中山間地域 農業の複合経営魅力物語 岡山 健喜さん



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滋賀県(近畿)
岡喜商店|岡喜梨園
岡山 健喜さん



栽培作物 梨(8品種)、肉牛 |
耕作面積 4a |
経営規模 会社経営 |
移住形態 家業として継承 |
前職 家業継承 |
農地の取得 家族継承 |
就農までの期間 法人として生産 |
移住した年 ― |
農業
×食肉業
×飲食業
- 肉牛
- 梨栽培



代々近江牛を肥育し、食肉加工してきた岡喜商店。レストランは滋賀県内を中心に10店舗を展開しています。そんな中、5代目のアイデアで果樹栽培に乗り出し、梨の生産をしています。農業と食肉業、飲食部門で連携しながら、ユニークな経営を展開しています。
家業である食肉業から梨栽培に展開。「食」を通じた連携を目指す

先代の一言から始まった梨栽培。息子の健喜さんが引き継ぐ
農業をはじめたきっかけは?
梨の樹は一から私が植えました
農業をはじめたのは、親父が言い出したことがきっかけです。当時、ここ山之上は山が荒れていて、1997年に一帯を農地にして、果樹や野菜の栽培をしないか、という話があったんです。生産組合をつくって本格的にやるっていうことになって。うちの親父が誰の相談もなしに「やりたい」って手を挙げたんです。梨が好きだから梨をやりますって、話をまとめてきた。半分押し付けみたいにはじまったんです。父はそのあとすぐに亡くなったので、遺していった仕事のようにも思っていますね。梨の樹は一から私が植えました。

肥料は牛糞を活用し、店舗メニューでも使い、そこで販売も
農業技術の学び方
近隣には果樹農家が増えていましたから、隣の農家さんに教わったりもしました。今でも教わることが多いです。このあたりは、赤土で粘土質な土壌のため、果樹栽培には適しているんだそうです。最初はどうなることかと思いましたが、現在は専属の従業員が2名働いてくれていて、ありがたいことに2024年度の滋賀県の果樹品評会・梨部門で一等賞を獲ることができました。
食肉業との連携と苦労
牛糞を活用した肥料を使っています
親父も食肉業で出た牛の糞を肥料に生かせないかと考えたとは思うんですが、欲しい量と出る量に差があって、なかなか循環というところまではいきませんでした。ただ、現在、梨栽培に必要な量は、牛糞を活用した肥料を使っています。過去に、レストランを運営する弟のアイデアで、バーベキュー場にして観光農園をやっていたこともあるんです。ただ、近隣のかたとの意見の相違で長くはできませんでした。うちは3兄弟なんですが、家業をそれぞれのカタチで担っています。皆お客さんを喜ばせたいという思いが強いんですよね。レストランの裏には一面にコスモスを植えているんです。シーズンになると見物のかたがたくさん見に来られえます。これも、お客さんの笑顔が見たくて始めた取り組みです。

代々近江牛を肥育し、食肉加工してきた岡喜商店
販路と今後の展望・課題
現在、トマトのビニールハウスを建て、トマト栽培をする準備をしています。うまくいったら、少しずつハウスの数を増やしていきたいと考えています。うちは会社経営なので、補助金についてもどこまで利用ができるのか、竜王町役場に聞きに行きました。そしたら、農業振興課で持っている竜王町魅力ある農業の創生事業補助金がハウス建設費に充てあてられることがわかったので、申請しました。役場や普及センターのような場所に聞きに行くのはいいと思います。売上はいいときで400万円くらいですか。年によって違いますから、一概には言えないのですが。従業員もいるし、外国人の技能実習生にも入ってもらう予定なので、売上を上げていかないとと思っています。
新規就農者へのメッセージ

農業の方は梨栽培に続き。ハウストマトも準備中
企業の中の一事業としてやっているので、お金を儲けることは大事だと思います。ただ、私の中にはお客さんに喜んでもらいたいという気持ちが軸にあります。経済のことも農業に対する想いも両方が必要で、そのバランスが大事なんやろうなという話です。今は従業員に任せっぱなしで現場には出ていないんですが、ここで30年やってきた人間の言葉として聞いてもらえたら嬉しいです。
取材・文=乾祐綺 写真=乾祐綺 編集=養父信夫



