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秋・冬に植物を枯らす原因は「やりすぎ」にあった!? 農家が教える、寒い時期のNG行為5選

秋・冬に植物を枯らす原因は「やりすぎ」にあった!? 農家が教える、寒い時期のNG行為5選

気温が下がってくるこれからの季節、植物の生育は春や夏とは大きく変わる。気温の低下によって生育がゆっくりになったり、落葉して休眠に入ったりする植物がある一方、寒さに弱い植物では気温が少し下がっただけでも生育が止まり、葉を落とすこともある。この時期に注意したいのが、春や夏と同じ感覚で植物を管理してしまうことだ。夏には問題のなかった水やりや施肥、剪定などが、秋から冬には植物を弱らせる原因になることがある。そこで今回は、秋から冬の植物管理で「やってはいけないこと」を5つ紹介する。果樹や家庭菜園、鉢植え、観葉植物など幅広い植物に共通する考え方を中心に解説するので、冬越しの参考にしてほしい。

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はじめに:植物の管理は、季節によって大きく変わる

筆者らは果樹や観葉植物を中心に、年間を通して多くの苗木を管理している。毎日植物を見ていると、春から夏と、秋から冬では、同じ植物でも必要とする手入れが大きく異なることを実感する。気温や日照時間が変われば、植物の生育速度や水の吸収量、枝葉の伸び方も変化するため、それに合わせて人が行う管理も変えていく必要がある。

例えば、気温が高く植物が旺盛に生育する夏は、とにかく水やりが忙しい。晴天が続くと鉢土は一気に乾き、植物によっては朝に水を与えても夕方には乾いていることがある。夏場は、水やりだけでもかなりの時間を要する。さらに、新しい枝葉も次々と伸びるため、剪定や誘引、植え替え、施肥など、さまざまな作業が重なる時期でもある。

一方、秋が深まり気温が下がってくると、多くの植物は生育が緩やかになる。蒸散量が減り、土も乾きにくくなるため、水やりの回数も自然と少なくなる。夏と比べると、植物管理そのものは比較的楽になることが多い。

しかし筆者の経験では、植物を枯らしてしまうリスクは、むしろ気温が下がってから高まると感じることも少なくない。その理由の一つが、秋から冬は「やりすぎ」が植物を弱らせる原因になりやすいことである。

夏と同じ頻度で水を与えたり、生育が止まっている植物に肥料を多く与えたり、寒い時期に根や枝を大きく傷めたりすると、暖かい時期には問題にならなかった管理が植物への負担になってしまう。植物を上手に育てるうえで重要なのは、植物をよく観察しながら、その季節の状態に合わせて手入れの内容を変えることである。今回の記事では、秋から冬の植物管理で「やってはいけないこと」を5つ紹介していく。

NG行為その1.夏と同じ感覚で、毎日水を与え続ける

水のやりすぎは気をつけよう!

水のやりすぎには気をつけよう!

植物を枯らしてしまう大きな原因の一つが、「水のやりすぎ」である。

筆者はこれまで多くの植物を育ててきたが、栽培を始めた頃は水やりの頻度を間違え、何度も植物を弱らせたり、枯らしたりしてきた。特に鉢植えで管理している植物は注意が必要で、「元気がないから水が足りないのだろう」と思って水を与えた結果、さらに状態を悪化させてしまったこともある。

水やりは植物管理の基本中の基本だが、実はとっても難しい。多すぎても少なすぎても、枯れたり弱ったりする。その中でも、秋から冬の水やりの頻度は特に注意したい。

夏は気温が高く、植物の生育も旺盛だ。葉からの蒸散も活発で、晴天が続けば鉢土は驚くほど早く乾く。筆者らが管理する苗木でも、真夏には朝にたっぷり水を与えたにもかかわらず、夕方には再び乾いていることがある。そのため、夏の間は「乾かさないこと」を強く意識して管理することになる。

ただ、気温が下がると、多くの植物では生育が緩やかになり、水の吸収量や葉からの蒸散量も減っていく。さらに、土そのものも乾きにくくなる。その状態で夏と同じ頻度の水やりを続けると、根の周囲が長時間湿った状態になってしまう。土の隙間が長時間水で満たされると根の周囲で酸素が不足し、根が傷んだり根腐れを起こしたりする原因になる。

