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北海道スマート農業SUMMIT2022 開催報告

北海道スマート農業
SUMMIT2022
開催報告

2022年11月15日、札幌市にあるアクセスサッポロにて「北海道スマート農業SUMMIT2022」が開催されました。
このイベントは、北海道農業の未来を創っていこうとするメンバーと生産者が、「スマート農業」をキーワードに農業の未来を語り合う機会をつくる、という主旨で行われています。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、3年ぶり2回目のイベント開催となりました。
会場には、土屋俊亮北海道副知事も駆けつけ、「SDGsにも関わるスマート農業をぜひ実現し、北海道の農業をもっと豊かなものにしてほしい」とスマート農業への期待を話されました。

土屋俊亮北海道副知事

PR講演・セミナーは全8回行われ、各回、生産者や農業に携わる企業がそれぞれの先進的な取り組みや事例を紹介しました。屋内外の展示場では、省力化・自動化をかなえる機器の展示や実演が行われ、38の出展企業が軒を連ねたブースエリアには、各社いちおしの商品や技術が展示されました。ドローン操縦を気軽に体験できるドローンサッカーブースも設置され、多くの参加者でにぎわいました。
生産者や農業関連企業、学生など約926名もの人々が来場。パンフレットを真剣に読み込む方、ブースでの説明に聞き入る方など、どの方も意欲的に情報を収集しており、会場は一日を通して熱気に包まれました。

土屋俊亮北海道副知事

北海道スマート農業
SUMMIT2022概要

【開催日・会場】
2022年11月15日(火)10:00〜17:00・アクセスサッポロ
【主催】
スマート農業共同体(SAc)
【共催】
株式会社マイナビ 農業活性事業部
【後援】
北海道・北海道総合通信局・一般社団法人北海道農業機械工業会

商品ディスプレイブース

屋内展示場に設置された商品ディスプレイブースには、計5社が出展。他ブースよりも広い展示スペースには、車両消毒用の防疫装置や産業用マルチローターの最新モデル、アシストスーツや多機能な作業服など、さまざまな商品がずらりと並びました。
ブースには専用の商談スペースが設けられ、来場者と企業スタッフが商談を行う様子も度々見られました。作業服の展示・販売が行われたブースでは、来場者が試着をしたり、作業服についての悩みを相談したりという姿も見られました。いずれのブースも目を引く展示のため、たくさんの来場者が立ち止まり、商品を間近に見ながら出展者の話に耳を傾ける様子が印象的でした。

商品ディスプレイブース
商品ディスプレイブース
商品ディスプレイブース
商品ディスプレイブース
商品ディスプレイブース

PRブース

屋内展示場の一般ブースには33の企業が出展。開場時間になると、道内外から訪れた生産者や農協関係者、農業関連企業の方々などが一斉に各ブースに押し寄せ、場内は一気ににぎわいました。
出展企業は、映像やパネルを使って商品や技術をPR。商品の効果を模型で再現したブースや、商品を試着できるブースもありました。土壌改良剤のサンプルの配布や、パンや麺などの農畜産加工品の販売なども行われ、来場者の関心を集めていました。
今回はコロナ禍での開催ということもあり、各ブースは距離を空けて設置。商談スペースや飲食コーナーの座席はビニールシートで区切られ、少人数で利用できるよう配慮されていました。そうした中でも、午前・午後共に場内は大盛況。出展企業の社員が商品や技術を来場者へ紹介し、熱心に商談をする様子がどのブースでも見られました。

PRブース
PRブース
PRブース
PRブース
PRブース

機械実演

屋外展示場では、サングリングループがXAG社製の農業用無人車「R150」の機械実演を行いました。R150は、物資の運搬や牽引、薬剤の自動散布ができる優れもの。生産者の作業負担を軽減し、さまざまな場面で農作業を支える存在として大きな期待が寄せられています。
実演では、サングリングループの担当者がR150の解説をしながら、水を農薬に見立てて農薬散布のデモ走行を実施。実演後には、興味を持った来場者が担当者に質問を投げかけている様子も見受けられました。
実演は午前1回・午後3回の計4回行われました。今回のイベントで唯一実演が行われるエリアということもあり、気温の低い中でしたが、毎回多くの来場者が訪れていました。

機械実演
機械実演
機械実演
機械実演
機械実演
機械実演

セミナーの様子

明日の農業を考える~宇宙活用による可能性~

宇宙航空研究開発機構(JAXA)新事業促進部 参与 松岡 一郎 氏

JAXA新事業促進部は、宇宙に関わるビジネスのサポート・育成を行っています。宇宙ビジネスは、ロケットや人工衛星などの宇宙開発に携わるものと、地上のビジネスに宇宙業界の技術やコンテンツを活用するものに大きく分けられます。今回の講演では、後者に類するものとして、「農業×宇宙」の組み合わせに類する、これまでに行われてきた事例が紹介されました。
人工衛星やAI技術を活用した収量予測や好適地探索事業、トラクターの遠隔操作、出荷時期を正確に把握した広告や流通の最適化、さらには月面農場プロジェクトの構想など、さまざまな事例が挙げられました。松岡氏は「今回の講演を機に、宇宙・航空に関連する技術の、農業分野への活用に関心を持っていただけたらうれしい」と話しました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)新事業促進部 参与 松岡 一郎 氏
国内農業デジタル化の動向とテラスマイル活動計画

