導入目的の明確化で生産者が使いやすい施策を

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導入目的の明確化で生産者が使いやすい施策を

CHAPTER 5 AGRI+からの提言

導入目的の明確化で生産者が使いやすい施策を
地域を熟知する自治体や
JAの助成制度
が、
地域課題を解決に導く。

除草・肥料散布の作業時間の短縮、労働力の削減を目的に、「スマート農業推進事業補助金」を利用し、生産者が農業用ドローンを購入(白河市)

スマート農業の普及を妨げる要因の一つである、高い導入コスト。この対応策として、助成金を設定している自治体やJAがあります。地域課題の解決につながるスマート農業に対して助成を行うことで、課題解決の手段として普及する流れが定着していくのではないでしょうか。

収量増加・品質向上に役立つ環境制御技術を対象に助成

神奈川県のJA中央会・連合会が運営する「営農サポートセンター」では、2016年度から、JAグループの自己改革メニューの一つである「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」による総合的な生産者支援を進めています。中でも環境制御による収穫量の増加、高品質化などが有効で、そのためには温度・湿度・CO2など環境データの見える化が必要と判断。見える化推進の支援策として「かながわスマート農業応援事業」を2017年に開始しました。
同事業は環境モニタリング装置や環境制御装置、統合環境制御システムなど、環境データの見える化と制御を行う機器の導入費用に対象を絞った助成です。環境を数値化(見える化)してモニタリングし、環境管理の改善、収量・品質の向上を図るのが狙い。さらに、神奈川県では、生産者向けに環境モニタリングと環境制御の基礎を紹介した事例集「かながわらしいスマート農業の推進」も用意。まずは、園芸施設内の環境モニタリング装置の導入検討者に向け、普及を促進しています。こうした支援が、スマート農機導入の後押しになっていると営農サポートセンターは見ています。

JAグループ神奈川「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」冊子

農作業の省力化・軽労化で長く続けられる農業へ

福島県白河市では農業従事者が10年間で約31%減少し、5年間で平均年齢が55・3歳から57・1歳に上昇。基幹的労働者は66・7歳から67・8歳に上昇する(農林水産省「農林業センサス2015」)など、生産者の高齢化や後継者不足が進んでいます。同市では担い手対策として、農作業の負担を減らす農業技術の向上や、生産の効率化に資することを条件に「農業の未来をつくるスマート農業推進事業補助金」を設けています。
同市への取材によれば、2019年度は、除草・肥料散布の作業時間短縮などを目的とした農業用ドローン、牛の分娩などの様子を遠隔から確認できる監視カメラシステムの導入など、計5件に同補助金を適用。スマート農機の導入で作業時間・労働力が軽減でき、休憩時間や週休日の設定が実現できたといった生産者からの声を受け、スマート農業が適切な労務管理につながると期待しています。
地域課題を詳しく知る自治体やJAだからこそ、その解決に資するスマート農業を見極め、それらを普及させる助成制度のあり方を検討すべきであると考えます。