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中山間地域 農業の複合経営魅力物語 森澤 祐佳さん

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中山間地域農業の複合経営魅力物語

02

広島県(中四国)

ReSEED農園

森澤 祐佳さん

森澤さん
PROFILE 人物紹介PROFILE 人物紹介

栽培作物

落花生、ミニトマト、ナス、パプリカ、ニンジン、ダイコンなど30品目

耕作面積

2ha

経営規模

父親の法人

移住形態

Iターン

前職

小学校教員

農地の取得

借地

就農までの期間

農業研修1年後

移住した年

2012年

農業

×

加工業

  • 多品目

地域の未来を考え、「稼げる農業」に挑戦する森澤さん。農家の多い地域でノウハウを学びながら、加工品販売や野菜を使った飲食店も展開しています。ブランディングや働きやすさなどを大切に、仲間や共感者をどんどんと増やしています。

小学校教員から転身。「子どもたちのため」新しい農業で雇用を生む

ヤンマーアグリイノベーションの研修では元気なお兄ちゃん、おじちゃんの中に紅一点

移住を考えたのはいつごろですか?

小学校の教員として、ここ世羅町に赴任しました。出身は呉市ですので、当初はのどか過ぎる風景に驚いたんですけど、すぐに馴染みました。 この土地で教員となって、ある課題があることに気がつきました。生徒たちが進学や就職で世羅を離れたあと、仕事が無いため、戻って来たくても帰れない状況があることに。5年目に異動辞令を受け取ったとき、「子どもたちが帰って来られる故郷を作りたい」と決意しました。世羅町に雇用を創出するために、農業をこの地で始めようって。
農業以外の選択肢も考えたのですが、いきなりIT企業を誘致したり、大きな工場を造っても、違うなと思ったんです。教員時代、社会科見学やふるさと学習などで地域に出かけていく機会がたくさんありました。そこで、地元のおじいさんやおばあさん、企業の方々の話を聞いていく中で、世羅でやるなら農業だなって。

世羅産落花生を「PEAceNUTS(ピースナッツ)」と名付け、商品展開

父親の会社で農業事業部を立ち上げてもらい、スタート

「ヤンマー」が主催する研修に1年間参加しました。当時、広島県とタッグを組んだ「ヤンマーアグリイノベーション」という研修施設が近くにあったんです。私が農業をやるという噂を聞いたかたが、施設のことを教えてくれました。でも、いざ入ろうとしたときに、個人では入れないと言われました。そこで、父が会社をやっていたので、「会社には迷惑かけんけん、とりあえず在籍だけさせてくれ」と話をしました。 父から、「1年間研修に行ってみて、その後就農をしたいということであれば、会社で農業事業部を立ち上げてみてもいいかも」と言ってくれました。父の会社はガス事業から始まり、自動車販売、リフォームなどで生活を支援しています。そこに「食」という面から暮らしをサポートしたいという思いで加わったのが、「ReSEED農園」です。

土地を入手するまで

これには苦労しました。地元の人たちは私が教員をしていたことは知っているので「先生には貸したいんだけどね……」って言ってくれます。でも、なかなか貸してくれない。自分たちの土地に対する思いを感じた出来事でもありました。 研修時代の先生が話を通してくれて、土地を貸してもらえることになりました。ただ、雑木と雑草だらけの耕作放棄地だったので、農地にするために0から開拓をしました。球場ひとつ分くらいの土地の石を拾うところからスタートです。この石に、何度トラクターの歯をダメにされたことか。土地を切り開く難しさを味わいました。

球場ひとつ分くらいの土地の石を拾うところからスタート、土地を切り開く難しさを味わいました

作物の栽培、加工品への展開

そんな状態でも、3月に土地を借りて、5月にはほうれん草とニンジンの種を蒔きました。結局うまくはいかなかったですね。畑はまだまだ石ころだらけでしたし。どんな野菜を撒くかについては、研修時代からお世話になっていた「井谷種苗園」さんに相談にのってもらいました。その中で、広島で、みんながやっていないものとしてピーナッツを紹介してもらったんです。「おおまさり」という手間はかかるけれど、大きく甘い、茹でて食べるために品種改良された落花生です。食べてみたらおいしかったので、これをやろうと決めました。これは最初からお客さんの反応もよかったですね。就農して3年目から少しずつ植え始めたので、もう8年くらいやってます。一大産地である千葉県の農家さんのところへ見学に行ったこともあります。千葉とは土質が違うので苦労はあるんですが、少しずつ作付面積を増やしていきました。

自動車メーカー世界のマツダのロードスターをモチーフにしたデザイン缶が大反響!

