地域ごとのスマート農業の必要性を把握

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地域ごとのスマート農業の必要性を把握

CHAPTER 5 AGRI+からの提言

地域ごとのスマート農業の必要性を把握
調査に基づく現状把握で、
地域に合ったスマート農業の
開発を推進する。

京都府では、地域に適した技術へカスタマイズするため、農林水産技術センターで技術実証を進めています

中山間地域での農業、地域特産品の生産などが特徴の地域では、既存のスマート農業技術の導入が難しいのが実情です。こうした地域はもとより、それぞれの地域でスマート農業を普及させていくためには、何が必要となるのか、何がボトルネックになっているのか、独自の調査によって地域の現状を把握することから、普及に向けた一歩が始まります。

調査で得た地域の現状からスマート農業技術を独自開発

京都府は「京都府農林水産ビジョン」(2019年度策定)で、〝スマート&コラボで農林水産業の夢と未来を創る〟を戦略の一つに掲げ、スマート農業技術により作業の軽労化・効率化、「匠の技」の見える化などを行い、高齢者や経験の浅い新規就農者でも取り組める魅力ある生産性・収益性の高い農林水産業の実現を目指しています。同府はスマート農業技術の実装を図っていく上で、まず、京都府農業の現状等を分析し、施策への反映を行いました。
これにより、園芸施設の環境制御設備のスマート化割合が施設設置面積全体の0・4%であるなど、スマート農業の導入が進んでいない実態が明らかになりました。
さらに中山間地では単純な規模拡大が難しく、京野菜をはじめとした多品目・小規模栽培は画一的な管理が困難などの課題が挙げられました。そうした地域の実情に対応したスマート農業技術、生産者への技術情報の提供や導入支援が急がれるとしています。
このため同府は、スマート農林水産業加速事業により、地域に適した技術のカスタマイズや開発のため、現地モデル実証農場の設置や、農林水産技術センターでの京都府独自の技術開発を進めています。
また、実装に向けた支援は、一般社団法人京都府農業会議へのスマート農林水産業相談窓口の設置(2019年度相談件数118件)や、導入に必要な経費の一部を支援する補助制度の開始などがあり、同府は調査結果をもとに、今すぐ必要な事業は予算化できたとしています。

生産者の要望に応えてスマート農業の情報を提供

岐阜県では「岐阜県スマート農業推進計画」(2019年3月策定)に向け、事前に生産者へのアンケート調査を行いました。
同調査は営農上の課題を聞くもので、「適切な作付けや栽培管理による多収・高品質化(32・5%)」、「重労働等の作業負担の軽減や危険な作業からの解放(21・4%)」などの声とともに、課題の解決にどのような技術が活用できるのか、導入の効果が知りたいなどの要望も多く聞かれました。同県ではこうした現場のニーズや農業者の意見をもとに、解決策の一つとしてスマート農業を位置づけ、計画を策定したといいます。
同計画には営農類型ごとのスマート農業技術の事例が数多く紹介され、ニーズに応じた導入を支援するほか、スマート農業普及に向けた今後の重点施策として、情報の集約・発信、技術の検証、人材育成などを挙げています。
この施策の実現に向け、同県では「岐阜県スマート農業推進センター」を2020年6月に開設しています。同センターはスマート農業技術の展示・操作体験のほか、同県が開発したトマト独立ポット耕栽培へのスマート農業技術の活用などを行い、スマート農業普及の拠点とする考えです。
このように自治体は地域独自のデータの収集と共有を強化し、地域や生産者に合ったスマート農業の開発・導入を支援すべきです。

岐阜県は、情報の集約・発信、技術の検証、人材育成などの実現に向け、「岐阜県スマート農業推進センター」を2020年6月に開設