「農業にも、生活スタイルにもしっくりきた」 移住によって実現した、本当にやりたかった仕事
- 石川県羽咋郡宝達志水町
- 木村 乗治さん (岐阜県出身)
「農業にも、生活スタイルにもしっくりきた」 移住によって実現した、本当にやりたかった仕事
「これが最後の転職。それなら好きなことに挑戦しよう」。木村さんがそう心に決めたのは、愛知県名古屋市で飲食業に従事していた38歳の時でした。将来を模索する中、以前から心の奥にあった農業への興味が再燃したという木村さん。石川県で開催された農業体験に2度参加したことを通じて、水稲への興味が湧いてきたと、当時を回顧します。その後、9ヶ月に渡る長期農業体験に参加したのち、「(水稲農家として一本立ちするためには)米作りのプロとして実績のある法人で学ぶのがベスト」と、羽咋市で40年以上の水稲栽培歴を誇る(有)グリーンアース杉浦(以下、グリーンアース)に入社しました。
2016年、入社を機に同市へ移住した木村さん。「グリーンアースでの仕事はとても有意義で、農業が自分の性にあっていることを確かめることができました。石川の生活にもしっくりきていましたね」と笑顔をのぞかせます。雇用就農を通じて、本格的に水稲の技術を習得。入社当初から独立の意志を示したことが奏功し、2年目には約70aの水田を借り受けるチャンスに恵まれ、17年10月に晴れて独立を果たしました。
独立1、2年目は生計を立てるために、副業としてアルバイトにも勤しんだ木村さんですが、がむしゃらに農業と向き合っていった結果、周囲の先輩農家のサポートもあり、徐々に農業経営が安定していったと話します。「周囲の方々から農機を譲り受けたり、休耕田を紹介してもらったり、非常によくしてもらいました。今の自分があるのはそんな方々のお陰です」。
20年には同市で知り合った実千代さんと結婚し、現在は夫婦二人三脚となって農業一本で生計を立てるまでに至りました。また、水稲のほかにも露地野菜の栽培を始め、季節野菜の定期販売という新たな試みにも挑戦していくとのこと。「紆余曲折はありましたが、ようやくやりたいことに打ち込めている嬉しさをしみじみと感じます。就農にあたっては大まかな方向性だけ決めてがむしゃらにやってきましたが、これがいい結果につながったのかもしれません」。