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飲食店の害虫駆除は義務? 駆除の頻度や費用相場、店舗でできる予防策も解説

Maya Fukuoka

ライター:

飲食店の害虫駆除は義務? 駆除の頻度や費用相場、店舗でできる予防策も解説

お客様に安心・安全な食事を提供する飲食店にとって、ゴキブリやハエなどの害虫発生は、絶対に避けたい問題の一つです。

害虫は、利用者に不快感や不衛生な印象を与えるだけでなく、食中毒やお店の信用失墜、最悪の場合は営業停止処分を受けるなど、経営に深刻なダメージを与えかねません。そのため、店内で害虫を発見した際には迅速な駆除対応が不可欠です。

そこで本記事では、飲食店で害虫が発生した際の対処法として、駆除に関する法律・義務や頻度・費用相場などについて詳しく解説します。

害虫がもたらすリスクや、飲食店スタッフで取り組める予防対策も紹介していますので、飲食店の害虫被害に困っている人はぜひ最後までご覧ください。

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飲食店の害虫駆除は法律で義務付けられています

飲食店では、食品衛生法により、衛生管理の国際基準である「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理が全ての食品関連事業者に義務付けられています。

HACCP(ハサップ)とは?

HACCP(危害要因分析重要管理点)とは、食品の生産・流通・販売などの工程で発生しうる危害要因を防止・抑制し、食の安全性を守るための衛生管理手法です。

ゴキブリやネズミなどの防除・対策は、HACCPの一般的な衛生管理項目に該当しており、定期的な点検・駆除や対策の実施、実施記録の保管などが求められます。

店舗の衛生管理を怠って害虫が発生した場合、保健所による指導が入り深刻な場合は営業停止処分や罰則が科される可能性も。そのため、定期的な害虫駆除は、飲食店にとって不可欠な取り組みと言えるでしょう。

参考文献:厚生労働省 HACCP(ハサップ)

飲食店で発生しやすい害虫の種類

飲食店で発生しやすい代表的な害虫は以下のとおりです。

害虫の種類 特徴
ゴキブリ類
(チャバネゴキブリ、クロゴキブリなど)
・暗く湿気の多い環境を好む
・食品や調理器具の汚染による食中毒リスクが高い
ハエ類
(ショウジョウバエ、チョウバエなど)
・湿気の多い環境を好む
・料理への混入リスクが高い
・食品や調理器具の汚染による食中毒リスクが高い

ゴキブリやハエにとって、食べ物や湿気が豊富で暖かい飲食店の厨房は格好の棲み家となります。

食品や調理器具の接触・汚染による食中毒リスクに加え、ハエなどの飛翔害虫は料理への混入リスクも高いため対策必須です。

徹底した衛生管理と予防対策の実施、また必要に応じて専門業者に駆除を依頼することで、害虫被害が広がらないようにしましょう。

飲食店で発生した害虫を放置するリスク

飲食店で発生した害虫は、利用者に不快感や不潔なイメージを与えるだけでなく、以下のような被害を及ぼすリスクがあります。

害虫による被害 具体例
衛生面の被害 ・食中毒・感染症などの発生
・アレルギー症状の発生
・料理への害虫混入
物理的な被害 ・材料の腐食・食害
・備品・建物への損害
経営面の被害 ・お店のイメージダウン
・風評被害・クレーム増加
・顧客減少・売上低下

SNSや口コミサイトが普及している現代において、飲食店のネガティブなイメージは瞬く間に拡散されてしまいます。害虫や食中毒が発生したというような情報が広まれば、顧客からの信用を損ない、お店の経営に影響が出ることは避けられないでしょう。

また、害虫被害が拡大し、保健所の検査で害虫が確認された場合は、改善指導や是正勧告、営業停止処分に繋がる可能性があります。飲食店側の過失により重大な食中毒問題が起きた場合は、賠償責任や刑事責任を問われるリスクも。

