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NEXT AGRI PROJECT 2018 秋 NTTテクノクロス株式会社

NEXT AGRI  PROJECT 明日の日本農業を語る活性化会議

日本の農業活性化への提言

NTTテクノクロスが“AIファースト”で挑む、農業活性化の施策とは

NTTテクノクロス株式会社

NTTテクノクロス株式会社
IoTイノベーション事業部 副事業部長
櫻井 義人 氏

Sakurai Yoshito

AI、IoT、クラウド、モバイルといったデジタルテクノロジーの活用は、現代のビジネスを勝ち抜くうえで不可欠といえます。当然、農業分野でも、生産現場から経営・流通までの幅広い分野で課題解決に向けたICTソリューションが生み出されています。今回は、ビッグデータ分析や画像認識などのAI技術や、センサー情報などのIoT技術で高い実績を誇るNTTテクノクロス株式会社にフィーチャーし、同社の技術を生かした農業向けソリューションから今後の農業活性化への取り組みについてIoTイノベーション事業部の櫻井義人氏にお話を伺いました。

労働力不足だけでなく、専門技術の継承も農業界の課題

NTTテクノクロス株式会社

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 少子高齢化による就労人口の減少は、あらゆる分野のビジネスにおいて深刻な問題となっています。特に知識や経験など、個人の能力に頼る部分が多い農業分野では、労働力不足の解消や作業の効率化はもちろん、専門技術の継承も必須のミッションといえます。

 このため、農業分野にもICT(Information and Communication Technology)を活用したデジタルトランスフォーメーションの波が押しよせており、これまで農業と関わりがなかったICT企業も積極的に参入してくるようになりました。

 通信事業を軸に、さまざまな領域でビジネスを拡大しているNTTグループもそのひとつで、グループが持つ先端技術を活用して農業の活性化に取り組んでいます。その中で注目したいのが、NTT研究所の最先端技術を利用し、数々のソリューションを世に送り出してきたNTTテクノクロス株式会社(以下 NTTテクノクロス)です。

 “AIファースト”を掲げ、AI(Artificial Intelligence)技術を始めとするデジタルテクノロジーを積極的に活用することで現代社会のさまざまな課題解決に取り組んでおり、近年は農業分野にも参入。NTTグループとの連携はもちろん、農業分野でビジネスを展開する企業とのパートナー連携により、現場の課題を解決するソリューションを開発しています。

「農業に関するノウハウを持っていなかったので、この分野に精通したパートナー企業様と組むことで、我々の持つ技術を生かすことができると考えました」と、IoTイノベーション事業部の櫻井義人氏は語ります。

 ビッグデータ分析や画像認識などのAI技術や、センサー情報などのIoT(Internet of Things)技術で高い実績を誇るNTTテクノクロスが、現在、農業分野で取り組んでいるのが、「牛の行動分析」、「豚の体重推定」、「野菜の生産・品質管理」、「農産物産地評価」といったプロジェクトです。

パートナーと連携し、AI×IoTで農業ビジネスを展開

NTTテクノクロス株式会社

NTTテクノクロス株式会社

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「牛の行動分析」に関しては、酪農ビジネスに通じたデザミス株式会社が提供するサービス『U-motion®』に、NTTテクノクロスが開発したタグ型のセンサー情報を分析し、牛の行動や状態を通知する機能を提供。すでに北海道から沖縄までの全国各地の牧場で導入されています。

 さらにNTTテクノクロスが提供するデータ分析プラットフォーム「IoTデータ分析Suite」では、牛の7つの行動(採食・飲水・反芻・動態・起立・横臥・静止)をリアルタイムに見える化し、蓄積データを分析することで「発情兆候」、「疾病(体調不良)」、「起立困難」など、畜産農家が牛の状態を見極める必要があるタイミングを通知し、生産効率を高めるサービスを提供しています。

 これらの分析サービスの活用で、畜産農家が365日24時間体制で行っていた見回り作業が大幅に軽減。例えば、牛の飼育では何らかの原因で起き上がれなくなった牛が突然死することがあり、1頭約100~150万円で取引される肉牛の飼育では大きなリスクとなっています。「『U-motion®』の導入が進んだことで、起立困難牛の検出事例が蓄積されており、精度も向上しています。これまでに多くの事例が報告されており、導入した畜産農家も喜んでいます」と同席の同事業部 除補由紀子(よすけゆきこ)氏は語ります。

 NTTテクノクロスが農業分野で展開しているソリューションとして、『U-motion®』と並び注目を集めているのが「豚の体重推定」に関する取り組みです。豚の飼育において体重測定は重要な作業ですが、従来の豚専用の体重測定ではコストや手間がかかり、養豚農家の負担となっています。これまでは月齢や熟練者の“目勘(めかん)”で出荷タイミングを決めており、熟練者の経験が必要とされていました。現在、開発中の『デジタル目勘®』では、独自開発したAIによる画像認識技術を組み込んだ計測ロジックを使い、高いレベルで豚の体重を推定することができます。

 商社系の飼料会社である伊藤忠飼料株式会社と連携したソリューションで、技術的にはほとんど完成しており、現在は専用機(ハードウェア)を開発している段階とのことで、5月30日~6月1日に名古屋で開催された「国際養鶏養豚総合展 2018」では、伊藤忠飼料株式会社との共同出展で専用機のプロトタイプを展示。来場者に囲まれ、開発者が説明に追われるなど盛況で、同ソリューションへの期待の高さを実感する結果となりました。

今後も農業界を活性化させるソリューションを提供する

NTTテクノクロス株式会社

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 このように、農業分野でも積極的にビジネスを展開しているNTTテクノクロスでは、酪農先進国であるデンマーク大使館へ表敬訪問するなど、グローバルに農業分野での知見を広げる活動も行っています。8月24日は、デンマーク農業理事会と農業データを管理してコンサルティングを行う団体「SEGES」、「DAAS」のメンバー約20名を招いた意見交換を実施しました。

『U-motion®』や『デジタル目勘®』だけでなく、コールセンター向けの音声ビッグデータ・ソリューション『ForeSight Voice Mining®(FSVM)』、高画質・低負荷のVR映像配信サービス『パノラマ超エンジン』といったNTTテクノクロスの先進ソリューションを紹介し、活発な意見交換が行われました。「農業関連だけでなく、先進技術を使ったソリューション全般に興味を示されました。もちろん、『U-motion®』や『デジタル目勘®』にも注目していただけました」と意見交換会に出席した櫻井氏は成果を語ります。

「今後もさまざまなパートナー企業と連携し、農業の活性化につながるソリューションを幅広く提供していきたい」と櫻井氏。

 “AIファースト”で、農業の変革に取り組むNTTテクノクロスの今後の展開からも目が離せません。

NTTテクノクロス株式会社

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IoTイノベーション事業部 副事業部長 櫻井義人 氏

昭和63年日本電信電話株式会社入社、平成16年同 経営企画部門経営管理担当部長、平成22年同 研究企画部門技術渉外兼環境推進室担当部長、平成25年NTTラーニングシステムズ株式会社 取締役コンテンツ事業部長、平成28年NTTソフトウエア株式会社 メディア&モバイル事業部副事業部長、平成30年より現在に至る。

【関連リンク】

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