水やりは、土の状態を確認してから行おう

水やりの頻度は、「毎日1回」や「3日に1回」といったように、日数だけで決めるのはおすすめしない。鉢植えであれば、土の表面だけでなく、鉢を持ち上げたときの重さや、少し土を触ったときの内部の湿り具合なども確認するとよい。植物の種類や鉢の大きさ、日当たり、風の強さによって、土の乾く速度は大きく異なるからだ。

秋から冬は、夏以上に水やりのタイミングを判断しにくいこともある。そこで筆者が一つの目安として利用しているのが、鹿沼土など、濡れているときと乾いているときで色が変化する用土である。

鹿沼土

鹿沼土

用土の表面や配合の一部に使っておくと、土が乾いてきたことを視覚的に判断しやすい。また、鹿沼土は通気性や排水性にも優れているため、植物に適した範囲で用土に配合することで、過湿になりにくい環境づくりにも役立つ。

筆者らは、鹿沼土と赤玉土をメインで植物を育ててる

筆者らは、鹿沼土と赤玉土をメインに植物を育ててる

左:乾いてる状態、右:濡れている状態

左:乾いてる状態、右:濡れている状態

秋から冬の水やりで大切なのは、「何日たったから水を与える」のではなく、実際に土と植物の状態を見て判断することである。夏の水やりの習慣をそのまま引きずらないことが、植物を枯らさないための大切なポイントだ。

NG行為その2.肥料をたくさん与える

秋〜冬は、肥料も注意して与えよう

秋~冬は、肥料も注意して与えよう

肥料は与えれば与えるほど植物が元気になるものではない。植物の生育時期や状態に合わせて、適切な量を与えてこそ効果を発揮する。

気温が下がると、多くの植物では生育速度が落ち、根から吸収する水分や養分の量も少なくなる。つまり、春から夏と比べて、肥料を必要とする量そのものが減る植物も多い。

そのような状態で肥料を多く与えると、植物が吸収しきれなかった肥料成分が土壌中に残り、根に負担をかけることがある。特に鉢植えでは、限られた土の中に肥料成分が蓄積しやすいため注意したい。肥料濃度が高くなりすぎると、根を傷める「肥料焼け」を起こし、最悪の場合は植物を枯らしてしまうこともある。

落葉して休眠に入る植物や、低温によって生育がほぼ止まる植物であれば、秋から冬は肥料をほとんど必要としないこともある。一方で、冬でも生育を続ける野菜や草花、暖かい室内で管理している植物などでは、時期や状態に応じて施肥が必要になる場合もある。

そのため、「冬だから肥料を与えてはいけない」と一律に考えるのではなく、植物の生育状態を見ながら判断することが重要である。

施肥の記録をつけて、植物の変化を観察しよう

肥料は植物を元気にするためのものだが、使う時期や量を間違えると、逆に植物を弱らせる原因にもなる。だからこそ、植物の状態に合わせて必要な分だけ与えることが大切である。

そこで筆者がおすすめしたいのが、施肥の記録をつけることだ。いつ、どの植物に、どの肥料を、どの程度与えたのかを記録しておけば、肥料の入れ忘れや重複施肥を防ぎやすくなる。また、植物に変化が現れたときに、施肥との関係を振り返ることもできる。

例えば、葉が黄色くなったり、生育が止まったり、樹勢が弱ったりした場合でも、直前に十分な施肥をしていたことが記録から確認できれば、「肥料不足」と決めつけずに済む。

その場合は、日照不足や低温、過湿、根傷みなど、別の原因を疑うことができる。反対に、施肥後に葉色や生育が改善したのであれば、その肥料や施肥時期が適していた可能性も考えられる。

肥料はただ与えるだけではなく、その後の植物の反応まで観察することが重要である。記録と観察を続けることで、自分が育てている植物に合った施肥のタイミングや量も少しずつ見えてくる。

NG行為その3.むやみに強剪定する

寒い時期の剪定は気をつけよう!

寒い時期の剪定は気をつけよう!

