及指導員さんから教えてもらえるのがありがたいです。

苦しかった経験や
嬉しかったエピソードを
教えてください。
就農するにあたって国や県からの補助はありましたが、最初は貯蓄を切り崩しながら始めるので、経済的な面でそれなりに覚悟が必要でした。これからの収益で取り戻していかなければならないので、気持ちが引き締まります。
農業を始めて良かったと思ったのは、たくさん収穫できた時や作物が売れて「美味しかった」と言ってもらえた時ですね。自分の仕事に対して、直接手応えを感じられるのは農業の魅力だと思います。
サラリーマンと違ってトマトの最盛期は休日が1日もなく、反対に12月から2月はシーズンオフに近い感じ状態で、1年の休みがその期間に集中してしまいます。休みを分散できれば、という気持ちはありますね。
福井県での暮らしについて教えてください。
生活面では県や国、市からの補助金もあり、生活費のすべてではないにしろ、補助が受けられることはとてもありがたかったです。園芸カレッジ2年間と就農後3年間は空き家を借り、家賃を市が月5万円負担してくれたので助かりました。人付き合いの面ではカレッジの仲間や後輩が近くにいますし、青年部などの集まりにも出ているので、そのつながりを心強く感じています。
しかし、ガス代には驚きました(笑)。大阪では都市ガスでしたが、こちらではプロパンガスです。初めて明細を見たときは、大阪との違いに衝撃を受けました。でも、こちらに来てから出会ったみなさんはとても温かく、全体的には暮らしやすい県だと実感しています。

農業経営主としての
今後の目標や展望を
教えてください。
基本的には今の規模で収益がもっと上がるように努力し、いつかは果樹の種類も増やせたらと思っています。
現在、施設栽培のミディトマトが収益の8~9割を占めています。ただ、一つの作物に絞ってしまうと、もしもの時はリスクが大きいとも感じています。もともとトマトを始めたのは収支が良かったからですが、トマトに頼りすぎず、できるだけいろいろな作物に挑戦して、リスク分散をしていくことも大事だと考えています。

就農希望者への
メッセージをお願いします。
農業で生活を成り立たせていくなら、補助金や生活面でのサポートが充実している自治体で就農することをオススメします。私が福井県で就農したのは、福井県の制度が他県と比べて圧倒的に充実していたからです。福井県は人もサポートもやさしい県です。ぜひ福井県での就農を検討してみてください。