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先輩農家インタビュー 船橋市・伊豆丸智也さん

船橋市・
伊豆丸智也さん

伊豆丸智也(いずまるともや)さん
      

伊豆丸いずまる 智也ともやさん

大阪府出身。大学を卒業後、東京の外食チェーンに就職。結婚を機に妻の職場がある千葉県船橋市に移住し、建築会社に現場監督として転職。千葉県立農業大学校で1年半の研修を受け、1年間の雇用就農を経て独立。
2020年7月、船橋市にアンデルセンいちご農園を設立し、翌年1月に観光農園を開業。※2023年9月時点

  • 年 齢

    36歳

  • 農 園

    アンデルセンいちご農園

  • 営農地

    船橋市

  • 出身地

    大阪府

  • 就農年数

    5年目

  • 生産品目

    いちご

  • 栽培面積

    1,500m²

  • 家族構成

    妻、長女、次女

年間スケジュール

  • 4月~
    8月

    育苗

  • 9月

    苗の植え付け

  • 10月~
    11月

    栽培管理

  • 12月~
    翌年5月

    収穫

1日の流れ(収穫期)

1日の流れ(収穫期)

現在の栽培作物と営農形態を教えてください

千葉県船橋市でイチゴを栽培し、観光農園を営んでいます。ハウス3棟栽培面積1,500㎡と育苗ハウス700㎡で、かおり野、紅ほっぺ、章姫、よつぼしの4品種を育てています。摘み取り農園なので食べ比べて味や外見の違いがわかりやすい品種を選びました。

また、イチゴの栽培には2段式の高設ベンチを採用し、通路を広く取るなど、家族連れや車いすのお客様が利用しやすいように工夫をしています。自分のほかパート6人で栽培・接客をしています。進んで接客をしていますが、ネット上に「店主がよくしゃべる」とコメントをいただいたことも(笑)。

12月収穫分を中心にスーパーマーケットの産直コーナーに出荷もしています。また、イチゴの収穫がない夏から秋にかけては、ハウスの近くに借りている露地畑でエダマメ(4,000㎡)、サツマイモ(1,000㎡)を栽培しています。

千葉県で就農したきっかけは?

学生時代から、いつか自分で事業を起こしたいと考えていました。ただ、その時点で農業は頭になく、まずは社会へ出て勉強しようと新卒で上京して外食チェーンのエリアマネージャーとして4年、建築会社で現場監督として4年、会社員として働きました。

結婚を機に、教員をしている妻の勤務先に近い千葉県船橋市に移住。都心に近いうえ、住宅街の周囲には自然や農地がたくさんあり、「この地域で事業を始めるなら、農業もいいな」と思いました。

30歳になった時、妻に「農業で起業したい」と相談すると、反対されることはなく、「やりたいことが見つかってよかった。頑張って」と背中を押してもらえました。 ただし、毎日夕食を作ることが条件。自営業でやっと時間の融通が利くようになったので、家族のためにごはんを作らせていただいています。

独立就農までの経緯は?栽培作物はどのように決めましたか

建築業界への転職時、知識なく飛び込んで苦労した経験から、農業をするにもまず知識を身につける必要があると思いました。情報収集をするなかで、千葉県立農業大学校(東金市、以下農大)に県内での新規就農希望者を対象にした研修があることを知り、農業者養成研修(6カ月)とより実践的な就農実践研修(12カ月)で1年半、座学や農家研修で農業を基礎から学びました。

その授業の一環でイチゴと出会いました。イチゴは販売単価が高く、事業の柱として魅力的です。また観光農園では、接客業で培ったコミュニケーション力、ハウスの設営には建築業の経験が役立つと思いました。

しかし、卒業後すぐに借りられる農地がなく、独立就農は一旦諦めて、農大の研修先だった八千代市の師匠の農園で雇用就農という形で1年間勉強しました。その間、運よく船橋市に空きハウスが見つかり、独立就農を果たすことができました。 農地はふなばしアンデルセン公園の近くなので、公園事務所にも挨拶に行き、自園をアンデルセンいちご農園と名付けて公園の集客も活性化できるよう努めています。

千葉県や市町村、関係機関からどのような支援がありましたか?

農大には普及指導員だった先生方が多く、農家との付き合いが深いので、自分一人では入り込めないところに橋渡しをしていただいて人脈を広げることができました。雇用就農先の師匠とつないでくれたのも農大の先生です。

農地も農大の先生のお力添えが大きいです。よそから来た新規就農者が農地を探すのはとても大変ですが、師匠と付き合いのあるハウス建築会社の営業の方がトマトの空きハウスを見つけて紹介してくれました。

また、市に認定新規就農者申請をする際は、書類作成に四苦八苦し、県の農業事務所に大変お世話になりました。販売計画を提出しますが栽培実績がないので見込みがわからず、県が持っている県内農家の販売実績データをもとに現実的な数字を出し、私の思いを実現するには販路開拓や経費削減を考えたほうがいいなど、面談を重ねながら具体的なアドバイスをいただきました。問題なく認定が受けられ、5年後、10年後の計画をしっかり立てることができました。

就農後、印象に残っているエピソードはありますか?

観光農園をオープンしたのがコロナ禍で、1度に入場する人数を当初の予定から大幅に変える必要があり、また感染症対策などに伴うオペレーションも増えました。結果的に予定外の出費がかさみ、集客にも不安がありました。

そこで新たな販路として、近くのスーパーに相談に伺いました。産直コーナーにイチゴを出させてもらうことが決まり、完熟を摘んで出すことにこだわりました。 納品時に売り場でお会いできるお客様に「おいしい」と言っていただけるのが嬉しくて、イチゴ狩りで収支が取れるようになってからも、出荷を継続しています。

同時に地域の鉄道・新京成電鉄にも相談し、ジャムを2種類開発することになりました。同鉄道は沿線に果樹農家が多いことからフルーツラインと呼ばれ、各駅前の直営コンビニで地域物産品として販売してもらっています。地域のさまざまな事業者とのコラボや取り組みで、農業を盛り上げる一助になれたら嬉しいです。

千葉県で農業をするよさ、生活環境は?

千葉県には直売所の文化があるので、お客様が常に近くにいて、農家は鮮度のよいものを届けることができます。鮮度については、農業経験の浅い私も朝イチに採れば、ベテラン農家と同じ土俵に立つことができます。おいしいものを見つけたらリピートしていただけるのが、千葉で農業するよさのひとつ。

東京からもアクセスがよく、需要は無限大です。私が農業をしている船橋市は、都市型農業で梨を中心に若い世代の生産者が多いのが特徴で、農家のつながりも多いです。就農後は地元の消防団に誘っていただき、JAいちかわのハウス部会にも入り、活発に情報交換や地域活動をしています。
船橋市は都市でありながら自然が多く、農業者にも生活のバランスが整いやすいと思います。

今後の目標。就農希望者へのメッセージ

新規就農者が地域で信頼を得るのは容易ではありませんが、熱意を持って農業に取り組めば応援してくれる人は必ずいます。私は農大で学んで長年イチゴを作っている師匠の元で修業したことで認めてもらえたといっても過言ではありません。私一人ではここまでくることはできませんでした。

目標は農園の規模拡大。将来は法人化して新規就農者を受け入れたいです。 非農家からの新規就農はとても大変です。自分はたまたま農地が見つかりましたが、たとえやる気があっても、うまくいかない場合があると思います。でも農業の担い手は足りていないと言われていて、この状況にジレンマを感じます。
自分の農園での雇用から就農のきっかけをつくって、私が助けてもらった恩返しをしていきたいです。

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