テラスマイル株式会社 アグリテック事業部 林戸 宏之 氏
鹿児島堀口製茶有限会社 代表取締役副社長 堀口 大輔 氏

農業分野が抱える課題の解決を目指すテラスマイル(株)は、農業を取り巻くあらゆるデータの一元化・分析を進め、それを基に生産者や農業経営者、農協、自治体への営農支援サービスを行っています。
鹿児島堀口製茶(有)の堀口氏は、同社のサービスを導入している企業の一つとして、お茶のサプライチェーンの構築を目的としたIoT技術やロボット農機などの導入事例を紹介。「作業時間の削減や省力化につながった上、デジタル化された情報の一元管理によって、スタッフ間で情報共有ができるようになった」とデジタル技術活用のメリットを話しました。その他、化学的な防除方法だけに頼らない管理方法・IPMにスマート農業を合わせた「スマートIPM」や、グリーントランスフォーメーション(GX)への取り組みについても紹介しました。

テラスマイル株式会社 アグリテック事業部 林戸 宏之 氏 鹿児島堀口製茶有限会社 代表取締役副社長 堀口 大輔 氏
持続可能な農業に向けた共生微生物の活用技術について

株式会社前川総合研究所 研究員 博士(農学) 伊沢 剛 氏

化学合成農薬を使った栽培方法と、減農薬・無農薬栽培、有機栽培には、農作物の品質や安全性、環境問題においてそれぞれメリット・デメリットがあります。人口増加の課題などを踏まえ、今後はより安心・安全で、かつ環境に優しく、品質レベルを維持した生産を行っていく必要があります。
こうした背景から(株)前川総合研究所では、植物に有用な機能を与える植物共生細菌エンドファイトに関する研究を進めています。伊沢氏は、イネ用微生物資材イネファイター・野菜用微生物資材ベジファイターの使用がイネや大豆などの農作物の収量増加や成長促進につながった事例を紹介。「植物自体に備わるエンドファイトの利用が、持続可能な農業にもつながる」と話しました。

株式会社前川総合研究所 研究員 博士(農学) 伊沢 剛 氏
酪農家向け小型バイオガス技術のご紹介

NASKEO環境株式会社 営業部長 ポルチェ・フェリックス 氏

NASKEO環境株式会社は、バイオガス関連技術の研究開発から建設、調査、メンテナンスまで、ワンストップで幅広くサービスを提供するフランスの独立系企業です。
講演では、安定収入とコスト削減を実現でき、将来的には脱炭素やSDGsなどの課題にも取り組んでいける技術として、組み立て式の小型バイオガスプラント技術を紹介しました。発電プラントがコンパクトである点や、牧場の規模に応じてサイズを調整できる点、発注から1年で売電を行える点など、導入におけるメリットをPR。さらに、電気だけでなく余剰熱や有機肥料、再生敷料も生産できる点など、さまざまな面で牧場に貢献できることを解説しました。

NASKEO環境株式会社 営業部長 ポルチェ・フェリックス 氏
ミラクルを起こしてみないか?糖度40度の桃を作った男が語る

ANVIAN INTERNATIONAL株式会社
古山農園 代表 古山 浩司 氏

ANVIAN INTERNATIONAL(株)は、土壌改良材や特殊肥料の製造・国内外販売や、有機農産物の販売、コンサルティングなどの事業を行う企業です。講演では、同社の土壌改良剤「コーンコブミラクル」を使用した福島県の桃農家・古山氏が自身の事例を発表しました。
東日本大震災により発生した原発事故では、放射性物質が大量に放出され、農業生産にとって大きな打撃に。古山氏は、放射線物質により暴落した桃の価値を回復させるべく、土中の放射性物質を吸着・除去するというコーンコブミラクルを使用。その結果、思いがけず桃の品質が大きく向上し、経営や桃の価値をV字回復させることができたことを伝え、「コーンコブミラクルの有用性やすばらしさを周知し、北海道農業の発展に貢献したい」と講演を締めくくりました。

