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野菜・果樹農家 菅沼祐介さん

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

INTERVIEW 22
野菜・果樹農家
菅沼 祐介さん
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山梨県に移住・就農したきっかけは?

新卒で山梨に移住・就農しました。きっかけは、大学3年のボランティアです。関東周辺に大雪が降り、自分が組織したメンバーと甲府市の中道地区で雪かきをしました。その後も雪で倒壊したビニールハウスがそのまま放置されていると聞いて、月1回ほど手伝いに通ううちに、高齢化や担い手不足で荒廃農地が増えている現状を知り、自分が問題をほったらかしにしたまま就職することに無責任さを感じて内定を辞退し、移住・就農しました。親は反対しましたが、意思は固く、先輩移住者が家に説得に来てくれたりしながら押し切りました。
大学で経済学を専攻していたので生産とは無縁でしたが、農家になると決めた大学4年の6月からは、農業のアルバイトをしたり、地域にも足を運んで人脈作りなどをしてきました。

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栽培技術や農地はどのように得たのですか?

雪かきボランティアで知り合った農家さんに直談判して弟子入りしました。1年間、研修させてもらい、雪かきボランティアで泊まらせてくれた先輩移住者の農家さんの家に下宿しながら住居や農地を自分の足で探しました。自治会長にも相談して、住居はすぐに見つかりましたが、肝心な農地がなかなか借りられず、悩んでいるのを見かねた研修先の農家さんが貸してくれた2反5畝(約25a)でスタートしました。
真面目にやっている姿を見てもらえたのか、翌年から農地を借りてほしいと頼まれるようになりました。貸してもらえると聞くと、どんどん手を挙げた結果、20カ所ぐらいの飛び地になりましたが、せっかく貸りた農地なので頑張って管理しています。現在は当初の10倍の約2町(約2ha)になり、自分一人で管理できるのはここまでかなと思っています。

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栽培作物はどのように決めましたか?

基本的には借りた畑で作られていた作物を引き継いでいます。単一の作物だと飽きてしまうので無理のない範囲で多品目を栽培し、JAの共選で出荷されるナス(千両2号)、トウモロコシ(きみひめ)、スモモの3品目がメインで収益の柱になっています。主要3品目の栽培技術は研修先の農家さんからそのままトレースして、作物の長所を伸ばす管理を心がけています。お米は市場出荷していませんが、やってみないかと話をいただき、最初の1、2年は田んぼの持ち主の農家さんに教えていただきました。全部で20品目ほど栽培していますが、全く知識がない作物は、学生時代のボランティア活動を通してつながった農家のパイプが県内外にあるので、聞きに行って学んだりしています。

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就農する際に困ったことはありましたか?

いろいろありました。まずは大学卒業後すぐに山梨に来たので、初期投資の資金がなかったことです。地域の方に機械などを貸していただき、労働力で借りを返していたので、自分の農業の時間が足りなくなるのが大変でした。
また、就農当初は仕方のないことかもしれませんが、いい土地もそうでない土地も借りてしまい、いくら種を撒いても全然育たない畑もありました。借りている土地ですので雑草管理などは必要で、時間的なコストが見合わず、悩むときもありました。
新規就農支援をしているので、後続の人から相談を受けたときは、こうした経験を踏まえて一緒に畑に行って見て判断しています。収益が成り立たなくて新規就農者が離れてしまったら、移住した目的である「荒廃農地をなくしたい」という思いは叶わなくなってしまうので。

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農業のやりがい、うれしかったことは?

釣りとスキーが趣味なので、その時間を自分で作れることです。農繁期も突然、釣りに行きたくなり、そういう時は仕事を詰めて空き時間を作って行くことも。自分の都合に合わせて仕事を調整できることは魅力のひとつです。
自分の農作物を食べた方がファンになってくれることが一番うれしいです。夏休みを中心に母校の学生の農業体験を受け入れていますが、ナス嫌いだった後輩が、ナスがないと生きられないくらいにナスを好きになってくれたこともありました。大学卒業後に農業を理解したうえで社会人として活躍していることもうれしいです。2022年は大学の後輩の一人が他県で就農しました。ほかにも社会人の研修生を受け入れて、これまでに5人の就農をサポートしてきました。眠れずにうつになりかけていた人が、毎日ニコニコ笑いながら農業をしている姿を見ると受け入れてよかったと思います。

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生活環境はどうですか?

県内にはキャンプ場がたくさんあり、スキー場も車で1時間圏内です。自宅から車で20分圏内に温泉が10カ所以上もあるのでリフレッシュに使っています。それから、新鮮な農作物が身近にあり、ほぼ毎日自炊しているので食生活に恵まれていると思います。
住んでいる地区では必要以上に干渉されることがない一方、台風でうちの木塀が倒れたときには隣の家の方が重機を出して片づけてくれたこともあり、ドライだけれどもつながりを感じる関係性が私にとっては心地よいです。最初から良好なコミュニケーションを取っていなければ、そういう関係にはなれなかったでしょう。移住する際は、こちらから積極的にコミュニケーションをとることをお勧めします。

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就農を希望される方へメッセージ

もともと興味があった飲食店経営に向け、友人と話を進めているところです。野菜料理の知識がある私が料理を担当し、食材、調味料、酒類までオール山梨のお店を農閑期限定で開く予定です。
また、就農支援や農業体験のノウハウが蓄積できたので、それを売りにして各方面で活躍できればと思います。新規就農者を増やすという目標は今後も変わりません。農業はその手段ですが、たまたま自分に合っていたので、これからも続けていきたいです。独立就農を希望される方は、ぜひ一度、私のところに話をしに来てください。冬から6月前までの農閑期であれば、農業体験をしながらゆっくり相談できると思います。

お問い合わせ

農業に興味がある方、山梨県に移住したい方はこちらよりお問い合わせください(山梨県HPにジャンプします)。

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