「大規模化」「生産性向上」「工業化」がキーワード

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「大規模化」「生産性向上」「工業化」がキーワード

CHAPTER 1 スマート農業戦国時代。

「大規模化」「生産性向上」
「工業化」がキーワード

「今、農業は第三次農業革命と言うべき時代を迎えています」と語るのは、2020年4月に『2030年のフード&アグリテック』を出版した野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社(以下NAPA)の調査部長、佐藤光泰さん。同書の定義によれば、第一次農業革命は1900年代のエンジン付きトラクタによる機械化で、省力化と生産性向上を実現。第二次農業革命は1960年代の品種改良、化学肥料、灌漑という農業技術の開発と普及により、安定した収穫と単位当たり収量を劇的に増やすことに成功したといいます。「この第三次農業革命の目標は、〝世界の人口増加に対する食料供給〟と〝持続可能な農と食の新たなエコシステムの構築〟と考えています」(佐藤さん)
国連の「世界人口展望」(2012年改訂版)によると、世界の人口は現在の77億人から2050年には約96億人まで増える見込み。しかし、耕作可能地の拡大には限界があるため、単位当たり収量を伸ばす生産方法と実質的な農地面積の拡大に期待がかかります。またSDGsに対する消費者の関心も高まりつつあり、環境や健康、食品流通に高い意識を持つ消費者が増えています。
「こうした変化の中、日本の農業に求められているのが〝大規模化〟、〝生産性向上〟、〝工業化〟です。農業の担い手が減少する一方で農地の集約が進み、農業経営は〝大規模化〟しつつあります。また単位当たり収量を伸ばしていくためには、生産プロセスを見直し〝生産性の向上〟を図っていくことが必要。さらに耕作放棄地が増え、農地減少の対策として植物工場などによる〝工業化〟を推進していく方法が考えられます」と佐藤さんは展望を語ります。

野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社
佐藤光泰さん

あらゆる領域に異業種から参入

日本農業の現在地を知る上で欠かせないのが、スマート農業の台頭。実際にスマート農業に参入してきた企業や製品にはどんなものがあるのでしょうか?
まずは昨今、各地のほ場での使用頻度が増えてきたドローン。2017年以降に中国のDJI、XAGという2大メーカーが、日本市場に製品を送り出しました。国産では住友商事や住友化学が出資するナイルワークスが、ドローンによる作物の生育状況の診断と栽培管理の市場開拓を目指しています。
「クボタ、ヤンマーアグリ、井関農機、三菱マヒンドラ農機といった大手企業は自動トラクタや自動運転田植機を開発し、技術的にはほぼ完成に近づいているものの、道交法などの法律や高速通信、農道整備といったインフラが整っておらず、実現にはもう少し時間が必要です。開発難度が高いといわれる収穫ロボットには、デンソーやパナソニックが参入しており、ベンチャー企業のinahoなども注目されています」と佐藤さんは言います。
オプティム、スカイマティクス、ベジタリアなどは、センシングやドローン技術を駆使しながら農業生産全般を支える生産プラットフォームを提供しています。他にもNTTグループが持ち前のITでほ場センシングソリューションを市場に投入、インターネットイニシアティブも水田水管理システムを上市しています。工業化の代表といえる植物工場の分野では、スプレッド、ファームシップなどが世界をリードする技術力を誇ります。
ソフトバンクも農業用IoTソリューションで科学的栽培に取り組んでいます。トヨタ自動車は生産のカイゼンを指導する豊作計画事業を始めるなど、もともと農業とは関係が薄いと思われる企業が続々と農業に参入し、まさに群雄割拠の状態です。その一方で農業の現場からは「使えるスマート農業」の実現を切望する声が聞こえてきます。

スマート農業のジャンルと主な参入企業

『2030年のフード&アグリテック』などを基に作成