山くらげ(ステムレタス)とは?

山くらげは、レタスの仲間「ステムレタス」の茎を細く裂いて乾燥させた食材です。ステムレタスは主に茎を食べる中国原産の野菜で、和名は「茎チシャ」といいます。アスパラガスに似た食感と味わいを持つことから「アスパラガスレタス」とも呼ばれています。
ほかに「チシャトウ」「皇帝菜(コウテイサイ)」「サンジャー菜」などの名前で販売されることもあり、生のステムレタスがそのまま「山くらげ」の名で売られている場合もあります。山くらげという名前は、クラゲのようなコリコリとした食感に由来するといわれています。
特徴

ステムレタスは、一般的なレタスのように葉を巻かず、太い茎がまっすぐ伸びるのが特徴です。茎の皮は硬いため厚めにむいて使います。皮をむくと、中は淡い緑色でみずみずしく、シャキッとした歯ざわりがあります。クセが少なく、ほのかな苦みとレタスに似た風味があります。茎以外に若い葉も炒め物などで食べられます。
乾燥させた山くらげは、戻すと独特のコリコリとした弾力が生まれ、調味料がよくなじみます。中華風のあえ物や炒め物の定番食材として知られてきましたが、近年は麻辣湯の具材として選ばれることも多く、改めて注目を集めています。
産地
国内に出回る山くらげ(乾燥品)の多くは、中国からの輸入品です。生のステムレタスは、青森県や山形県、長野県、埼玉県などで、小規模な生産者を中心に栽培されています。長崎県では加工・業務用野菜として栽培試験が行われてきました。生のステムレタスの流通は限られていますが、産地の直売所や産直通販で見かけることがあります。
旬の時期
乾燥品の山くらげは、一年を通して手に入ります。一方で、生のステムレタスは冷涼な気候を好み、春まきと秋まきの作型があります。国内では一般的に6月~7月と11月~12月の年2回が収穫期にあたり、この時期が旬といえます。
栄養
ステムレタスは日本の食品成分表には収載されていませんが、アメリカ合衆国農務省(USDA)の食品成分データベース「FoodData Central」に「Celtuce, raw(生)」として登録されています。100gあたりのエネルギーは18kcalと低カロリーで、カリウムや食物繊維なども含みます。ここでは、特に注目したい3つの成分を紹介します。
マンガン
野菜のなかでは比較的多く、100gあたり0.688mgのマンガンを含みます。マンガンは骨の形成や、糖質・脂質の代謝に関わるミネラルです。
ビタミンC
100gあたり19.5mgのビタミンCを含みます。これは日本の食品成分表にある一般的なレタス(土耕栽培・生)の5mgの約4倍にあたります。ビタミンCは抗酸化作用をもち、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。熱に弱く、水にも溶け出しやすいため、加熱調理は短時間で済ませるとよいでしょう。
ラクチュコピクリン
茎を切ると出てくる白い液には、レタス類特有の苦み成分「ラクチュコピクリン」が含まれています。ステムレタスのほのかな苦みは、この成分によるものです。
※栄養成分はUSDA FoodData Central(Celtuce, raw)を参考にしています。
山くらげの戻し方とステムレタスの下処理方法

乾燥山くらげは、水で戻してから調理します。戻すと重さが約6~7倍になります。水気を切れば加熱せずに食べられますが、乾物特有のにおいが気になる場合は、熱湯で2~3分ゆでるとやわらぎ、食感も引き立ちます。時間に余裕があるかどうかで、2つの方法を使い分けましょう。
水で戻す
山くらげをさっと水洗いし、たっぷりの水に半日から一晩つけて戻します。時間はかかりますが、手間がかからない基本の方法です。
ぬるま湯で戻す
急ぐときは、40℃程度のぬるま湯に1時間ほどつけて戻します。
生のステムレタスの下処理
生のステムレタスは、葉を切り落とし、茎の皮をピーラーや包丁で厚めにむきます。筋っぽい外側を取り除いた中心部を、料理に合わせて切って使います。生でも食べられ、浅漬けのほか、炒め物や煮物にも向いています。
山くらげの保存方法
乾燥山くらげ:開封後は袋の口をしっかり閉じるか密閉容器に移し、湿気と直射日光を避けて常温で保存します。
戻した山くらげ:水気を絞り、保存容器に入れて冷蔵庫へ。2~3日を目安に使い切りましょう。多めに戻したときは、冷凍することもできます。使いやすい大きさに切って、小分けにして冷凍しておくと、凍ったまま加熱調理に使えて便利です。
生のステムレタス:葉を落とした茎をキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。1週間程度を目安に使い切りましょう。
山くらげの特徴を生かしたレシピ5選
コリコリとした食感を生かした、山くらげのレシピ4品と、生のステムレタスが手に入ったら作りたい1品を紹介します。定番のあえ物や炒め物から、話題の麻辣湯風スープ、炊き込みご飯までそろえました。山くらげの分量は乾燥時の重さで表記しています。
山くらげとキクラゲの甘酢あえ

