大玉村ってどんなところ?
福島県中通り地方の北部に位置する大玉村は、郡山市と本宮市に隣接する人口約8,900人の村です。安達太良山のふもとに広がる扇状地は肥沃な土壌と水資源に恵まれた土地であり、昔から稲作や果樹栽培が盛んな地域として知られています。面積は87.77㎢とコンパクトながら、のどかな田園風景と住宅地、そして山々に囲まれた自然との距離感が絶妙な“ちょうどいい田舎”。都市と農村のいいとこ取りができるのが、大玉村の魅力です。
45年間人口が増え続けている大玉村
大玉村は、昭和50年から45年間人口が増え続けており、14歳以下の年少人口比率は県内トップです。その要因としては主に3点あります。
1つ目は、「子育て支援の充実」です。第1子からの保育料無償化、小中学校の給食費無料化など手厚い支援があります。
2つ目は「立地」です。新幹線利用で東京から約2時間半、郡山市内まで車で30分など、自然豊かな環境で暮らしながらも、通勤・通学や買い物の利便性はしっかり確保されているのが特徴です。
そして3つ目は「景観」です。田園風景に囲まれ安達太良山を一望できる環境を求める人が増えていて、「景観を守ること=農業を守ること」として担い手の確保は早急に対応する必要のある課題です。
村念願の大玉村産ブランド米「あだたらの恵」プロジェクトが始動!
近年、大玉村では農業の未来を支えるプロジェクトが次々と動き出しています。その代表が、村独自のブランド米の開発です。「大玉村のお米は本当においしい」そんな村内外からの評判は、長年にわたって語り継がれてきた地域の誇りでもあります。
村は福島大学食農学類に食味分析調査を依頼し、 5年間の科学調査を実施。米の味・香り・粘り・硬さなどを数値化した食味値を毎年検証した結果、全国的に見ても非常に良質な「良食味米」であり、かつその品質が毎年安定していることが明らかになりました。
そして2025年、これまでの実績をもとに、より高い栽培基準と明確な食味基準を設けた“特別なお米”を村のフラッグシップ米としてブランド化。その名も「あだたらの恵(めぐみ)」。

2,118点の応募の中から「あだたらの恵」に決定しました
村の象徴である安達太良山にちなんだ名称には、自然の恵みへの感謝と、未来の農業への希望が込められています。
ブランド米「あだたらの恵」が村内外で大きな注目を集めている大玉村ですが、実際にこの地で田畑を耕す人たちの“声”こそが、大玉村の農業をさらに熱く、深くしてくれるはず!現役の地域おこし協力隊員が語る挑戦と、新規就農者が描く未来像、そしてベテラン農家が託す想い。大玉村の“農ある暮らし”を支えるストーリーをお届けします。
新たな一歩を踏み出した理由 ― 紫雲 陸翔さん(令和6年度地域おこし協力隊)

令和6年度地域おこし協力隊 紫雲 陸翔(しうん・りくと)さん
茨城県出身の紫雲 陸翔さんは、農業大学で畜産を学んだ後、北海道の牧場で約3年半の酪農経験を積んできました。縁あって奥さまと共に大玉村へ移住したのには、ちょっと“胸熱”なエピソードがあるそうです。
「酪農をやりながら自分でも何か始めたいと思い、農業も好きで勉強もしていたためやるなら農業だと。農家生まれの幼馴染に相談したら『大玉村で農業をやってるお爺ちゃんが引退を考えてるけど跡継ぎがいない』と話を聞き、このチャンスは乗るしかないと思い大玉村への移住を決めました。その後、幼なじみから“村のために活動できる地域おこし協力隊”の募集があると聞き、『せっかくなら村の力になりたい』と思い立ち、応募しました」
地域農業を支えながら、自分の営みも育てる

大玉村農業振興公社に勤務しながら地域農業の推進、村のイベント、PR活動などを行っている
紫雲さんが勤務するのは、大玉村農業振興公社。村内の農業振興や活性化を推進しつつ、自身の営農にも取り組めるのが大玉村地域おこし協力隊の大きな特徴です。農家が抱える課題や悩みに寄り添うことで、自身の営農計画に役立てることができるのは大玉村ならでは。紫雲さんは、研修先の農家さんのもとで約20町歩の田畑で水稲とそばの栽培研修をするとともに自宅の庭先では実証実験として多品目の野菜を栽培しています。
“チャレンジできる余白”がある村
「大玉村に来て一番感じたのは、『良い意味でなんにでもチャレンジできる余白』があることです。農業はもちろん、スポーツイベントの企画や飲食店の開業など、自分の夢を叶えるチャンスが本当に多いと感じます。それを支えるのが、この地に根づく“助け合いの精神”です。若い世代の移住を心から歓迎し、背中を押してくれる風土こそ、村のいちばんの魅力だと思います」
紫雲さんの次なる夢は、育てたそばや米や野菜を使ったレストランの経営。自分たちで土を耕し、食卓を彩る─。そんな地産地消のサイクルをこの村で実現したいと語ります。
「移住前に一番心配だったのは、『この場所で地域に溶け込めるのか?』ということ。でも大玉村なら、その心配はまったく不要でした。自然豊かな環境の中で、自分の夢や目標に全力で取り組める。そんな日々を実感しています」
手を差し伸べてくれる地域の人々のエールを力に、紫雲さんは今日も農作業に汗を流しています。
故郷へ回帰し、新規就農を決めた理由 ― 本田 宏平さん(令和4年度Uターン)

