イチゴ農家 中村正志さん・茜さん

宮崎で農業を始めたきっかけ
仕事・結婚・家族と人生を積み重ね、見つけた自分らしい生活

本田技研工業でバイクの研究開発に24年間携わってきました。家庭を持ち、自分を取り巻く環境も徐々に変化してきた40代。宮崎に生まれ農業を身近に感じていたこともあり、いつか地元で農業をやってみたいという想いがありました。妻も農業へ関心を持ってくれたことで、子育てを含めた今後の人生を考え、宮崎へ移住することを考えるようになりました。
しかし、「どうすれば就農できるのか」具体的な方法もわからなかったため、2019年の冬、東京で開催されたマイナビ就農FEST（現、農林水産FEST）に参加してみました。出展していた宮崎県農業振興公社の担当者との出会いがきっかけで、農業未経験者が就農の基礎知識を習得するための「みやざき農業実践塾」の存在を知り、実際現地へ出向きました。そこで詳しく話を伺い、いちご農家になるための研修への参加を決意しました。
栽培品目をいちごに決めたのは、以前妻の両親の実家がある福岡で食べたいちごの美味しさが忘れられなかったから。その時から、「自分たちでこんな美味しいものが育てられたら」という夢もなんとなく芽生えていたかもしれません。

現在の農×みやざき暮らし
夫婦二人で独立就農を目標に1年間の研修を終え、新規就農を果たす

2021年2月に会社を退職し、宮崎県高鍋町に移住。同年7月から1年間、みやざき農業実践塾で夫婦二人での研修が始まりました。実践塾では基礎知識や栽培技術を学ぶ傍ら、農業振興公社の方に紹介していただいたJAの方とも連携し、独立就農の準備を進めていきました。研修と並行しながら、30a（うちハウス13a）の土地も準備し、認定新規就農者になるために必要な5年間の事業計画も策定しました。ここでも自治体やJAの方々にサポートをしていただきました。
研修終了後の2022年7月、都城市でいちごの高設栽培を夫婦二人でスタートしました。1年目の収穫時期が終わるまでは休むこともままなりませんでしたが、翌年には少し余裕が生まれたこともあり、6歳の娘と家族3人でキャンプに出かけることができたのはいい思い出です。住まいの20分圏内にキャンプ場があるほど、自然豊かな点も宮崎の良いところかもしれません。
独立就農から1年が経ち、慌ただしくも穏やかな暮らしが現実のものに。二人で学んだイチゴ栽培。そして手にした畑とマイホーム。そんな環境で、いつも夫婦一緒に仕事ができる充実感。移住前にはなかなか取れなかった子供との食事の時間も大切に、宮崎での新たな人生を楽しんでいます。

就農希望者へのメッセージ
収穫して出荷するまでは収入はゼロ。本気なら資金計画は十分に！

移住就農には十分な計画が大切です。気持ちだけでは不十分です。現実は甘くありません。少なくとも収入が安定するまでの資金は必要です。住宅探しにも苦労しました。自宅にも一定の作業スペースが必要となるのですが、条件を満たす物件が見つからず結局新築しました。資金計画は余裕を持って！
また、農業を続けるためには常に勉強する姿勢が大切です。成功を収めている先輩方ほど勉強熱心な方ばかりです。