コリコリとした山くらげと弾力のあるキクラゲを、甘酸っぱい中華風のあえ物に。赤唐辛子とショウガで味を引き締めます。箸休めや作り置きの副菜にぴったりで、麻辣湯のトッピングにもなります。
材料(2人分)
- 乾燥山くらげ 15g
- 乾燥キクラゲ 3〜4g
- ショウガ 1/2片
- 赤唐辛子(輪切り) 少々
- 酢 大さじ1と1/2
- 砂糖 大さじ1/2
- しょうゆ 小さじ1
- ごま油 小さじ1
- 塩 少々
作り方
- 山くらげとキクラゲは、それぞれ袋の表示に従って水で戻す。山くらげは食べやすい長さに切り、キクラゲは大きければ細切りにする
- 山くらげとキクラゲをそれぞれ熱湯で2〜3分ゆで、水気をしっかり切る
- ショウガはせん切りにする
- ボウルに酢、砂糖、しょうゆ、ごま油、塩を入れ、砂糖が溶けるまで混ぜ合わせる
- 山くらげ、キクラゲ、ショウガ、赤唐辛子を加えてあえ、冷蔵庫で15〜30分ほど味をなじませる
- 器に盛り付ける際、白いりごま(分量外)をかけてもよい
山くらげと豚肉のオイスター炒め

コリコリとした山くらげに、豚肉のうま味とオイスターソースのコクを合わせた、ご飯が進む中華風のおかず。赤パプリカを加えて彩りよく仕上げます。
材料(2人分)
- 乾燥山くらげ 15g
- 豚こま切れ肉 150g
- 赤パプリカ 1/2個
- ニンニク 1/2片
- ごま油 小さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- しょうゆ 小さじ1
- 酒 大さじ1
- こしょう 少々
作り方
- 山くらげを戻し、水気を切って4〜5cmの長さに切る
- 豚肉は大きければ食べやすい大きさに切り、赤パプリカは細切り、ニンニクはみじん切りにする
- フライパンにごま油とニンニクを入れて弱火で熱し、香りが立ったら豚肉を加えて炒める
- 豚肉の色が変わったら山くらげと赤パプリカを加えて炒め合わせる
- オイスターソース、しょうゆ、酒を加えて全体に絡め、こしょうで味を調える
山くらげの麻辣湯風スープ

話題の麻辣湯を、家庭にある調味料で手軽に再現。豆板醤の辛みと花椒のしびれに練りごまのコクを加えたスープで、山くらげのコリコリとした食感が引き立ちます。春雨入りで食べ応えもあり、軽食にもぴったりです。
材料(2人分)
- 乾燥山くらげ 15g
- 豚ひき肉 80g
- 緑豆春雨 20g
- チンゲンサイ 1株
- ニンニク 1/2片
- ショウガ 1/2片
- ごま油 小さじ1
- 豆板醤 小さじ1
- 水 400ml
- 鶏ガラスープのもと 小さじ1と1/2
- しょうゆ 小さじ1
- 練りごま 大さじ1
- 花椒(粉末) 少々
- ラー油 適宜
作り方
- 山くらげは水で戻し、水気を切って4〜5cmの長さに切る
- チンゲンサイはざく切りにし、ニンニクとショウガはみじん切りにする
- 鍋にごま油、ニンニク、ショウガ、豆板醤を入れて弱火で熱し、香りが立ったら豚ひき肉を加えて炒める
- ひき肉の色が変わったら水と鶏ガラスープのもとを加え、煮立ったら山くらげ、春雨、チンゲンサイを加えて3分ほど煮る
- しょうゆと練りごまで味を調えて器に盛り、花椒を振る。好みでラー油をかける
山くらげと鶏肉の炊き込みご飯

山くらげのコリコリとした食感を楽しめる炊き込みご飯。鶏肉のうま味に、ニンジンとシイタケの風味を合わせて、具だくさんに仕上げます。お弁当のご飯にも適し、ランチの幅が広がります。
材料(2人分)
- 米 1合
- 乾燥山くらげ 10g
- 鶏もも肉 100g
- ニンジン 20g
- シイタケ 1枚
- しょうゆ 大さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 塩 少々
作り方
- 米は洗って30分ほど浸水させ、ザルに上げて水気を切る
- 山くらげは水で戻し、水気を切って1〜2cmの長さに切る
- 鶏肉は1.5cm角に切り、ニンジンは細切り、シイタケは薄切りにする
- 炊飯器に米、しょうゆ、酒、みりん、塩を入れ、1合の目盛りまで水を加えて軽く混ぜる
- 山くらげ、鶏肉、ニンジン、シイタケを米の上に広げ、通常どおり炊飯する
- 炊き上がったら全体をさっくりと混ぜ、器に盛る
ステムレタスのレモンマリネ