本田 宏平さん(令和4年度Uターン就農)
次に紹介するのは、大玉村で農業を営む若きファーマーの本田 宏平さんです。大玉出身の本田さんは関東の大学卒業後、会社員を経て郡山市の農業法人に従事。令和4年度に新規就農者としてUターン。現在、水稲を中心に小菊、ユーカリなどの花きを栽培しています。
「兼業農家の家庭に育ち、幼い頃から田植えや収穫を手伝っていた私は、土と作物に向き合う時間に自然と心が惹かれていました。大学卒業後、不動産会社に就職して宅建資格を取得したものの、年功序列の社内制度に疑問を抱き、自分の成果が反映される仕事を求めるようになりました。会社の歯車ではなく、自分の力で価値を生み出したい―。そう考えた末、大玉村で農業に挑戦する決断をしました」
手厚い支援が後押しした新規就農
農業法人で栽培技術や経営のノウハウを学んだ本田さんは、大玉村で新規就農をするにあたり、役場に相談。新規就農経営開始資金を活用し、就農を開始。令和5年2月に青年等就農計画認定申請書を村に提出し、認定新規就農者の認定を受けました。
「当時の大玉村は、新規就農者として移住・就農した事例がほとんどなく、役場の担当者も一つひとつ調べながら丁寧に対応してくれました。活用できる制度の手続きや、部会への紹介など、親身になって対応してくれたのがとてもありがたかったです」
師と仰ぐベテラン農家さんとの出会い

あだたらアグリサービス代表・伊藤 洋さん
本田さんには、師と仰ぐベテラン農家さんがいます。それが、あだたらアグリサービス代表・伊藤 洋さんです。14代続く農家を継いだ伊藤さんは、大玉村の農業を牽引するリーダー的存在。「縁(えにし)プロジェクト」を立ち上げ、若い世代と地域をつなぐ活動を地元住民の有志とともに行っています。
「私たちにできることはあくまで“きっかけづくり”です。農業の魅力を伝え、農家で食べていける姿勢を示すことで若い世代に農業に興味を持ってもらうことが私たちの仕事。もちろん、就農を決意した人には全力でサポートします」
自ら育てた作物で地域に貢献し、自分の汗が利益となる働き方こそが本当のやりがいであることを、伊藤さんの背中を見て学んだ本田さん。大玉村の助け合いの精神と豊かな自然に支えられながら、新たな一歩を踏み出しています。
伊藤さんは、若い世代への期待をこう語ります。
「若い人には、やりたいことにどんどんチャレンジしてほしい。自分も家業を継いで就農した当初は思うようにいかないことが多かったけれど、その経験と技術は全部教える覚悟があります。本田さんや紫雲さんのような若手が大玉村をさらに盛り上げてくれることを心から願っています」
伊藤さんの言葉には、新たな担い手を温かく迎え、次の世代へ知見をつなごうとする強い思いが込められていました。
自然と子育てにやさしい大玉村から、協力隊への招待状

大玉村産業建設部産業課農政係の塩谷理紗さん
最後に、大玉村産業建設部産業課農政係の塩谷理紗さんから、地域おこし協力隊や移住希望者へのメッセージをお届けします。
「大玉村は四季折々の美しい自然に恵まれ、今は大玉村産ブランド米『あだたらの恵』の立ち上げにより村内外の注目が集まっています。また、“子どもは地域未来の宝”として子育て支援制度が充実している大玉村は、家族連れでも安心して暮らせる環境が整っています。自然の中で農業に挑戦しながら、地域の未来を一緒に創りませんか?大玉村の地域おこし協力隊として、あなたの“やりたい!”を全力でサポートします。農業に興味があるけど、経験不足で不安を抱いている方や大玉村で農業をやってみたいとお考えの方、大歓迎です!」
大玉村には、里山の息吹を感じながら子どもを育て、県内有数の米どころとしての誇りを胸に活動できる“フィールド”があります。大玉村でなら、あなたの一歩が地域を、そして自分自身を豊かにするはず。
さあ、新しい“農ある暮らし”を、大玉村で共に始めましょう!
お問い合わせ
大玉村役場 産業建設部産業課
〒969-1392
福島県安達郡大玉村玉井字星内70番地
TEL:0243-24-8107(直通)
FAX:0243-48-4448
メールアドレス:sangyoka@vill.otama.fukushima.jp