一度失った飲食店の信頼を回復するのは容易ではありません。たった1匹の害虫がお店の存続に関わる場合も十分に考えられるため、日頃からの衛生管理と予防対策を徹底することが大切です。

飲食店の害虫駆除は専門業者へ依頼しよう

飲食店で害虫を発見した場合、目に見えた大きな被害がない状態であっても、速やかに専門業者に依頼することをおすすめします。

飲食店でよく見られる害虫は繁殖力・生命力が強く、特にゴキブリは「1匹でも居たら建物内に数十匹〜数百匹以上潜んでいる」と言われるほどの強い繁殖力を持ちます。

害虫が好む環境になりやすい飲食店では、一度棲み着かれると瞬く間に数が増えて被害が拡大してしまうため、手遅れになる前に専門業者に依頼しましょう。

また、飲食店に潜む害虫を完全に駆除するには、害虫の生態や習性などの専門知識や、確実な駆除・再発防止を行う高度な技術が必要になります。

対処が遅れると飲食店の経営・衛生面などに甚大な被害を及ぼす可能性もあるため、解決までのスピードや安全性を考慮して専門業者に依頼するのが最も確実です。

飲食店の害虫駆除に掛かる費用相場

飲食店の害虫駆除を業者に依頼した場合に掛かる費用は、1度きりの「単発駆除」と、年間契約となる「定期駆除」それぞれで以下のとおりです。

飲食店での害虫駆除費用相場

  • 単発駆除:50,000〜150,000円
  • 定期駆除:5,000〜15,000円/回

ただし、害虫駆除の費用は、店舗面積や被害状況、害虫の種類などによって大きく変わります。まずは、実際に現地調査・見積もりを依頼し、お店の害虫駆除に掛かる具体的な費用を把握しましょう。

なお、見積もりを取る際は、悪質な業者に騙されないためにも、必ず3〜4社ほどの複数業者に依頼してください。料金の安さだけで決めるのではなく、作業内容やアフターフォロー、接客対応なども総合的に比較・検討し、納得して依頼できる業者を選びましょう。

飲食店における害虫駆除の頻度・タイミング

飲食店における害虫駆除は、食品衛生法により年2回以上の実施が推奨されています。

1年に2回以上、ねずみ及び昆虫の駆除作業を実施し、その実施記録を1年間保存すること。ただし、ねずみ及び昆虫の発生場所、生息場所及び侵入経路並びに被害の状況に関して、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき必要な措置を講ずる等により、その目的が達成できる方法であれば、当該施設の状況に応じた方法及び頻度で実施することができる。

引用:厚生労働省 衛生管理基準

ただし、「年2回の駆除」というのは、あくまで衛生管理基準や自治体の指導に基づく最低限度の実施頻度です。

ただ単に2回駆除すれば良いという意味ではなく、害虫の発生状況に応じた頻度での実施が求められ、延床面積3,000㎡以上の「特定建築物」に該当する飲食店では、年2回以上の調査・駆除・記録保存が義務とされています。

そのため、害虫駆除を行うタイミングとしては、どのような飲食店でも最低6カ月ごと特定建築物や害虫が発生しやすい飲食店であれば、余裕を持って1〜3カ月ごとに定期駆除することをおすすめします。

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飲食店で取り組める害虫の予防・対策方法

ここからは、飲食店で取り組める害虫の予防・対策方法を3つ紹介します。

  • 店内の衛生管理を徹底する
  • 害虫の侵入経路となる隙間を塞ぐ
  • 飲食店に適した駆除・予防グッズを活用する

害虫は繁殖力が非常に強いため、一度繁殖を始めてしまうと自力で駆除するのは困難を極めます。日頃からの害虫予防をスタッフ全員で心掛け、害虫を寄せ付けない環境を維持しましょう。

