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畜産|先輩就業者インタビュー02

アルゼンチンで「畜産の仕事」と出会い、「放牧で牛を飼いたい」と山口県に移住

山口県岩国市周東町 小林 識史さん

アルゼンチンで出会った「牧草だけで牛を育てる」という資源循環型のシンプルな畜産に魅了され、日本での畜産経営を模索。インターネットで「山口型放牧」の情報を見つけ、農業大学校を足掛かりに縁もゆかりもない山口県で就農を目指します。

どうして「畜産」を仕事に?

どうして「畜産」を仕事に?

若いころは「青年海外協力隊」に関心があったので、京都から東京農業大学の国際農業開発学科に進学しました。4年生になる前に大学を1年間休学し、海外で「農業実習」に参加したのですが、先生から紹介してもらったのが大学のOBが経営するアルゼンチン共和国の牧場で、そこで「畜産の仕事」と出会いました。

「放牧しながら、牧草だけで牛を育てる(グラスフェッド)」という資源循環型のシンプルなアルゼンチンの畜産に魅了され、大学を卒業後に同じ牧場で2年ほど働いたのですが、「自分で牧場を経営したい」という思いが出てきたことや、アルゼンチンの経済危機もあり、日本に帰って畜産で新規就農する道を模索しました。

「日本でも放牧で牛を飼いたい」という考えがあり、インターネットで調べる中で耕作放棄地などに牛を放牧する「山口型放牧」の情報を見つけ、更に調べると山口県立農業大学校には肉用牛の専門コースがあることも分かったので、まずはそこで日本の畜産技術を学んで、就農への足掛かりを築くことにしました。1年制の研究科を修了後、自分のフィールドを探すため、当時の校長の計らいで1年間「臨時職員」として学校に残り、2006年4月から後継者がいなかった周東町の繁殖農家のもとで2年ほど「実務研修」を受けて新規就農することになりました。私は研修から就農まで、国や自治体の支援をほとんど受けてこなかったので、かなり苦労したのですが、山口県に来て出会った方々には本当に助けられました。

「畜産」を仕事にする上で大切なことは?

「農業」を仕事にする上で大切なことは?

生き物が相手で、鳴き声や臭いなどが発生する「畜産の仕事」は、周りに住んでいる方の理解や周りの方との信頼関係が不可欠です。そのため、自分の経営(儲け)以上に「地域とのコミュニケーション」を重要視しています。

借りているこの牛舎は宅地から少し離れているので大きなトラブルはありませんが、ここができる際の工事で川の下流の方とトラブルになったと聞いていますし、上の牛舎を建てる時も反対の声がありました。その際も周りの方々にきちんと説明して回ったのはもちろんなのですが、常に地域や自治会の活動に積極的に関わって、移住者でもある「私という人間を知ってもらう」ように努めています。「そこまでやる必要があるのか?」と思われるかもしれませんが、ゼロから畜産の経営者を目指す方には、それぐらいの「心構え」は必要だと思います。

現在は母牛が35頭、子牛が20頭の規模で「放牧主体の繁殖経営(子牛を生産して9カ月で販売)」を夫婦二人で営んでいます。牛に与える餌は自給飼料で、自分たちで牧草を2haと飼料米を1.2ha栽培し、牛のふん尿を堆肥化したものを草地に戻すなど、資源が循環することを大切にしています。また、ここ数年は食肉用に出荷するまで牛を育てる「肥育」にも年4頭程度ですがチャレンジしています。肥育に取り組むことで子牛の生産にフィードバックできることが発見できます。

畜産経営を目指すには
経営者には情熱や覚悟が必要
畜産の仕事は歓迎されないこともあり、地域と信頼関係を築くことが重要です。山口県は大産地ではないので、熱を持って取り組めば、周りの方に応援してもらいやすい環境だと思います。
畜産経営を目指すには 経営者には情熱や覚悟が必要
「山口型放牧」とは?
牛が草を食べることで、野生動物の隠れる場所が少なくなり、獣害も減少
山口県では「農地の保全」や「畜産経営の省力化」などを目的に、電気牧柵で囲んだ耕作放棄地などに繁殖用の雌牛を放牧する「山口型放牧」を推進しています。
「山口型放牧」とは?牛が草を食べることで、野生動物の隠れる場所が少なくなり、獣害も減少

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