剪定は樹形を整えたり、不要な枝を取り除いたり、翌年の生育や結実を整えるために重要な作業である。しかし、時期を間違えると、植物を弱らせる原因にもなる。

特に注意したいのが、寒さに弱い植物を、気温が低い時期に強く切り戻してしまうことである。筆者らは果樹や観葉植物を多く管理しているが、熱帯・亜熱帯性の植物では、寒い時期の強剪定をできるだけ避けるようにしている。気温が低い時期は植物の生育が鈍く、剪定後の枝が枯れ込んだり、植物全体が弱ったりすることがあるからだ。

強剪定では、一度に多くの枝葉を失う。葉は光合成によって植物の生育に必要な養分をつくる重要な器官であるため、寒さで生育が鈍っている時期に大量の枝葉を失うことは、植物にとって大きな負担になる。

さらに、剪定後に気温が一時的に上がると、新しい芽が動き出すこともある。しかし、その直後に寒波が来れば、伸び始めたばかりの新芽や新梢が寒害を受ける可能性がある。

「少し暖かくなったから大丈夫だろう」と強く切った直後に冷え込むと、剪定しなければ被害を受けなかった部分まで傷めてしまうこともあるため注意したい。

冬剪定が適している植物もある

ただし、寒い時期の剪定はすべてダメというわけではない。リンゴやナシ、ブドウなどの落葉果樹をはじめ、休眠期である冬に剪定するのが一般的な植物も多い。葉が落ちて枝の骨格が見えやすくなり、樹形を確認しながら作業しやすいという利点もある。

一方で、マンゴーやアボカドなどの熱帯・亜熱帯性果樹や、寒さに弱い観葉植物など、低温によって生育が大きく鈍る植物では、寒い時期の強剪定が大きなストレスになる場合がある。

重要なのは「冬だから切る」、「冬だから切らない」と一律に判断するのではなく、その植物がどのような性質を持っているのかを知ることである。

枯れ枝や危険な枝は必要に応じて取り除く

寒い時期でも枯れ枝は取り除こう!

寒い時期でも枯れ枝は取り除こう!

また、強剪定を避けたい時期であっても、枯れ枝や折れた枝、病気が広がるおそれのある枝などは、秋から冬でも必要に応じて取り除いた方がよい。

そのため、寒い時期に避けたいのは剪定そのものではなく、植物の性質や状態を考えずに、必要以上に枝を切り落とすことである。

剪定は、一度切ってしまえば元に戻すことができない作業である。特に秋から冬は、勢いで大きく切るのではなく、植物の耐寒性や休眠の有無、今後の気温の推移や寒波の予報などを確認しながら慎重に行うことが大切だ。

NG行為その4.植え替えなどの根を傷める作業をする

植え替えは根詰まりを解消したり、古くなった土を新しくしたりと、植物を一回り大きく育てたりするために大切な作業である。しかし、気温が低い時期に行うと、植物に大きな負担をかけることがある。

特に注意したいのが、植え替えの際に根鉢を大きく崩したり、根をたくさん切ったりする作業である。

筆者らも多くの鉢植え苗を管理しているが、寒さに弱い果樹や観葉植物については、気温が下がってからの大がかりな植え替えは避けるようにしている。植え替え直後は、どうしても根が傷み、水分や養分を吸収する力が一時的に落ちる。暖かい時期であれば新しい根が伸びて比較的早く回復するが、寒い時期は根の動きそのものが鈍く、回復に時間がかかることがある。

どうしても植え替えが必要な場合には?

寒さに弱い植物では、基本的に気温が上がり、生育が再び活発になる春以降の方が植え替えを行いやすい。しかし筆者らは管理している植物の種類や数が多いため、作業の都合上、どうしても寒い時期に植え替えを行うこともある。

その場合は、できるだけ耐寒性のある植物を優先し、根鉢を大きく崩さずに一回り大きな鉢へ植え替えるなど、根へのダメージをなるべく少なくするようにしている。また、植え替え後は強い風や急激な寒さに当てず、ハウスの中など、温度変化の比較的小さい安定した環境で管理することも重要である。

以下は、どうしても秋~冬の時期に行う必要がある場合の植え替えの例である。もともとの鉢がパンパンになり、根が暴れた状態のスターフルーツであるが、根鉢はそのままの状態で植え替えを行った。

どうしても植え替えが必要な場合のやり方

どうしても植え替えが必要な場合のやり方

それでも、寒い時期に植え替えを行うと、その後に弱ったり、場合によっては枯れてしまったりする植物も出てくる。そのため、緊急性がなく春まで待てるのであれば、暖かくなり、植物が再び動き始める時期まで延期した方が安全に作業できることが多い。

植え替えは植物をよりよく育てるために必要な作業であるが、時期を間違えると植物を元気にするどころか、弱らせる原因にもなる。特に寒い時期は、「今、本当に植え替える必要があるのか」を一度考えてから作業することが大切だ。

NG行為その5.寒さ対策を急に行う・やりすぎる・遅らせる

秋から冬にかけて、寒さに弱い植物を守るための防寒対策は欠かせない。しかし、防寒は「とにかく暖かくすればよい」というものではない。対策の時期や方法を間違えると、寒さから守るつもりが、かえって植物を弱らせてしまうこともある。