店内の衛生管理を徹底する

害虫が発生する要因は種類によってさまざまですが、多くの害虫は餌や快適な棲み家を求めて飲食店に侵入します。そのため、日頃からの徹底した衛生管理で、害虫が寄り付かない環境を維持することが、飲食店における最も基本的な害虫予防策となります。

飲食店で害虫を発生させないための、具体的な衛生管理のポイントは以下のとおりです。

衛生管理のポイント

  • 調理器具や食器は使用後すぐに洗浄・殺菌する
  • 食材は清潔な冷蔵庫や密閉容器で適切に保管する
  • 餌になるゴミや隠れ場所になる段ボール・新聞紙を溜めない
  • 油分や食べカスの残りやすい厨房・客席周りの清掃は念入りに
  • こまめな換気を行い水周り・店内の湿度を調節する

特に、食べ物が豊富で暖かく、湿気の溜まりやすい厨房・水周りは、害虫の温床になりやすいため注意が必要です。適切な食材管理や毎日のこまめな清掃・換気で、清潔な環境を維持しましょう。

なお、店内環境を清潔に保つためには、スタッフ全員に衛生管理の意識を持ってもらうことが不可欠です。定期的な研修や情報の共有、清掃・点検手順のマニュアル化などを行い、害虫を寄せ付けない環境作りを目指しましょう。

害虫の侵入経路となる隙間を塞ぐ

店内の衛生管理をどれだけ徹底しても、外から害虫が侵入してきては意味がありません。そのため、侵入経路となる隙間の遮断もその他の予防策と並行して行いましょう。

代表的な害虫の侵入経路としては、例えば以下のような場所が挙げられます。

害虫の主な侵入経路

  • 出入口・窓の隙間
  • 排水口・換気口の隙間
  • 外壁・基礎のひび割れ

上記の場所を重点的に点検し、穴埋めパテや隙間テープ、フィルターなどを用いて塞ぎましょう。

とはいえ、害虫はわずか数mm程度の隙間があれば侵入し、外部から持ち込まれた荷物や食料、お客さまやスタッフの衣類などに付着しているケースもあるため、害虫の侵入をゼロにすることは現実的ではありません。

害虫に関する知識を持たない個人では、侵入経路を特定することすら難しい場合もあるため、迅速な解決が求められる飲食店では予防段階からプロへ依頼するのが効率的です。

飲食店に適した駆除・予防グッズを活用する

衛生管理や侵入防止対策に加え、ホームセンターやドラッグストアでも手軽に購入できる予防グッズを活用すると、害虫予防効果をさらに高められます。

飲食店に適した害虫駆除・予防グッズとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。

飲食店に適した駆除・予防グッズ

  • 無煙・無臭の忌避剤
  • 殺虫器・トラップ
  • 防虫カーテン

なお、食べ物を扱う飲食店では、使用する駆除・予防グッズの成分や安全性に注意が必要です。

食材や食器を汚染するリスクがあるスプレー殺虫剤やくん煙剤などは極力避け、食材や人体に影響を及ぼさない天然由来の忌避剤や無煙・無臭のグッズを活用しましょう。

飲食店での害虫被害は速やかに駆除業者へ相談しよう

本記事では、飲食店の害虫駆除に関する法律上の義務をはじめ、駆除に掛かる費用相場や頻度、店舗で実践できる予防策について解説しました。

ゴキブリやハエなどの害虫は、お客様に不衛生な印象を与えるだけでなく、食中毒の発生やSNSでの評判悪化など、お店のイメージや信用を著しく損なう可能性があります。

被害の規模によっては、顧客減少によって売上が低下したり、営業停止処分が科されたりすることも考えられるため、経営に大きな影響が出る前に専門業者へ相談することが大切です。

ぜひ本記事を参考に適切な対応と予防策を講じ、お客様がいつでも安心して食事を楽しめる、清潔で安全な飲食店を目指しましょう。

なお、害虫駆除業者の選び方やおすすめサービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。信頼できる優良業者を探している人は、併せて参考にしてください。

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