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分業化×スマート農業=持続可能な産地づくり。ただいま実証中!!

特集3 宮崎式農業経営力 CASE.5 【スマート農業】 農地所有適格法人 株式会社ジェイエイフーズみやざき

健康・安全な県産ほうれん草を増産
分業化×スマート農業=持続可能な産地づくり。ただいま実証中!!

農家の作業省力化のため、ジェイエイフーズみやざきの収穫機が契約栽培農家の畑を巡回し、ほうれん草を収穫します

口蹄疫の発生に伴う農業復興対策などで、2010年に設立された農地所有適格法人が、株式会社ジェイエイフーズみやざき(西都市)です。遊休農地に、ほうれん草栽培を広げることで、疲弊していた地元農業に活路を開きました。現在は国の『スマート農業実証プロジェクト』にも参画し、先進的な試みを続けています。

分業化で作業を軽減。高齢者でも持続可能に

農地所有適格法人
株式会社ジェイエイフーズみやざき
代表取締役専務 税田勇さん

ジェイエイフーズみやざきは、ほうれん草を中心とした露地野菜の加工製品の製造・販売を手がける企業です。全国で初めて機能性表示食品の認定を受けた冷凍ほうれん草をはじめ、冷凍野菜およびカット野菜などの商品を、メーカーや小売店に販売しています。自社農場も所有していますが、生産の主体は地元の契約農家です。遊休農地の有効活用としてほうれん草の栽培を推奨し、現在契約している農場の数は260筆、面積は約100haにおよびます。同社ではこれら圃場の生産をシステムによって管理しています。
この大規模なほうれん草栽培を成立させているのが分業化です。一から十まで農家に作業を任せるのではなく、播種から収穫までの工程を分担して行っています。
「最も人手が必要な収穫作業は、収穫機を所有している当社が引き受けます。収穫の手間を省力化すれば、高齢者であっても、働き手が夫婦2人しかいない農家でも、1haまで管理できます」と話すのは、同社専務の税田勇さん。
播種や防除、中耕といった機械が必要な作業を同社が受託することで、契約農家は「土作り、除草、追肥だけ」を行うケースもあり、分業化によって、契約農家は気軽に露地野菜のマーケットに参入できるというわけです。

西都市近郊の契約栽培農家のほうれん草畑では、スーパーではあまり見かけない巨大なほうれん草が生い茂っています

ルテインを多く含み、機能性表示食品として認められた『宮崎育ちのほうれんそう』

ドローンが畑を巡回。液肥散布や撮影を実行

ほうれん草畑は、同社のフィールドコーディネーター(FC)が毎週巡回。タブレットを駆使して周辺環境のデータを記録したり、周辺環境を調べたりしながら、外部からの異物混入リスクを管理しています。
「契約農家にデータ計測をお任せするのは難しいので、FCが自ら測ってデータをアップしています。ただ、点在している畑を巡回すると時間がかかるので、『ドローンを導入すれば巡回時間を短縮できるのでは』と考えたのがスマート農業を始めたきっかけです」(税田さん)
現在、同社ではドローンによって液肥のスポット散布と圃場撮影を行っていますが、将来的には画像解析によって生育状況の確認から収量予測、出荷計画にまで活用する予定です。
一方、土壌をはじめ、水、温度、日照、病害虫などの管理にはセンサーを使います。センサーから得られたデータを蓄積していくことで、生育予測や生産管理への利用も視野に入れています。
「こうしたデータの蓄積は、ノウハウの『見える化』にもつながり、新規就農者でも篤農家のノウハウを継承しやすくなるでしょう」(税田さん)

ドローンを使った液肥のスポット散布と圃場撮影により、必要最小限の肥料で収量と品質が向上し、労働負担の軽減やコスト削減が実現されます

土壌センサーは、電気伝導度、酸性度、地中温度、含水率などの土壌環境指標を同時に計測し、栽培管理に活用します

無人トラクターの導入で省人化を推進

その他のスマート農業の取り組みとして、無人トラクターも導入しています。国のマニュアルにより、作業者はトラクターから150m以上離れることはできないため、完全な「無人」というわけにはいきませんが、「自分で運転して一つの畑を耕しながら、すぐ隣の畑を無人トラクターに任せる」という利用は可能です。「1人で2人分の作業ができるので、省人化にはなる」と期待を寄せます。
スマート農業技術の導入に、今後も積極的に取り組んでいく方針の同社ですが、その根本にあるのは農家を支えたいという思いです。
「自社農場を保有しているのは、ここで新しいことに挑戦し、その知見を農家や関係者に伝え、次に生かしてもらいたいからです。未経験でも農業をやってみたいと思う人を1人でも多く増やすためにも、新規就農者にとって働きやすい環境を整えることが当社の役割だと考えています」(税田さん)

ロボットトラクターの導入で労働時間および人件費を削減します

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