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農業デビューに伴走する。

特集2 宮崎式就農支援力 PART.1 みやざき農業実践塾

新規就農者を圃場に送り出す農業実践塾
農業デビューに伴走する。

『みやざき農業実践塾』ではベテランの指導教官がマンツーマンで栽培のコツを指導します

農家の後継者不足が叫ばれる中、農家出身でなくても、意欲があれば1年後には宮崎で農業を始められる仕組みが『みやざき農業実践塾』。すでに20年の歴史があり、卒塾生の多くが宮崎の農業を支える存在となっています。

農業用機械免許の取得や計画書作成など徹底指導

宮崎県には元々、高卒者を中心とした宮崎県立農業大学校があります。しかし、農業団体や農業関連企業に就職する卒業生も多く、卒業後、必ず就農するとは限りません。そこで、一度社会に出て農業以外の職業を経験された方を対象に、基礎知識や栽培技術を指導するのが、『みやざき農業実践塾(宮崎県立農業大学校 農業総合研修センター)』です。「経営実践コース」では、1人に1棟4aのハウスを割り当て、野菜栽培技術などの実践研修を行っています。

カリキュラムは毎年7月からスタートし、翌年6月に終了。これは、実際に始める農業経営がハウス栽培中心で、その栽培から収穫の時期が9月から翌年5月であることに準じています。座学や農業用機械の免許取得に始まり、9月からは苗づくりや作物の手入れに取り掛かります。
同時に、「認定新規就農者」を目指す方については、申請に必要な計画書の作成を行います。実習で栽培する作物は、いちご、ミニトマト、ピーマン、きゅうりなど。いずれも宮崎県を代表する作物です。

卒塾後のビジョンを塾生とともに描く

実際にはどんな方が入塾し、新規就農を目指しているのでしょうか。
「毎年十数名が入塾しますが、20代から50代まで多岐にわたります。農業未経験者もいれば、実家は農家ながら別の仕事に就いていた方も。都会からのUターン組や、温暖な宮崎の気候に魅かれてIターンする方もいます。いずれにしても皆さん、それまでの仕事を退職して入塾するので、就農の意志が固い方ばかり。私が指導するようになって5年間で68名が卒塾していますが、全員宮崎で就農しています」と、農業総合研修センター所長の長渡英敏さんは話します。
塾生の固い意志に応えているのが、実践塾の指導体制です。統括マネージャー1名、指導教官4名、就農コーディネーター1名で、全員が農家の出身者かつ農業団体の営農指導などの経験者。単に栽培技術を教えるだけでなく、農家の暮らしの実態や実感まで伝えることができるのは、実践塾の大きな特徴です。中でも就農コーディネーターは、離農者の情報を塾生に提供。既存の設備や農地を引き継ぎ、大きな資金がなくても就農できる道筋をつけてくれるなど、塾生にとっては頼りがいのある存在です。こういった体制が整っているからこそ、将来のビジョンを描くことができます。

ミニトマトの定植や栽培管理に取り組む塾生。自衛隊出身者など、プロフィールは多様です

農業入門編のWEBコースも設置

もちろん就農は決して容易なことではありません。塾生の間は教官の指導が受けられますが、卒塾後は自分で作物を管理するので、塾生も真剣です。「初心者なので、まずは指導された通りにやってみる。それが素直にできて、意欲を持ち続けられる方だと、指導側も安心して見ていられますね」(長渡さん)
また、就農の意志は固めていないが、農業には興味があるという方向けに、インターネット上の研修が中心の「基礎体験コース」も設けています。こちらを受講した後、「経営実践コース」に移る塾生もおり、段階的な指導も功を奏しているようです。
宮崎県の新規就農者数は年間400人前後で、近年、右肩上がりの傾向にあります。この機運を継続させるために、今後も『みやざき農業実践塾』が果たす役割は大きいと言えるでしょう。

研修期間中に農業用機械免許(大特・けん引)の研修・試験を受けることができます

土壌や農薬などのメカニズムを学ぶバイオテクノロジー研修

農業総合研修センター所長の長渡英敏さん(左)と統括マネージャーの海野満朗さん(右)

宮崎県立農業大学校 農業総合研修センター

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