「おおまさり」をクッキーに加工し、販売をしています。新しい広島の名物として売り出そうと、この世羅産落花生を「PEAceNUTS(ピースナッツ)」と名付け、商品展開をしています。 2022年だったと思うんですが、クッキーを食べたという自動車メーカー「マツダ」さんから連絡をいただきました。あまりにビックネームの企業だったので、最初は詐欺じゃないかと疑ったほど(笑)。私たちのことを調べてくれて、思いに共感してくださったとのことでした。一緒になにかできないかというご提案で、マツダの象徴的な車種であるロードスターをモチーフにしたデザイン缶で販売しました。これがもう大反響で。広島駅内の土産物屋にも置いてもらえることになりました。こういう流れがでてきたのはここ2、3年です。10年間、土にまみれてやってきたことは間違いじゃなかった……。

農園と加工場、カフェとキッチンカー、すべてに統一性のあるブランディングを意識

 
カフェやキッチンカーも含めた、すべてのリブランディング

加工業は、落花生を作り始めた2015年からやっていたんですが、最初は全然売れませんでした。2020年にリブランディングをすることになり、そこから大きく変わりましたね。社員一人ひとりがブランドに合った振る舞いをするというインナーブランディングから、社外向けのアウターブランディングまで、徹底的に考えました。環境づくりも含めて、私たちが一から学び、農園と加工場、カフェとキッチンカー、すべてに統一性のあるブランディングができました。 クッキーのレシピは変わったわけじゃない。外から見たらパッケージに貼るシールを変えただけかもしれない。けれど、これまで売れなかったクッキーが売れるようになった。ブランディングの大切さを痛感しましたね。 おかげさまで現在の売上は加工業が8割で、カフェとキッチンカーがそのあとに続いています。ただ、オンライン販売はコロナを経て、ECがレッドオーシャンになってしまっていて、正直、苦戦しています。

会社の事業としての農業経営

株式会社の中の農園事業ということで、最初の先行投資は会社にしてもらえました。が、先行きが見えなかったので、大きな投資をされても不安でした。また、社長の娘である私が新規事業をスタートさせることを、既存の社員さんたちがよく思わないだろうなっていう懸念もありました。だからまずは実績を出したかったのと、どんな思いでやっているかを理解してもらうことを優先してやってきました。今では、落花生の収穫期の忙しいときには、別の部署の社員さんたちが来て手伝ってくれるようになりました。彼らも自分たちで収穫したものをお客さんのところに持っていくんです。そうすることで、会話のきっかけ作りや、継続的なつながりができることで、お客さんの離脱率が減ったと聞きました。相乗効果があるのは嬉しいですね。 行政からの支援金については、調べはしましたが受けてはいません。なにが適しているかが分からない畑に、作物の制限が出てしまうのはリスクだからです。あとは、5年で5000万とか、10年で1億っていう事業計画を立てることが、不透明な中での私たちには厳しかったということもあります。

理想とする形態から未来を考えてみる

地元の小学校隣の農地「つばきっ子ふれあいファーム」で毎年恒例の芋ほりを

今後の展望

現在、従業員は主婦業をやりながらって人が多いので、子どもが熱を出したりなど、柔軟な対応ができる職場でありたいなと思っています。「参観日は絶対に参加すること」っていう、元学校教員ならではのルールもあります。 24年10月から、本社に新入社員で入った男の子が部署異動としてこの農園所属になったんです。今後、彼のように、〝たまたま配属先が農園だった〟という人が増えてくるはず。そうなったときに、島流しのような気分にはさせたくないんで、快適な職場環境の整備が課題だと思っています。

地新規就農を目指したい人へのメッセージ

志があってここまでやって来れました。夢や目標は大きな原動力になるので、将来見たい姿を描いてみるのは、まずはいいのかなと思います。 あとは、一人でするか、家族でするか、会社でするかっていうのは、それぞれに違いがあります。理想とする形態から未来を考えてみてもいいかもしれません。「こうすれば楽しく新規就農できるよ!」なんてことは言えませんが、やっててめちゃおもしろい仕事だと思っています。

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