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ブドウ農家 吉田拓央さん

山梨で生きる就農ライフ -Live in yamanashi-

INTERVIEW 26
ブドウ農家
吉田 拓央さん
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山梨県に移住・就農したきっかけは?

大学を卒業した後、知人が就職先として北海道の農業法人を紹介してくれました。正直、農業はきついイメージがあり、やりたい仕事とは言えませんでしたが、入ってみると想像と違って面白いと思うようになりました。その農業法人では、サクランボ、リンゴ、ナシ、プルーンなどを中心に作っていたので、特に果樹栽培に興味を持ちました。
勤務して4年が経ち、農業でスキルアップするために転職を考えました。地域を問わず就職サイトでいくつかの果樹園に応募して、山梨市の株式会社フルーツオーサーとご縁があり山梨県に移住しました。そこで4年ほど働いたころ、自分で農業経営をしたいという気持ちが生まれました。社長に話すと快く相談に乗ってくださり、アドバイスや協力をいただきながら2021年に独立を果たすことができました。

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作物はどのように決めましたか?

果樹でもブドウ一本にしたのは、山梨市を含む峡東地域がブドウの一大産地だからです。ブドウ栽培の最新の技術や情報が集まり、技術や経営面で目標になる生産者がたくさんいるので、自分から話を聞きに行けばいくらでも学ぶことができます。作ったブドウは、JAの共選などを通じて全国に販売することができるので販路に困ることもありません。

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農地はどのように確保しましたか?

フルーツオーサーの社長が周りの農家さんに聞いてくださり、働きながら自分でも周囲の方々に「独立したいので、空いている畑があったら教えてください」と頼んでいました。退社して独立就農する時点で、60aの畑が集まり、そこから経営をスタートしました。
最初に借りることのできた畑は棚よりも高く雑草が伸びている状態で、これを整備して苗を植えるところからコツコツやっている姿を、地域の方々が見ていてくれて、人づてに耕作を続けられなくなった畑を借りてほしいと相談が次々と入ってくるようになりました。現在はトータル1haの畑を借りて、シャインマスカット、ピオーネ、巨峰、デラウエアを栽培しています。
新規就農者が借りられるのは条件の良い畑ばかりではありませんが、最初の1筆をやり遂げることで、その様子を見た地域の人とつながり、次につながりました。

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就農する際に困ったエピソードは?

特に困ったことはありませんでしたが、しいて言えば、畑の近くに住みたくて家を探しています。現在は、山梨で出会って独立就農前から交際していた妻と二人で甲府市の賃貸アパートに住んで山梨市の畑へ通い、収穫期のみフルーツオーサーに事務所兼作業場を借りています。農業をするためには作業場が必要ですが、作業場付きの物件の情報はなかなか出てきません。今後はできれば農業を行う上で便利な場所に作業場付きの家を建てて、生活の基盤を整えたいと思っています。

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栽培技術や経営で困ったときはどうしていますか?

山梨市内の尊敬するブドウ農家さんに聞きに行きます。農家さんは一人ひとりが社長なので経営面でも教わることがたくさんあります。できる限り自分一人で営農していけるように、効率化できる栽培技術をどんどん取り入れたいです。今は、最も作業時間がかかっている摘粒作業を省力化するように、実験的にいろいろな方法をチャレンジしてみています。
JAの青年部では地域に密着した話が聞けます。その他、峡東地域の若手農業者でつくる集まりで、より広域の話が聞けたり、研修で県外に赴いた時には地域を超えた横のつながりもできました。
販路開拓でも仲間に助けられています。一昨年からカナダへの輸出も始めました。同世代の仲間が輸出解禁のタイミングで営業して開拓したところに声がかかり、一緒にやらせてもらっています。シャインマスカットを出荷している生産者は多くいますが、黒色系ブドウであるピオーネをカナダに輸出したのは、私が日本人第一号だと聞いています。

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雇用就農を経て独立するメリットは?

フルーツオーサーで農業経営の基本を教わったことが大きいと思います。独立する際には、仕事のスケジュール管理や年間のスケジュールの立て方、収穫したブドウの売り方など、具体的なことを教えていただきました。自分が独立したいと相談すると、勉強会を開いてくれたり、経営開始資金を受ける際の経営計画(5カ年計画)の作成も相談させていただきました。
フルーツオーサーで働いた初日に言われたことは今でも忘れません。「農業日誌は一番の宝物だから絶対に取りなさい」と。それから毎日欠かさず日誌をつけ、どの畑を何時間やったとか、誰が来たなどをメモ程度ですが書き留めています。その年の売上が出たときに振り返り、農業経営者として来年の計画を立てるための重要なデータになっています。

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農業の魅力、就農希望者へのメッセージ

農業は魅力しかないです。特にブドウは、就農2~3年ですごく稼いでいる人が周囲にいるのはとても励みになります。その一方で挫折して辞めていく人も見てきました。独立就農は、自分が起業して経営者になるということなので、甘く見てはいけません。また、ブドウは1年に1回しか作ることができない作物です。夢や理想を描くよりも現実的に考えて、先延ばしせずに最初の一歩を踏み出してほしいです。
繁忙期にアプリでアルバイトを募集して来てくれた人が、「𠮷田さんのところで農業をやって面白くて魅力を感じました」と言ってくれて、農業法人に雇用就農したことが最高にうれしかったです。農業を仕事にする仲間が増えることが目標であり、一番のやりがいに感じています。

お問い合わせ

農業に興味がある方、山梨県に移住したい方はこちらよりお問い合わせください(山梨県HPにジャンプします)。

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