養鶏農家 向山洋平さん

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養鶏農家 向山洋平さん

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

INTERVIEW 01
養鶏農家
向山 洋平さん
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山梨県に就農したきっかけ、経緯は?

採卵養鶏は1950年に祖父が始めた家業ですが、農場を継ぐことは既定路線ではありませんでした。父からは「見聞を広げなさい」と助言をもらい、高校卒業後、東京農業大学の応用生物学科へ入学したのは、農業を継ぐためではなく、生き物が好きという理由でした。その後、アメリカのワシントン州に1年半の語学留学を経て、映画が好きなので東京の番組制作会社に就職して5年間、CG制作をしていました。人に恵まれ、山梨に帰った今も交友が続いています。
その仲間達と黒富士農場の自然農法の研究・交流を目的として設立された株式会社 山梨自然学研究所のブランドグループであるやまなし自然塾の活動に参賀し、近年は若手生産者が主体となり勉強会や視察交流会などの活動を行っています。
就農を決断したのは29歳のときでした。このまま東京でやっていくのか、実家を継ぐのかを真剣に考えました。自然が好きなことが一番の理由ですが、両親の体調も気がかりだったので、山梨に戻って農場の経営を手伝おうと決めました。ちょうどその頃、同世代の農業後継者たちも山梨に戻り始めていました。いろいろな職業経験をバックグラウンドに持つ若手農業者が地域に集まり、その仲間たちと「やまなし自然塾研究所」を立ち上げ、勉強会や視察などの活動をしています。

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農業経営のこだわりは?

生産方法のこだわりは、有機農業の推進とアニマルウェルフェア(動物福祉)の推進です。農場は3000m級の山々に囲まれ、手つかずの自然が残っています。鶏たちは平飼い放牧で自然の中を走り回り、天然の湧き水を飲み、非遺伝子組み換え穀物を指定配合した餌を食べています。2007年、黒富士農場は日本で初めて鶏卵の有機JAS認証を取得しました。当初1鶏舎1500羽しかできなかったオーガニック卵の生産を2007年に始めて、現在は3鶏舎で約8000個以上の生産に高めてまで増やすことができました。加工品もオーガニックに取り組み、完全有機のアイスクリームやバウムクーヘンなどの商品開発に着手しています。
アニマルウェルフェアは、家畜が農場にいる間は極力ストレスを与えず幸せに過ごせる農業を行い、消費者もそれを理解して畜産物をいただく活動で、ヨーロッパが先進地です。黒富士農場は、AWFCJ(Animal Welfare Food Community Japan)の立ち上げにかかわり、弟の専務に組織に入ってもらい、シンポジウムや情報提供などの普及活動を通して、動物を飼う環境をよくして、消費者にも理念が共有されることを当たり前にしようと取り組んでいます。

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就農で苦労したこと、やりがいは何ですか?

経営企画職として入社しましたが、農業の知識はまったくなく、人脈もなかったので、何でもチャレンジしました。甲府に新規オープンした直営店の販売と農場での生産を同時にやったことで、業務が理解でき、人の繋がりが広がりました。
販売面で嬉しいのは、私たちの卵や加工品を食べて「おいしい」と言ってもらえることです。生産部としては、鶏舎内の水洗いや除糞など大変な仕事もありますが、各作業工程をきっちりとやり終えたときにやりがいを感じます。
経営面では自分たちで計画を立て、実行・実現していくことは一つのやりがいです。スタッフにも伝えていることですが、目標を立ててそこに向かって業務をすれば自然と体が動きます。いつまでに何羽の鶏を鶏舎に入れるという生産管理の計画がありますが、過去一度も遅れたことがないんですよ。

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地域の魅力は何ですか?

自然豊かな山梨でやる農業は、ダイナミックで魅力があります。山々に囲まれ、キャンプや登山などのアウトドアの宝庫、東京の生活とは違う開放感があります。車でいろんなところへ出て行けるので、むしろ行動範囲が広がったように感じます。山梨県がすごいのは、果樹栽培も盛んですが、全国でも数少ないアニマルウェルフェアの農場が県内に2つ以上あるなど、自然が残されているとともに活用できている県だと思います。天然の湧き水があり、ミネラル豊富な山の土もあり、自然志向の人が少なからずいます。
農場のある上芦沢地区は限界集落で、人が住むには不便な場所かもしれませんが、鶏や生き物にとっては本来の生態系の中で生きられるので快適だと思います。地域には食用牛の牧場やキャンプ場をやっている若手がいて、農業経営でも協力体制ができています。住居は市街地に移して家族3人で住み、片道30分かけて車通勤をしています。

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今後の目標をお聞かせください

就農して11年目でやっと新しいことができる段階になりました。農業生産法人として、環境や生産の技術をさらに磨いて事業の幅を広げたいです。加工品の開発にも力を入れるのはその一つです。一昨年には新規事業として八ヶ岳に5000羽の鶏舎を立ち上げました。今年から畑も始めました。専門スタッフが20品目の有機野菜を栽培しています。まだ試験的な栽培ですが、納得のいく品質が実現できれば販売も考えたいです。
「黒富士農場がいてくれてよかった」と、地域に頼られ、誇れる会社にする取り組みを続けていきます。

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就農希望者へメッセージ

農業は自然の恩恵を受けますが、戦ってもいかなければなりません。自然と共存していくという気持ちで、人との繋がりを大切に、時代を見据えた6次産業化まで視野に入れて取り組んでください。就農5年、10年は技術を磨く時期。そこを耐える熱意が必要です。目標を持って頑張る人を、周りの人が支えてくれるのが山梨県だと思います。平飼い農場で頑張りたい人は、研修などの支援ができるので、ぜひ声をかけてください。

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