大量飼育の難しさの先に、
「美味しい」のやりがい
日本人とたまご
玉子焼きや目玉焼き、オムライス、マヨネーズ、ハム・ソーセージ、ケーキ…。料理に限らず、調味料、加工品など食卓には欠かせないたまごの存在。日本の国民1人あたりのたまごの消費量は年間約300個と、世界でも有数のたまご消費国です。価格も手頃で比較的安定しており、良質なタンパク源として、幅広い年代の消費者に受け入れられています。2018年の農林水産省のデータによると、2017年のたまごの生産量は約260万トンと3年連続で前年を上回っています。
養鶏産業の現状と課題
国内でたまごを生産している地域は、関東・東山地域が飼養戸数・羽数とも全体の約3割を占め、九州がそれに次いでいます。また、採卵鶏の飼養戸数は減少傾向にある反面、飼養羽数は増加しており、経営規模の拡大が進んでいるのが現状です。畜産経営の中でも、養鶏は法人経営が多いという特徴もあります。
養鶏産業は飼料生産、流通・加工などを含め、他産業を密接に関連し、地域の雇用確保という面でも重要な役割を果たしており、地域経済を支える重要な産業です。今後は、国際化の進展や消費者ニーズに対応した安心・安全な鶏卵の生産・供給とともに、たまごのブランド化の確立、六次化産業や生産~販売体制の構築による経営の安定化、環境に配慮した循環型農業、担い手の育成などが課題となっています。
農業に魅力を感じてもらい、
強い産業にすることが
私のミッションです。
- プロフィール
- 1976年生まれ。熊本県立大津産業高等学校食品加工科(現・翔陽高校)を卒業後、岐阜県にある㈱後藤孵卵場を経て、1997年父親が代表を務める㈲コッコファームに入社。2011年1月、34歳で㈱コッコファーム代表取締役社長に就任。菊池市まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議委員など公的な役職も多数。妻と長女、長男との4人家族。
- 就農(事業承継)のきっかけは?
- ㈱コッコファームは、私の父親が1969年に始めた養鶏業からスタートしました。父親は脱サラをして小さな養鶏業を始めたのですが、私も小さい時から姉妹で餌やりや卵ひろいなどの手伝いをしていました。正月や土日祭日も休みなく両親が働いて苦労する姿を見て育ち、「自分にできることがあれば手伝いたい」という気持ちが徐々に強くなりましたね。養鶏だけで食べていくのは大変なので、何とか変えていきたいという思いもありました。
- 御社の強みや
力を入れていることなど - 「産みたてのあたたかい卵を直接お客様へお渡ししたい」という創業時からの想いを大切に、17部門135名の従業員で生産から加工、販売を一貫して手掛けています。2011年1月にオープンした地域のコミュニティー複合施設「たまご庵」では、たまごの販売だけでなく、地域の生産者の皆様の「宝」である新鮮な農産物の販売や弊社のたまごと旬の野菜や農産物を使用した毎月限定の加工品の開発、販売(六次化産業)にも力を入れ、年間100万人以上のお客様にご来店していただいています。養鶏で重視しているのは、「餌」「水」「環境」。鶏種は、純国産種「もみじ」を飼養。飼料には遺伝子組み換えなし、ポストハーベストフリーのとうもろこしを使ったオリジナルブレンド飼料を使っています。鶏たちが吸収しやすいように水の分子を小さくしたり、夏場でも鶏たちが過ごしやすい環境を整えています。さらに県内で初めて「農場HACCP認証」を取得(2019年3月)するなど、常に生産性と品質の向上でブランドの価値を追求しています。
- 養鶏の仕事を行う上での
課題や取り組みについて - たまごは1年365日、毎日生産されますが、需要と供給のバランスがうまくいかない時もあります。「たまご庵」でも、年末やゴールデンウイークは午前中にたまごが完売することもありますが、そうでない時期も。このため、「生産」「加工」「販売」が常に連携を取りながら、様々な商品開発にも取り組んでいます。また、会社が成長発展していくためには人材育成も大きな要素だと考えています。技術の伝承に力を入れるとともに、現場においてはOJTを大切にしながら人材を育成。外部から顧問獣医師などの専門家を招聘し、意見交換を含めた勉強会なども適宜開催しています。これからも従業員の皆さんが快適で活力ある職場環境で仕事が行えるように弊社の企業理念を更に追求し、強小の会社を構築するべく全員が一丸となり経営していく所存です。
- 仕事のやりがいは?
- 事業承継して社長になって9年。先代の社長の教えを承継していく部分もあれば、時代と共に変えていかなければならない部分もあります。常にそれらを融合しながら経営に取り組んでいます。その中でも、「コッコファームのたまごしか食べられない」といったお客様からの声をいただいた時がいちばんやりがいを感じますし、私を含む従業員もモチベーションが上がる瞬間です。これからも未来永劫「コッコファームという会社がこの地域にあって本当に良かった」と言っていただけるような会社であり続けたいですね。
- 就農希望者への
アドバイス・メッセージ - 私の夢は「農業を若者が就きたい職業NO.1」にすることです。そのためにも、会社が魅力的でないと、畜産には興味を持ってもらえないと考えています。経営という観点からも、今以上に成長・発展していかなければなりません。農業は大変だし儲からないという考え方もありますが、農業に魅力を感じてもらい、強い産業にすることが私のミッションでもあり、役割です。これからの地域の農業を若い世代の人と共に意見交換し、一緒にこれからの地域農業を考えていく場を多く設けていきたいと考えています。機会があればぜひ参加していただきたいですね。
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WEBサイトhttps://www.cocco-farm.co.jp/
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プロモーション映像https://www.cocco-farm.co.jp/news/945/