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中山間地域 農業の複合経営魅力物語 白井 涼輔さん

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中山間地域農業の複合経営魅力物語

04

茨城県(関東)

奥久慈水穂村

白井 涼輔さん

白井 涼輔さん
PROFILE 人物紹介PROFILE 人物紹介

栽培作物

水稲、野菜多品目

耕作面積

米6ha、ナス5a

経営規模

本人

移住形態

Uターン

前職

学生

農地の取得

借地

就農までの期間

卒業後すぐ

移住した年

2021年

農業

×

畜産

  • 水稲
  • 多品目
  • Uターン

周囲の反対の中、中学2年生の時に農家になることを決意した白井涼輔さん。農業高校、農業経営大学校に進み、計画通り新規就農へ。和牛の繁殖と掛け合わせた循環型の農業に取り組みながら、田植えや稲刈り体験なども開催し、ゆくゆくは高齢化する地域の活性化も目指す。

農業高校、農業経営大学校に進み、22歳で新規就農!?

大学卒業の2日後には、開業届を出してました。

移住を考えたのはいつごろですか?

祖父母が農家だったので農業は常に身近にありました。1歳の頃から背負いかごに入れられて畑に行ったり、保育園や学校から帰ってきて稲刈りの手伝いをしたり。そんな環境で育ったので自分も農家になりたいという気持ちはあったのですが、周りからは「農家は儲からないから辞めたほうがいい」と反対されてばかりでした。そんな中、学校の授業で日本の耕作放棄地について学ぶことがありました。

土手が大きく、50枚ほどの圃場で農業を。

このまま耕作放棄地が増えると、綺麗な風景が失われる。

誰かが農業をやらなければならない。

自分には農家である祖父母がいて、必要な道具や農地も揃っていて、さらに今後、周りの農家さんが引退したら農地を引き継げる可能性もある。そして大子町はおいしいお米ができる環境がある。農業をするのに十分な条件が整っていると再確認し、中学2年生の時に米農家になる決意をしました。

祖父の仕事の手伝いと農業高校・農業大学で学ぶ。

高校でも先生から、「米農家は儲からない」とくぎを刺されましたが意志は変わらず、その後、農業の6次産業化を含めた経営を学ぼうと、日本農業経営大学校に進学しました。農業簿記や経営改善についてを座学で、夏場は現場での農業研修を。

張り方が緩いと猪に簡単にくぐられてしまいます。

 

和牛の繁殖は農業と相性がいい。

稲藁などを牛の餌に、もみ殻を牛舎の敷料に。

現在は水稲が中心です。当初は3ヘクタールからですから、3年でほぼ倍の規模になりました。水稲以外では、JA常陸のブランドである奥久慈なす、ミニトマト、パプリカ、オクラなどの野菜も栽培しています。また、祖父から譲り受けたものと自分で買い足した和牛の親牛3頭と子牛2頭の飼育もしています。

これからの自分の農業。

今は主に減化学肥料を使って栽培をしていますが、今後は牛糞を用いた有機肥料の活用にも力を入れ、土質をよくして勝負していけたらとも考えています。
就農してからは祖父のほかにも、日本米穀小売商業組合連合会やお米マイスターなどが組織する実行委員会により開催される「いっちゃんうまい米コンテスト」で金賞を受賞したことのある農家さんを師匠と仰ぎ、お米の品種に特化した栽培方法を学んでいます。そのおかげもあり水稲に関しては規模を拡大しながら計画通りに進んでいます。一方で、奥久慈なすについてはまだまだこれからという状況です。稲刈りと収穫時期が被ってしまい手が回らなくなることも多々あります。

イノシシに踏みつぶされてしまうと匂いが付くので出荷できません。

就農して3年、おかげさまで収量などについてはだいたい計画通りに増えていってはいるのですが、中山間地ならではの苦労がなかなか…。ここで農業をする難しさの一つは水田が狭いことだと思います。狭いだけならまだいいのですが、土手が大きいこともあり、去年なんて草刈りがほとんど追いつかなかったです。土手の高さは2・5メートルほどあり、また圃場枚数も50枚ほどもありますので。また獣害も多いです。

 

大子町は寒い地域で、田植後に霜が降りることも。

寒冷期には水温の方が高くなるので、田んぼに目一杯水を張って稲を水没させるんです。稲って意外と水没して1日ぐらいでは死なないので、夜水没させ、昼間には水を抜いて酸素入れるという方法でカバーしています。奥久慈なすも出荷のタイミングから4月20日ころに定植するのですが、まだまだ冷え込むので、被覆を二重するなどして寒さを凌ぐ対策をしています。

パンやスイーツ、農家レストランなども視野に。

おいしさにこだわった商品を作り続けたい。

町の事業者さんと繋がることで生まれる相乗効果。

今後の展望としては、自分の栽培した米からつくった米粉を使ったパンやスイーツなども作っていきたいです。また、うちにはおいしいお米とお肉があるので、それらを使って農家レストランなども。最終的には、田んぼのある農村の中にお客さんを呼んで、宿泊までしていただけるグランピングのような場所ができたらと思っています。

自分が頼まれたら断らず率先して働く。

農業をする上での一番のポイントは、周りの農家さんや地域の方といかに溶け込めるか、上手くやっていけるかだと思います。やっぱり自分ではできないことやわからないことがたくさん出てくる中で、私自身初めは助けを求めるのに申し訳なさを感じていたのですが、意外と喜んで助けてくださり、関われて嬉しいと思ってくれてるんじゃないかなと感じることが多いです。

取材・文=乾祐綺 写真=乾祐綺 編集=養父信夫

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