コリッとした食感のステムレタスを、レモンの酸味とオリーブオイルでさっぱりと味わう洋風マリネ。シンプルな味付けで素材の食感を生かし、肉料理の付け合わせにもおすすめです。ブロッコリーの茎でも代用できます。
※写真はブロッコリーの茎を代用しています。
材料(2人分)
- ステムレタス 150g
- レモン汁 大さじ1
- オリーブオイル 大さじ1
- はちみつ 小さじ1/2
- 塩 少々
- こしょう 少々
作り方
- ステムレタスは皮を厚めにむき、3〜4mmの厚さの斜め薄切りにする
- 鍋に湯を沸かし、ステムレタスを1〜2分ゆでて冷水に取り、水気をしっかり切る
- ボウルにレモン汁、オリーブオイル、はちみつ、塩、こしょうを入れて混ぜ合わせる
- ステムレタスを加えてあえ、冷蔵庫で15分ほどなじませる
- 器に盛り、好みでこしょうを振る
ステムレタスの栽培方法

ステムレタスは一般的なレタスと同様に冷涼な気候を好む野菜です。種はホームセンターや通販で手に入り、家庭菜園やプランターでも育てられます。春まき(2月~3月)と秋まき(8月下旬~9月)ができますが、暑さに弱く、高温になると花芽がついてとう立ちしやすいため、真夏の栽培は避けます。
土づくり
レタス類は酸性の土を嫌います。植え付けの2週間ほど前に苦土石灰をまいて耕し、1週間前に堆肥(たいひ)と元肥を混ぜ込んでおきます。水はけの悪い畑では畝を高くしておきましょう。プランターの場合は、野菜用の培養土が手軽です。
種まき・植え付け
セルトレイやポットに種をまき、土はごく薄くかけます。種や覆土が流れないように注意して水やりしましょう。本葉2枚でポットに植え替え、本葉3~4枚でうね間40cm、株間30cmに植え付けます。発芽適温は15~20℃です。高温下では発芽しにくいので涼しい場所に置きます。
管理・水やり
土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。植え付けから2~3週間後、株が根付いたら追肥を行います。下葉は収穫まで放任します。茎が伸びて倒れそうなときは株元に土を寄せます。
収穫
茎が太く伸びたら(長さ25cm以上、太さ4cm前後が目安)、株元から切り取って収穫します。収穫後、下葉を取り除きます。収穫が遅れると茎が硬くなるため、取り遅れに注意しましょう。
自家製の山くらげ作り
収穫したステムレタスは、自家製の山くらげにすることもできます。葉を取って茎を洗い、皮を厚めにむいたら縦に4~8等分に切り、天日でしっかり乾燥させます。切ったときの太さや気候にもよりますが、3日から1週間程度で中心部まで乾いたら出来上がりです。
注意したい病害虫
ステムレタスは、葉物野菜のなかでは害虫の被害が比較的少ない作物です。注意したいのはアブラムシで、葉の汁を吸ってウイルス病を媒介します。また、ヨトウムシ(ヨトウガの幼虫)は夜間に葉を、オオタバコガの幼虫は生長点付近を食害することがあります。定植後はこまめに株を観察し、見つけたら早めに駆除しましょう。
予防には、定植直後から防虫ネットで覆い、害虫の侵入を防ぐのが効果的です。畑の周りの雑草をこまめに刈ると、害虫のすみかが減るうえ、風通しがよくなり病気の予防にもつながります。
コリコリ食感の正体は、レタスの茎

コリコリとした食感で人気の山くらげ。意外に思うかもしれませんが、原料はレタスの仲間であるステムレタスの茎です。多くは中国からの輸入品ですが、国内でも栽培に取り組む産地があり、国産品も直売所や通販で手に入ります。乾物は常備しやすく、戻し方も簡単なので、あえ物や炒め物、スープまで幅広く使えます。麻辣湯のトッピングで気になった人は、ぜひ家庭の料理にも取り入れてみてください。
流通量の少ない生のステムレタスも、家庭菜園なら市販の種から手軽に育てられます。しかも種まきのチャンスは春と秋の年2回。乾物とはまた異なるみずみずしい茎の味わいと、自家製山くらげ作りの両方を楽しんでみてはいかがでしょうか。

















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