筆者らも、寒さに弱い果樹や観葉植物を多く管理しているため、秋から冬にかけては、鉢の移動や不織布、ビニール、ハウスなどを使いながら防寒対策を行っている。

その中で特に注意しているのが、「急激な環境変化」「昼夜の温度差と防寒資材の使い方」「対策を始める時期」の3つである。

急に暖かい室内へ移動しない

鉢植えは、急に寒い野外から暖かい室内に移動しないこと

鉢植えは、急に寒い野外から暖かい室内に移動しないこと

植物の多くは、急激な環境変化に強いわけではない。置き場所を変えただけで、急に調子を崩すものもある。

鉢植えの場合、気温が下がってくると室内へ取り込むことも多い。しかし、屋外で管理していた植物を、ある日突然暖房の効いた部屋へ移動すると、植物にとっては環境が大きく変化する。それが強いストレスになる可能性がある。変わるのは温度だけではなく、光の量、湿度、風通し、昼夜の温度差なども大きく変化する。

筆者も鉢植えを移動する際には、できるだけ急激に環境を変えないようにしている。最低気温が大きく下がる前から徐々に置き場所を変えたり、室内へ入れる場合でもなるべく明るく、温度変化の少ない場所を選ぶようにしている。

また、屋外から室内へ植物を入れる際には、葉の裏や枝、鉢の周辺に害虫が付いていないか確認しておきたい。カイガラムシやハダニ、アブラムシなどを室内へ一緒に持ち込むと、暖かい環境の中で増えてしまうことがある。

室内に入れる場合はこのようなカイガラムシなどは徹底的に取り除いておく

室内に入れる場合はこのようなカイガラムシなどは徹底的に取り除いておく

防寒資材をかけっぱなしにしない

不織布やビニール、簡易温室などは、低温や霜から植物を守るうえで非常に便利な資材である。しかし、防寒資材は「かければかけるほど安心」というわけではない。

特にビニールなど通気性の低い資材で植物を覆った場合、晴れた日の日中には内部の温度が急激に上がることがある。夜は低温から守るために必要だった資材が、昼になると小さな温室のような状態になり、今度は高温や蒸れの原因になることもある。

また、密閉した状態が長く続けば、内部の湿度が高くなり、病害が発生しやすい環境になることもある。

そのため、筆者らも防寒資材を使う際には、天気や気温を確認しながら管理する。特に晴れて暖かくなる日は、必要に応じて換気をしたり、日中だけ資材を開けたりする。夜間の低温と日中の気温上昇、その両方を考えながら調整することが大切である。

寒さ対策は、事前に計画しておく!

もう一つ注意したいのが、防寒対策を始める時期である。

寒波や霜の予報が出てから慌てて対策を始める人も多いが、寒さに弱い植物では、それでは間に合わない場合もある。特に鉢植えであれば、どこへ移動するのか、不織布やビニールなどの資材をどのように使うのかを、寒くなる前に決めておくとよい。地植えの場合でも、株元へのマルチングや不織布、防風対策など、事前に準備できることは多い。

筆者らも、本格的に冷え込んでから慌てて動くのではなく、秋のうちから寒さに弱い植物を把握し、どの植物をハウスへ移動するのか、どの植物に防寒資材を使うのかをある程度決めている。

また、自分が育てている植物がどの程度の低温まで耐えられるのかを調べておくことも大切である。そのうえで、植物の状態や気温の変化を見ながら、少しずつ環境を整えていく。余裕を持って準備し、暖かくなった日には適度に換気するなど、状況に応じて管理を変えることが冬越し成功のポイントである。

まとめ

水やりや施肥、植え替えなどは、簡単に思えて実はとっても難しい。筆者もこれまで多くの植物を育てる中で、寒い時期の管理を間違え、何度も植物を枯らしてしまった経験がある。今では、その悔しい経験があったからこそ、正しい管理の仕方や、植物の状態を見る目が養われたとポジティブに思えるようになった。しかし、はじめから植物の性質や管理の理屈を知っていれば、やらなくてもよい失敗の多くは避けられたのだと思う。秋から冬は、春の生育に向けて植物を守る大切な時期でもある。手をかけすぎるのではなく、必要な管理を見極め、寒さへの対策は早めに行い、それぞれの植物に合った方法で上手に冬を越してほしい。

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