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トマト・ネギ農家 冨田 美和さん

先輩就農者
インタビュー

INTERVIEW-04

冨田 美和さん
三つ星農園(三つ星株式会社)/トマト・ネギ農家
ふくい園芸カレッジ修了生(平成27年度入校)

人物紹介

  • 年齢
    44歳
  • 就農年数
    6年目
  • 出身地
    愛知県
  • 営農地域
    坂井市
  • 規模
    大玉トマト50a
    ネギ8ha
  • 営農形態
    独立就農
  • 生産品目
    大玉トマト、ネギ
  • 家族構成
    本人、夫、
    長女、次女、三女
  • 趣味
    旅行
  • 前職
    大学職員、専業主婦
  • 従業員数
    12人(通年雇用)

年間スケジュール

大玉トマト・ネギ

家族経営から大規模農場に
有言実行を重ね、
次世代へ継承できる農業を

福井県で就農するまでの
経緯を教えてください。

福井に来る前は大阪で子ども3人の子育てをしていました。その前は、大学の研究機関で特許申請などを担当する仕事をしていました。
福井に来ることになったのは、坂井市出身の夫の母が病気で倒れたことがきっかけでした。「いつか福井に帰るなら今がその時ではないか」と夫婦で相談し、私と子ども3人が先に福井に来たんです。夫は当時、不動産関係の会社に勤めていたので仕事の整理をつけて3カ月後に来ました。

夫の実家はもともと農家で、親の代はコメの兼業農家。祖父の代は畜産とコメの専業農家でした。とはいえ、私が最初から農業に興味を持っていたかというとそうではありません。こちらに来た時は全くノープランで、母の病気が無事治ると急にぽっかりと時間ができ、「都会でやっていたようなことはもうできない」「友達のようなキャリアプランは描けない」と悲観していました。しかし日々生活を送るうちに、せっかくなら都会ではできないことに挑戦したら面白いのではないかと思うようになり、農業への挑戦を考えたのです。

就農からこれまでの
あゆみを教えてください。

全くの素人だったので、最初は「ふくい園芸カレッジ」に入り、農業の知識と技能を2年間実践的に学びました。その後、田んぼに6aのハウスを建てて、ミディトマトや田んぼでも作れる野菜、趣味程度のメロンなどを手探りで始めました。
でも次第に、家族経営の農業ではこの先長く継続することはできないと思い始め、雇用型の経営を目指したいと考えるようになりました。もちろん資金的な問題もありましたし、そう簡単ではないことはわかっていました。

そんな時に県の農林総合事務所の方から国の補助事業で大規模なハウスを建設する話をいただきました。規模としては50aのハウスです。私は以前から嶺南地域で大規模経営をされている会社があると知って視察させてもらうなど、とにかく色々な場所に足を運びながら「いつか雇用型の経営をしたい」と夢を語り、種をまくようにしていました。その種が実り、運よく大きなチャンスが舞い込み、夢が叶ったんです。
そこからは経営規模を10倍にし、従業員を十数人通年雇用することを決めて、2019年から栽培を始めました。2021年度には、1億円弱を売り上げ、黒字化を達成することができました。

大規模化で重視したことを
教えてください。

通年雇用で従業員を抱えるとなると、年間を通して出荷できる体制づくりが不可欠です。大玉トマトとネギを組み合わせて1年を通して出荷できる体制を整え、現在はネギがトマトの売上と同じくらいになりました。今年はネギ用の作業場を新たに建設し、当面の施設整備がようやく終わりそうです。

農業は農地、人、資金、技術が、パズルのピースのようにうまくはまらないとスタートさせることもステップアップもできません。私自身、規模拡大を望んでいても実現するのは難しかったと思いますが、お話を頂いた時に思い切って決断したことでここまで成長することができました。規模が大きくなると投資額も当然大きくなりますし、小さなミスが大きなリスクにもなりかねません。でも、その覚悟がなければ大規模化には踏み切れなかったと思います。

栽培のこだわりを
教えてください。

栽培に関する特別なこだわりはないかもしれません。ただ、トマトもネギも日常的に冷蔵庫に入っている野菜ですから、年間を通してできるだけ長期間、安定的に市場に出荷できる体制づくりに努めています。
また、何か発生した時に振り返ることができるように、誰がどの作業をどのように行ったのかといった作業履歴を必ずデータとして記録することには力を入れて取り組んできました。最初の頃は従業員数が少なかったので密にコミュニケーションが取れていましたが、人数が増えるとそうはいきません。情報伝達が簡単ではなくなるので、作業を“見える化”して、栽培リーダーの意見を取り入れながらみんなで少しずつバージョンアップして取り組んでいます。

福井県での暮らしについて教えてください。

急に福井に移住することになったので、最初は旅行者のような感覚でした。近所の人の福井弁は聞き取れないし、夜は街灯がなくて真っ暗。そういったことのひとつひとつが楽しく、新鮮に映りました。とはいえ、慣れてくると気分が落ち込むこともあります。移住前は身にまとっていたおしゃれな洋服も、ピンヒールの靴もバッグも必要のない生活です。でも、食べ物に関しては何もかもが美味しい。味覚が豊かになったと思います。そして、余計なお金を使うことがなくなり、生活はとてもシンプルになりましたね。

農業経営主としての
今後の目標や展望を
教えてください。

今は、組織として従業員の管理や教育が大事な時期だと考えています。従業員がどうすればもっと成長できるかを考えて取り組んでいきたいですね。
作物に関しては、トマトは環境制御の自動化を進めています。栽培の苦労ももちろんありますが、自然相手のものですから、どうしようもないことも多いと感じています。「これをしたから劇的に変わる」というものでもありません。農業は長期的スパンでのんびり構えるしかない部分もあるのではないでしょうか。ただ、原価がどんどん上がっている割に作物の価格は上がらないので、収益は厳しい状況になることが予測されます。今後は作物(商品)の特徴を打ち出していくことも必要でしょうし、農園を次世代に継承していくための仕組みづくりも考えていきたいと思います。

就農希望者への
メッセージをお願いします。

夢は描かなければ実現できません。そして、やりたいことは周りの人に言い、言ったからには実現するための行動をしていくことが大事です。リスクを恐れず、強い意志を持って諦めずにやり遂げることが大事だと思います。私たちの事例は参考になるかどうかわかりませんが、やり方次第では新規就農でも大規模化は実現できます。失敗を恐れずチャンスをしっかり掴んで挑戦していただきたいですね。

お問合わせ

福井県農林水産部園芸振興課
TEL:0776-20-0433

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