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『第五回 やまなしオンライン就農座談会』開催レポート

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

『やまなしオンライン就農座談会』
ARTICLE 05
9/17開催
イベントレポート

2022年9月17日(土)、山梨県での就農に興味のある方へ向けて、今年度2回目となる『やまなしオンライン就農座談会』が開催されました。はじめに県の担当者から山梨県の農畜産業と就農・移住の支援制度の案内があった後、先輩就農者の圃場と中継を繋いで就農のリアルに迫る座談会を行いました。その模様をダイジェストで紹介します。

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圃場から生中継!先輩就農者のプロフィール

笛吹市の養鶏場からは、山梨県密着YouTuberのあさひまるさんがリポート。甲州地どり生産組合代表の加藤健さんと中継がつながりました。加藤さんは親元就農で甲州統一ブランド食肉の甲州地どりの飼育・販売をしています。現在は2農家3組合員で常時7000~8000羽を飼育しています。シャモと白ロックを交配したひな鳥は、山梨県内において厳しいルールの下で120日前後飼育されて甲州地どりになります。

    

甲府盆地を望むブドウ畑からは、就農7年目の根津純さんです。東京でアパレル関係に勤めるサラリーマンだった根津さんは、子どもの誕生を機に家族で山梨にUターン。県の就農支援制度(現:やまなしあぐりゼミナール研修)を活用して先進農家のもとで1年間栽培技術を学び、畑を借りて独立しました。圃場面積1.5haのうち成木の畑は1ha。年間15品種、30,000房以上を農協へ出荷しています。

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トークセッションで気になるお金の話に迫る

参加者のアンケートから選ぶ質問は、まず貯金と収入について。養鶏農家の加藤さんは親元就農でお金の心配はなかったものの、「甲州地どりに限らず畜産は初期投資が大きいので、まず雇用就農で技術を磨いて資金をためてから独立する人が多い」そうです。
ブドウ農家の根津さんは、一から設備を揃えました。近所の人から古い農機具を譲ってもらい初期投資を抑えられたとはいえ、軽トラック、消毒用の動力噴霧器、ハサミなどの道具で合計60万円かかったそうです。「ブドウは収穫期の7〜10月にしか収入がないので初期投資と生活費で最低200万円の貯金は必要。300万円あれば安心して就農できるのでは」と話してくれました。

収入について、組合経営の加藤さんは、「よく売れたからと言って給料が上がるわけではなく、なだらかな曲線を描きながら年齢とともに上がっていった」とのこと。実際のところ、養鶏を本業にするよりも、他の作目との兼業や副業で鶏を飼う人が多いそうです。
「最初の3年間は会社員時代を下回っていた」と言う独立農家の根津さん。当時は冬期にブドウ棚作りのアルバイトをしたそうです。青年就農給付金(現:経営開始資金)の給付を受けながら、年数を追うごとに栽培面積と収量を増やして、「現在は前職と比べて3倍になった」との言葉が参加者の反響を呼んでいました。

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理想とのギャップを感じたことは?

最後のテーマは、理想とのギャップ。加藤さんの理想は「みんなにおいしいと言われる地どりを育てること」。しかし、「自然が相手の仕事なので、自然災害などでがっかりすることもありましたが、やりがいにギャップはない」と力強く答えてくれました。
根津さんにとってのギャップは、「ノースローライフ」との名言。田舎で農業をすることは、悠々自適な半自給自足をイメージする人は多く、最初は根津さんもそうでしたが、東京で働いていた頃よりも忙しいとのこと。特に果樹の場合は、農繁期と農閑期の差が激しく、怒涛の収穫シーズンが終わると1カ月休む人もいるそうです。「自分の責任で自由な働き方ができることは魅力です」と語ってくれました。

根津さんは、それまで休みなく働いていた農繁期の5、6月にも、昨年から意識的に休みを取って家族との時間を持つようにしているとのこと。一方の加藤さんは、スタッフがいて、直売所は定休日もあるので、イベント出展などの宣伝活動がなければ、通常週1日は休んでいるそうです。
トークセッションの締め括りに、「大変なこともありますが、それより多くの楽しいことがあります」と加藤さん。「ブドウ農家は楽しくて、山梨はすごくいいところです」と根津さん。ぜひ新規就農を検討してほしいとのメッセージを送ってくれました。

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参加者の声

今回のイベントには、東京・神奈川を中心に、北海道から九州・沖縄までの広域から97人の就農希望者が参加。子どものいる家庭からの参加が60%と、移住への関心の高さがうかがわれます。首都圏はもとより東海圏へもアクセスが良く、旅行で訪れた印象や果物が好きで山梨県に興味を持った人が多いようです。
座談会後のアンケートでは、研修制度や就農時の資金の話を聞くことができ、就農が現実味を帯びてきたという声が聞かれました。特に先輩就農者のリアルな話として収入や理想と現実のギャップが聞けたことは、就農を検討するうえで貴重な体験になったようです。参加者の約95%が、「イベントの内容に満足・とても満足」「山梨県に就農したいと思う・すごく思う」と回答。情報収集を進め、山梨に足を運びたいというモチベーションになったようです。
今後も就農にまつわるさまざまなイベントを予定しています。山梨県に興味がある方、就農を考えている方はぜひ参加してみてください。

お問い合わせ

農業に興味がある方、山梨県に移住したい方はこちらよりお問い合わせください(山梨県HPにジャンプします)。

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