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サツマイモで、枠を超えろ!

特集3 宮崎式農業経営力 CASE.6 【6次産業化】 株式会社くしまアオイファーム

6次産業化で販路は世界へ
サツマイモで、枠を超えろ!

オーダーメイドのサツマイモ洗浄機の導入で、以前は手作業だった洗浄作業を劇的に短縮。1日に約20tのサツマイモを洗浄することが可能です

日本有数のサツマイモの産地である串間市で、「サツマイモで世界中の人たちを幸せに」という壮大な目標の下、サツマイモを軸にした事業を展開する、株式会社くしまアオイファーム。時代を超え、しがらみを越えた、強い農業の実現へ。チャレンジングスピリットで農業の明日を切り開きます。

サツマイモのことならなんでもやる

株式会社くしまアオイファーム
取締役専務 荒川恭平さん

サツマイモに品目を特化し、生産・加工・販売まで一貫して手がけるくしまアオイファーム。2013年に法人化した同社は、30haの自社農場と170軒の契約農家を抱え、『紅はるか』、『宮崎紅』、『シルクスイート』、『安納芋』、『パープルスイートロード』の5品種をメインに取り扱っています。法人化前後から無駄を省いた流通網の整備や、海外への販路拡大などの試みを進め、2015年6月にはサツマイモに適した温度・湿度で貯蔵するキュアリング貯蔵庫を、2017年10月には1150tの大型低温貯蔵庫と出荷場を建設し、日量約20tを出荷できる体制を整えました。また、生産管理・環境管理にITツールを導入するなどの改善を施し、売上高は4600万円(2014年)から11億4000万円(2019年)へと大幅に増加。海外展開においては日本のサツマイモ輸出量の3割以上のシェアを占めます。
「3代目の池田誠社長の『サツマイモのことなら、なんでもやる』『強い農業はこえていく』という経営理念が当社の原動力ですね」。そう語るのは、取締役専務の荒川恭平さん。父親の他界をきっかけに23歳で後を継いだ池田社長は、農業者の立場の弱さや高齢化が進む現状を打破する新たな農業の実現を目指しています。その一環として、都市部を中心に「農業で独立したい!」という意欲的な人材を積極採用。トラック運転手だった荒川さんもその1人で、取締役専務として同社の業務拡大に尽力しています。

地元メーカーとコラボ。規格外品をスイーツに

急速冷凍で甘味をぎゅっと閉じ込めた焼き芋を真空パック

青果用サツマイモの栽培が主力の同社が、今、取り組んでいるのが消費者ニーズに応える積極的な商品開発です。2014年に農林水産省の「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画」の認定を受け、商品作りも加速。
「6次産業化の構想は以前からあり、当初考えていたのは、冷凍焼き芋と冷凍スティックフライの開発・加工・販売です。出荷の際に発生する規格外品を加工して、付加価値を付けた商品として販売していこうと考えました」(荒川さん)
その後、冷凍サツマイモスティックやサツマイモペースト、サツマイモ麺、焼酎などの商品を開発。地元菓子メーカーと共同で『宮崎おいもプリン』の開発にも取り組みました。冷凍焼き芋を中心に海外の販路も徐々に拡大しています。
試行錯誤の中、苦い経験もありました。
「今までの6次化の取り組みは、生産者視点の発想で、お客様のニーズとは違っていたこともありました。改めてお客様目線に立った商品開発をするために、今はキッチンカーを活用して、お客様のニーズを直にすくい上げるところから進めています」(荒川さん)

消費者ニーズに応えた食べきりサイズの小型サツマイモ『おやついも』は同社の主力商品

人気商品のタネを探すため、各地のイベントやお祭りにキッチンカーで出向き、さまざまなサツマイモスイーツを販売します

輸出量シェア5割の先に世界の食糧問題を見据える

現在、同社では研究施設を設立し、宮崎大学などと連携してサツマイモの研究開発を進めています。独自にサツマイモの品種を育種して契約農家に販売することで他社との差別化を図っていくのが目標の一つ。さらに、傷ついた芋や茎葉などの廃棄物を利用した、バイオマス発電やサプリメント開発、畜産用飼料としての活用などを考えています。
「海外展開に関しては、20カ国・地域の市場を開拓し、輸出量シェア50%の達成が今の目標です。最終的には世界の食糧問題を解決するという大きな目標にたどり着きたい。まだまだやりたいことや、我々がやれることがあると思っています」(荒川さん)
串間市のサツマイモを世界へ。同社のチャレンジは続きます。

全国のスーパーで販促イベントを実施。サツマイモの擬人化キャラ『OIMALL GIRLS(オイモールガールズ)』が集客に貢献

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