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『第十回 やまなしオンライン就農座談会』開催レポート

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

『やまなしオンライン就農座談会』
ARTICLE 10
9/7開催
イベントレポート

2024年9月7日(土)、本年度2回目の「やまなしオンライン就農座談会」が開催されました。県の担当者からの山梨県の農業と就農・移住制度が案内され、山梨県内の4町村からの紹介があったのち、先輩就農者と中継をつないで畑・農場の様子を拝見しながら話をうかがい、就農のリアルに迫る座談会が繰り広げられました。その模様をダイジェストで紹介します。

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畑・農場から生中継、先輩就農者の農業ライフ紹介

一人目の先輩就農者は、富士山麓の忍野村から、養鶏歴9年目の田辺竜太さん(田辺養鶏場。 代表)です。赤玉を産むボリスブラウンなど3種の鶏を、ケージと平飼いあわせて約1万6,000羽飼育し、毎日1万2,000個以上の卵を出荷しています。2023年度には県のアニマルウェルフェア認証を取得し、2024年からは平飼いも本格化。
もとはサッカー関係の道を歩み、都内や海外で約15年活動していましたが、父の他界をきっかけに帰郷。お客様の「おいしい卵を残してほしい」という声に背中を押され、家業を継ぎました。今では地域のNPOクラブチームでサッカー指導も行い、地域にUターンした若い世代との交流や地域イベントへの参加が仕事への活力になっているそうです。

    

二人目は、山々を望む山梨市のブドウ畑から。独立就農5年目を迎える吉田拓央さん(よしだ家のぶどう代表)が、収穫期を迎えたシャインマスカットの棚の下でインタビューに応じてくれました。1ヘクタールの畑で、ピオーネ、巨峰、シャインマスカット、デラウェアなど山梨を代表する品種を中心に一人で栽培しています。
埼玉県出身の吉田さんは、学生時代を過ごした北海道の農業法人で4年間勤務した後、果樹に興味を持ち「やるなら産地で」と山梨へ移住。社長の人柄に惹かれて地元の農業法人で4年働いたのち、社長のアドバイスや協力を受け独立を決意しました。中継では、おいしいシャインマスカットの見分け方を教えてくれる一幕も。農閑期は、妻と出かけたり、ゆっくり過ごす時間を大切にしているそうです。

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トークセッションで就農資金のリアルに迫る

トークセッションでは、参加者からチャットで寄せられた質問に先輩就農者がリアルに回答。
一番多かった質問は、就農時いくらの預貯金が必要か? 吉田さんは「農地や道具は前職の社長の紹介で借りて始めたため明確な金額は出せないが、一般的にブドウ栽培では機械代に100万〜150万円、資材費や農薬代に100万〜200万円ほど。初期費用としては250万〜300万円程度に加え、収穫までの生活費も必要になる」と教えてくれました。
田辺さんは「父の養鶏場を継いだため、特別な貯金は準備していなかった」としながらも、平飼い放牧へのリノベーションに数千万円を投資。先輩養鶏農家のアドバイスを受け、日本政策金融公庫の融資を活用して鶏舎2棟を一気に改修。結果として「1年で販路の8〜9割」が確保できたと振り返りました。
ちなみに、田辺さんの販路は、都内のスーパーのほか、パンケーキの有名店にも出荷。吉田さんは、栽培に集中したいのでほぼ全量JA出荷で、黒系ブドウは一部をカナダへ輸出しているとのことです。

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チャットで質問、お金の話をさらに掘深り

就農前後の収入・支出について、吉田さんは「独立就農にあたって年ごとの収入に大きな差が出ないよう意識して、計画的に準備を進めた」と話します。「山梨は果樹の産地で売り先に困らず、他の業種より収支の見通しが立てやすいのでは」と、産地の強みを活かした経営のしやすさにも触れました。どこで・何をつくるかが、収益を左右する大きな要因になっているようです。
一方、東京で企業に勤めていた田辺さんは「自営業となった今の方が収入は良い」と語ります。支出面でも「都内と比べて家賃も安く、地元では野菜をもらえるなど生活コストも低い」と実感。現在は家族で暮らしており単純な比較はできないものの、「感覚的には支出もだいぶ抑えられている」と話してくれました。
メッセージとして、農業をする仲間を増やしたいと考える吉田さんは「本日の参加者の中から、ブドウ農家になりましたという人と会えるのを楽しみにしています」。事業拡大の予定で人材募集中の田辺さんは「地方や農業ビジネスは日本において重要な役割を担っている。日本を一緒に盛り上げる人に出会いたい」と締め括りました。

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参加者の声

今回の座談会には、東京・神奈川・千葉・埼玉などの首都圏を中心に、東北、北陸、東海、近畿、中国、九州、そして山梨県内からも、就農を検討している56人が参加しました。そのうち約50%が子育て世帯であり、移住就農への関心の高さが窺われます。
座談会後のアンケートでは、「先輩農家さんのリアルな体験が聞けて勉強になった」「特産品があることの強みがわかった」「不安が解消できた」などの声が寄せられ、参加者の88%が「満足」または「とても満足」と回答。「地域を訪れたい」「支援センターに足を運ぶ」「農業体験に参加したい」などのコメントも多く見られました。
また、終了後の交流会(希望者のみ)では、繁忙期の人手確保、地域の人とのコミュニケーションの取り方、養鶏の始め方、土地を借りるときの留意点、苗の調達先など具体的な質問が寄せられ、参加者の関心度の高さが窺われます。シニアの挑戦に対する意見を求めるチャットの投稿もありました。
山梨での就農に興味のある方は、ぜひ相談窓口の山梨県就農支援センターへ。オンラインでも相談を受け付けています。

お問い合わせ

農業に興味がある方、山梨県に移住したい方はこちらよりお問い合わせください(山梨県HPにジャンプします)。

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