ANVIAN INTERNATIONAL株式会社 古山農園 代表 古山 浩司 氏
露地で収量1.6倍、施設で反収80万円向上のヒミツ

ソフトバンク株式会社 CPS技術企画部 担当部長
e-kakashi事業責任者 博士(学術)戸上 崇 氏

農業は、担い手不足、ベテランの技術継承や安定生産など多くの課題を抱えています。
e-kakashiは、科学的根拠と栽培ノウハウを融合・統合し、環境データの見える化だけではなく、収穫適期や病害虫の危険度を予測。日々求められる栽培の判断をアシストするサービスです。
講演では、馬鈴薯の栽培で収量60%向上、トウモロコシ/レタス/キャベツなどを栽培する個人農家でも収量30%向上など、全国のみならず道内における成功事例が多数紹介されました。

ソフトバンク株式会社 CPS技術企画部 担当部長 e-kakashi事業責任者 博士(学術)戸上 崇 氏
生産者の生産性向上を実現するICTソリューション

ワークスモバイルジャパン株式会社 法人ビジネス本部
マーケットデベロップメントスペシャリスト 内藤 佐知子 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社 北海道支社ソリューション営業部門
担当課長 齋藤 伸一 氏

北海道のスマート農業実現に向け、ICTサービスを提供する2社が共同で講演を行いました。前段は、NTTコミュニケーションズ(株)が、農業の生産性向上を目指して道内で行っているスマート農業の取り組みの中から、津別町での活動を紹介。ドローンやAI技術による褐斑病対策、罠システムによる鳥獣害対策、中山間地での課題を克服するスマートトラクターシステムなどについて解説しました。後段はワークスモバイルジャパン(株)が、グループウェアとして使えるビジネス版LINE「LINE WORKS」とその活用事例を紹介。コミュニケーションからICT化していくという観点で、掲示板やカレンダーなどの便利機能、コミュニケーションツールとしての使いやすさなどを解説しました。

ワークスモバイルジャパン株式会社 法人ビジネス本部 マーケットデベロップメントスペシャリスト 内藤 佐知子 氏 NTTコミュニケーションズ株式会社 北海道支社ソリューション営業部門 担当課長 齋藤 伸一 氏
運営事務局による特別セミナー

株式会社マイナビ 地域活性CSV事業部
農林水産ジョブアス営業部部長 佐々木 康人 氏

(株)マイナビ 地域活性CSV事業部は、人材獲得の面から農林水産業の未来をより良くしていくことを事業テーマとしています。講演では、昨年10月に開設された求人サイト「マイナビ農林水産ジョブアス」の実際の求人掲載を挙げながら、「人が採れる求人情報」について解説。欲しい人物像を明瞭にし、求職者がそこで働く具体的なイメージを持てるよう、会社のビジョンや業務内容、魅力をしっかりと言語化して伝えていくことが大切と話しました。また、マイナビ農林水産ジョブアスでは、10〜30代のアクティブな世代が求職者の7割を占めていること、畜産・果樹・畑作などの農家から農業関係の機械メーカー・農薬メーカーまで、さまざまな分野や業態での採用実績があることをPRしました。

株式会社マイナビ 地域活性CSV事業部 農林水産ジョブアス営業部部長 佐々木 康人 氏

来場者の声

やまもとけんいちさま山本農園(伊達市)

普段なんとなく使っている土壌改良剤の使い方を再確認できました。知らないことも多かったので、メーカーの方と直接話せるのはやっぱり良いなあと、あらためて実感しました。本当に勉強になることばかりです。
自分の農園では、トラクターの自動操舵やハウスの自動換気など、スマート農業の技術をすでに導入していますが、今回、各企業の最新の技術に触れ、たくさんの刺激を受けました。

山本健一さま 山本農園(伊達市)

出展者の声

かんどうこうさまアキレス株式会社北海道営業所

当社はSAc(スマート農業共同体)の会員で、2019年の開催に続き出展しました。前回もそうでしたが、北海道スマート農業SUMMITは、意欲の高い生産者の参加が多いと感じます。開場からずっと盛況で、あっという間に時間が過ぎていきました。
当社のブースでは遮光剤を展示。夏の暑さ対策に悩む生産者の皆さんに興味を持っていただきました。皆さんいろいろと苦慮されているご様子でしたので、少しでもお役に立てればうれしいです。今後は、農業の繁忙期にも参加しやすい、オンラインでの商品展示会や説明会も開催していただければと、期待しています。

神藤浩司さま アキレス株式会社北海道営業所
がわかおりさま株式会社エイコーウェルネス
なつさま株式会社エイコーウェルネス

北海道スマート農業SUMMITへの出展は今回が初めてです。当社の主力商品であるアシストスーツを展示しましたが、想像以上に反響が良く、150部あったパンフレットは昼にはなくなりました。道外の生産者の方も参加されていて、集客力に驚いています。実際にアシストスーツを試着された方から、中腰姿勢が楽になるという声をたくさん聞くことができました。アシストスーツは補助金の対象にもなっています。これを機に、さらに、たくさんの生産者の方に試していただきたいですね。

小川原香さま 株式会社エイコーウェルネス 小久保夏妃さま 株式会社エイコーウェルネス

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