見つけにくく、効きにくいハダニ・アザミウマに、もう一剤

ハダニ類やアザミウマ類はごく小さく、発生初期に目で見つけるのは困難な害虫です。気づいたときには、防除が難しいほど増えていることも少なくありません。防除をさらに難しくしているのが薬剤抵抗性の発達です。
「栽培期間の長いイチゴでは、防除を続けるうちに殺ダニ剤の”たま”が尽きてくる(殺ダニ剤の使用回数限度まで使ってしまう)こともあります」と濵中さんは話します。使える剤の選択の幅は狭まり、ローテーション防除の維持も容易ではありません。
近年は気温上昇の影響で、害虫の発生が早まり、だらだらと長引く傾向にあります。「予定していた防除を前倒しにするかどうか、生産者は判断を迫られます」と話すのは吉田さんです。
こうした課題に応えるのが「ピタイチ」です。気門をふさぐ物理的な作用で効くため抵抗性がつきにくく、使用回数にも制限がありません。2026年2月に野菜類・花き類・観葉植物・リンゴ・ナシへ適用を拡大し、同年7月には野菜類でアザミウマ類も対象害虫に加わりました。
生産者を悩ませるハダニ・アザミウマの厄介さ

ハダニ類とアザミウマ類は、施設・露地を問わず、野菜や花き、果樹など多くの作物で問題となる代表的な微小害虫です。高温乾燥が続く夏場はハダニ類が増えやすく、アザミウマ類も野菜を中心に被害が問題になっています。
ハダニ類は主に葉裏に寄生し、目立った食害がないまま作物の生育を落としていきます。「小さな葉の被害の積み重ねが、最終的に立派な作物になるかどうかを左右します」と吉田さん。しかも農薬に対して抵抗性を発達させやすい害虫です。繁殖スピードも速いため、散布を重ねるうちに薬剤の効きにくい個体が残りやすくなります。
アザミウマ類は、花の中に潜んだり、植物のすきまに潜む習性があり、薬剤が届きにくいので厄介です。ハダニ類同様、地域によっては薬剤への感受性低下も進んでおり、有効な化学農薬が不足しています。果実にかすれ状の傷がつくと商品価値は大きく下がります。「ねぎでも問題となっており、アザミウマの被害でネギが真っ白になるという話も聞きます」と濵中さん。さらにウイルス病を媒介することもあり、感染すれば株ごと処分するしかありません。
こうした状況で求められるのは、抵抗性を気にせず使え、決まったローテーションを崩さずに組み込める資材です。急な発生に備え、「臨機応変に使える剤が好まれます」と吉田さん。天敵やミツバチを利用する施設園芸では、それらへの影響も見逃せません。
野菜・花き類、果樹へ。広がる「ピタイチ」活用の場

「ピタイチ」は、食品添加物を有効成分とする気門封鎖剤です。その成分であるグリセリンクエン酸脂肪酸エステルは、マーガリンや洋菓子などの乳化剤にも使われています。
今回の適用拡大で、野菜類ではハダニ類、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類の4害虫がそろいました。「アザミウマ類まで効き、果樹まで幅広く登録を持つ気門封鎖剤は、これまでありませんでした」と吉田さんは話します。
イチゴやトマト、花き類(キクを除く)では、うどんこ病にも効果があります。予防的に使う一般的な殺菌剤と違い、葉の表面に出た胞子を物理的に封じ込めて、ほかの葉への飛散・再感染を防ぎ、発生後の拡大を抑えます。
「ピタイチ」の強みの一つは、ハダニ類の卵から成虫まで、すべてのステージに効くことです。「薬液が卵を覆うことで、中の幼虫は外に出られません。」と濵中さん。
天敵や有用昆虫への影響が少ないのも特長です。化学的な毒性ではなく物理的に窒息させる仕組みのため、散布液が乾けば効果は失われます。散布後に天敵やミツバチ、マルハナバチを放飼する場合も、植物体が乾いてからなら問題ありません。目安は1日ほどです。一方、すでに放飼しているカブリダニ類は薬液で流されることがあるため、十分に定着・増殖してから散布するのがおすすめです。
野菜類で登録されたことで、使える作物の幅も大きく広がりました。「ピーマンやキャベツなど身近な野菜はもちろん、地域限定で作られているようなマイナー作物にも使えます」と吉田さん。花き類・観葉植物も対象です。「花きは葉そのものも商品になるので、害虫が出たらとにかくすぐまきたい。そうしたレスキュー的な防除の場面で、好まれると思います」と濵中さんは話します。
すでに多くの生産者に使われているイチゴの現場では、天敵や他のダニ剤と組み合わせることで、ハダニ類によく効くという手応えが得られています。アザミウマ類にも効く点が特に好評で、生産者からは「あるといいよね」という声が多く聞かれるそうです。
野菜での使用は始まったばかりですが、食用菊(野菜類)の産地では、収穫期間中にも散布できる点が「使いやすい」と評価されました。小菊(花き類)の産地からは、使う生産者と使わない生産者とでアザミウマの被害がだいぶ違う、という感想も届いています。
気門封鎖でローテーション防除を支える

物理的に効くからこそ、抵抗性を気にせず繰り返し使え、天敵とも組み合わせやすい。「ピタイチ」なら、既存の防除体系を崩さずに取り入れられます。多品目を育てる生産者にとっては、1本で幅広く使えることがコスト面の強みにもなるでしょう。
「ピタイチ」は、薬液が害虫に直接かかることで効果を発揮します。しっかり効かせるコツは、葉の表と裏にていねいにかけることです。ハダニ類やアブラムシ類は葉裏に多く、アザミウマ類は花やガクの隙間に潜むため、薬液が届くようたっぷり散布します。発生初期に散布し、多発時は5~7日間隔で連続散布するのが効果的です。アザミウマ類を主に狙う場合、同社では化学農薬との混用散布をすすめています。残効はないため、防虫ネットなどで害虫を寄せつけない環境づくりと組み合わせる、IPM(総合的病害虫・雑草管理)の考え方で使うのが基本です。
「IPMの一環として、これまで手が届きにくかったアザミウマ類対策や、ローテーション防除の隙間に使える剤です。まずはシーズンの初めに1本用意していただき、困ったときに頼りにしてもらえたら」と吉田さん。濵中さんも「ぜひピタイチを使って、良い作物を作っていただければ」と話します。
抵抗性に悩むハダニ類対策にも、被害が増えつつあるアザミウマ類対策にも。野菜全般や花き、果樹にも使えるようになった「ピタイチ」が、心強い1本になりそうです。
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