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畜産|先輩就業者インタビュー

日本海に浮かぶ離島で天然記念物の牛「見島牛」を飼育し、次代へつなぐ

山口県萩市見島 花田 康章さん

萩市から44km離れた「見島(みしま)」で、貴重な「見島牛(みしまうし)」を育てている花田さんは、福岡県から「人生のやりがい」を求めて移住してきました。見島牛保存会の会長の熱意に応え、今以上に見島牛を増やすため、限られたリソースを上手に生かしながら日々奮闘しています。

どうして「畜産」を仕事に?

どうして「畜産」を仕事に?

現在は萩市の見島に住んでいますが、出身は福岡県の北九州市です。一人暮らしがしたくて県外を進学先に選び、萩市で学生時代を過ごしました。その当時は、特に農業や畜産に関心があった訳ではなく、卒業後は地元に戻り、家業の保険関係の仕事をしていました。昔から「自分自身を試してみたい」という挑戦意欲が強く、飲食業界に転身。調理や接客、店舗経営も経験しましたが「自分には合わない」と感じ、別の道を探していました。人生半ばで悩んでいたのでしょうね。遠洋漁業のトロール船に6カ月ほど乗船したこともあります。

陸に上がった後、次の仕事を探している時に見つけたのが見島での「地域おこし協力隊」の募集です。もともと都会より田舎が好きで、オフには磯釣りができるような離島に憧れを抱いていました。見島には一度も行ったことがなかったのですが、2018年3月に着任して初めて島に足を踏み入れ、見島牛保存会の会長である多田さんからお話しを伺った時に自分の中で「ビビッ」と来たものがありました。

見島牛は外来種の影響を受けていない大変貴重な牛で、文化財保護の観点からも大切に育てられています。しかし、飼養農家も少なく、島には80頭ほどしかいないのが現状です。農家の高齢化が進んでいる中、後継者も見当たらない厳しい状況を聞き、見島の力になれないかと考えて、見島牛を育てることを決意しました。3年間の任期が終了した後は、飼養農家で1年ほど飼養管理を学び、廃用予定の繁殖雌牛を譲り受けて、2022年3月に新規就農しました。増頭や牧草地の開拓等の規模拡大を図り、現在は雄の種牛が1頭、子牛が2頭、雌牛7頭の計10頭を飼養しています。

「畜産」を仕事にする上で大切なことは?

「畜産」を仕事にする上で大切なことは?

見島牛の飼育をサポートすることが地域おこし協力隊のミッションだったので、実際にそれを仕事として捉えた時のギャップはありませんでした。すでに見島で牛を育てていくことを決意していましたので、任期が終わるまでにできることをリストアップして準備を進めていました。牛を飼うには牛舎も必要ですし、牧草を育てる農地も必要です。仕事の半分は牧草を栽培して収穫しているようなものです。

見島は閉鎖的というか、離島ならではの雰囲気があり、移住者の私にとっては「取っ付きにくいな」と感じたことがしばしばありましたし、「あんなやつに、牛が飼えるわけはないだろう」と厳しい言葉を投げかけられることもありました。しかし、「島のために」と考えを切り替え、頼まれごとをこなしていくうちに島民として認められた感じです。もともとは「人のために」というような人間ではなかったのですが、この島に来てから変わりましたね。

現在、山口県立農業大学校を卒業して見島牛を飼育したいという研修生を指導しているのですが、牛のことは後からでもどうにかなるので、まずは島に溶け込むようにアドバイスしています。島民として認めてもらえれば、何か困ったことがあっても必ず誰かが助けてくれるので…。今後の目標は農業機械の導入や施設の拡大などを進め、地道に頭数を増やしていきたいと考えています。ゆくゆくは、見島牛に興味を持ってくれる若い人たちが働けて、少人数で見島牛を管理できるような法人の設立も視野に入れています。

天然記念物の見島牛
外来種の影響を受けていない希少種
日本の在来種で西洋種の影響を受けずに現在まで受け継がれている牛は、見島牛の他2種類しかいません。国指定の天然記念物ですが、去勢された雄牛は年間数頭ほど食肉として市場に出回ります。肉質は自然な霜降りで、レアな高級牛肉として人気があります。
天然記念物の見島牛
日本海に浮かぶ絶海の孤島
萩市からフェリーで90分
見島は山口県の最北端に位置し、萩市からは44kmほど離れた日本海に浮かぶ島です。周囲18kmの島には700人が住んでおり、そのうち200人は基地がある航空自衛隊の関係者です。基幹産業は漁業と農業ですが、美しい島の景観や、大物釣りができるフィッシングも観光客に人気があります。
日本海に浮かぶ絶海の孤島